10 / 30
10話 舞踏会 その4
しおりを挟む
「あ、これおいしい。このお肉も最高……!」
私はテーブルに並べられている豪華な食事を手当たり次第に食べて回っていた。流石は腐っても貴族の催し物よね、おそらく平民ではなかなか食べられない物まで混ざっているわ。
「姉さん……」
妹のラーナが私の食べっぷりに少し引いている印象だった。なによ、そんなに頭抱えて見なくてもいいじゃない。別に私は大食いってわけではないわよ? 体型の維持だってちゃんとしてるし……2キロくらいしか増えてないし……。
「まあ、私達くらいの年齢なら、それくらい食べる方がいいのかもね」
「ちょっと、ラーナ。私を大食いみたいに扱わないでよね!」
「大食いかどうかはともかくとして、この中では少なくとも食べている方ね……」
確かに……他の貴族に注目されるほど食べているわけじゃないけれど、確かに私くらい食べている人は居ないわね。それよりも、みんな会話とか踊りに夢中みたい。
「おやおや、これは……バーク子爵の令嬢ではないですか! 久しぶりですね!」
「これはミヅロ子爵。お久しぶりでございますっ」
私とラーナが居なくなったルークを探しながら、辺りを見渡していると、ミヅロ子爵と遭遇した。お父様と仲の良い、私達からすればおじさんみたいなお方。
「いやいや、とても元気に育ったようで。そういえば聞きましたよ? 本日はお二人の婚約者の発表をされるとか?」
さすがミヅロ子爵だわ……貴族の情報にはとても耳が早いという噂は本当なのね。耳が早いって言葉が正しいかはともかくとして。
「ええ、そのとおりですわ。私と……姉のウェルナも新しい婚約者が出来ましたので」
「なるほど、それはとても楽しみですな。どのようなお方なのか……お二人共美人ですから、相手の方もさぞや色男なのでしょう!」
まるで平民同士の会話をしている私とミヅロ子爵。まあ、実際にこの国では、男爵や子爵は平民感情が強いこともめずらしくはない。あんまり貴族として認められていないことが挙げられるけどね。
セドルの態度がそれを如実に物語っていたわね、そういえば。この会場の雰囲気もどこか庶民的なのはその為かもしれないわね。
「ぜひ、幸せになってくださいね!」
「ありがとうございます、ミヅロ子爵」
私は子爵に挨拶をしてその場を後にした。子爵級の人たちって良い人が多いのよね、伯爵級と比べて。その辺りも庶民的な雰囲気と関係しているのかもしれないわ。
「あ、姉さん……! あれ……」
「えっ?」
そんな時、ラーナが慌てたような表情で私に話しかけた。私は彼女が見ている方向に視線を合わせる。そこには……。
「おい……! 誰の膝にスープを零してるんだ?」
セドルの大きな声がこだましていた。彼の膝には熱いスープが零れており、メイドの一人が座り込んでいる。
「も、申し訳ありません……! セドル様……!」
「申し訳ないだと? お前は伯爵令息の俺にこんな阻喪をしておいて、それだけで済むと思ってるのか?」
「な、何卒、ご容赦を……!」
メイドはセドルの態度にすっかり腰を抜かしているのか、上手く言葉が出て来てないみたい。セドルはそんなメイドの態度を見ながら、ニヤニヤと笑っている。なんだか、とてもいやらしい気分になっているわ……。
「許してほしいか?」
「は、はい……許していただけるのでしたら……!」
「ならば、そのテーブルに腕を付いて、尻をこちらに向けろ」
「えっ……!?」
「聞こえなかったのか? さっさとしろよ」
なんだか、最低なお仕置きをする気ね……。男って生き物はああいうプレイが好きなの? 家系に傷を入れそうな最低な行為な気がするけれど……私はセドルが元婚約者だということを思い出して、穴に入りたい気持ちになっていた……。
私はテーブルに並べられている豪華な食事を手当たり次第に食べて回っていた。流石は腐っても貴族の催し物よね、おそらく平民ではなかなか食べられない物まで混ざっているわ。
「姉さん……」
妹のラーナが私の食べっぷりに少し引いている印象だった。なによ、そんなに頭抱えて見なくてもいいじゃない。別に私は大食いってわけではないわよ? 体型の維持だってちゃんとしてるし……2キロくらいしか増えてないし……。
「まあ、私達くらいの年齢なら、それくらい食べる方がいいのかもね」
「ちょっと、ラーナ。私を大食いみたいに扱わないでよね!」
「大食いかどうかはともかくとして、この中では少なくとも食べている方ね……」
確かに……他の貴族に注目されるほど食べているわけじゃないけれど、確かに私くらい食べている人は居ないわね。それよりも、みんな会話とか踊りに夢中みたい。
「おやおや、これは……バーク子爵の令嬢ではないですか! 久しぶりですね!」
「これはミヅロ子爵。お久しぶりでございますっ」
私とラーナが居なくなったルークを探しながら、辺りを見渡していると、ミヅロ子爵と遭遇した。お父様と仲の良い、私達からすればおじさんみたいなお方。
「いやいや、とても元気に育ったようで。そういえば聞きましたよ? 本日はお二人の婚約者の発表をされるとか?」
さすがミヅロ子爵だわ……貴族の情報にはとても耳が早いという噂は本当なのね。耳が早いって言葉が正しいかはともかくとして。
「ええ、そのとおりですわ。私と……姉のウェルナも新しい婚約者が出来ましたので」
「なるほど、それはとても楽しみですな。どのようなお方なのか……お二人共美人ですから、相手の方もさぞや色男なのでしょう!」
まるで平民同士の会話をしている私とミヅロ子爵。まあ、実際にこの国では、男爵や子爵は平民感情が強いこともめずらしくはない。あんまり貴族として認められていないことが挙げられるけどね。
セドルの態度がそれを如実に物語っていたわね、そういえば。この会場の雰囲気もどこか庶民的なのはその為かもしれないわね。
「ぜひ、幸せになってくださいね!」
「ありがとうございます、ミヅロ子爵」
私は子爵に挨拶をしてその場を後にした。子爵級の人たちって良い人が多いのよね、伯爵級と比べて。その辺りも庶民的な雰囲気と関係しているのかもしれないわ。
「あ、姉さん……! あれ……」
「えっ?」
そんな時、ラーナが慌てたような表情で私に話しかけた。私は彼女が見ている方向に視線を合わせる。そこには……。
「おい……! 誰の膝にスープを零してるんだ?」
セドルの大きな声がこだましていた。彼の膝には熱いスープが零れており、メイドの一人が座り込んでいる。
「も、申し訳ありません……! セドル様……!」
「申し訳ないだと? お前は伯爵令息の俺にこんな阻喪をしておいて、それだけで済むと思ってるのか?」
「な、何卒、ご容赦を……!」
メイドはセドルの態度にすっかり腰を抜かしているのか、上手く言葉が出て来てないみたい。セドルはそんなメイドの態度を見ながら、ニヤニヤと笑っている。なんだか、とてもいやらしい気分になっているわ……。
「許してほしいか?」
「は、はい……許していただけるのでしたら……!」
「ならば、そのテーブルに腕を付いて、尻をこちらに向けろ」
「えっ……!?」
「聞こえなかったのか? さっさとしろよ」
なんだか、最低なお仕置きをする気ね……。男って生き物はああいうプレイが好きなの? 家系に傷を入れそうな最低な行為な気がするけれど……私はセドルが元婚約者だということを思い出して、穴に入りたい気持ちになっていた……。
0
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。
『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』
ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる