婚約破棄されたけど、妹と幼馴染が優しすぎる件

安奈

文字の大きさ
18 / 30

18話 婚約発表 その4

しおりを挟む
「しかし、驚きですな! バーク子爵のご息女が、両方共素晴らしいお相手と婚約されているとは!」

「驚きなんてものでは、言い表せませんよ! 王太子殿下と公爵令息様ですからね~」


「なんにせよ、おめでとうございます! ウェルナ嬢!」


「ありがとうございます、みなさん」


 ラーナとウイング王太子殿下の婚約発表と同じく、私とルークの婚約発表も周囲の貴族から受け入れられているようだった。流石に王太子殿下程のインパクトはなかったみたいだけれど、目の前の二人には十分すぎるくらいのインパクトを与えたみたいね。


「さて、セドルとシャズナ……ウェルナに言った罵詈雑言について、弁解することはあるかい?」


「は、はははは……いやぁ、ルーク様も人が悪いですね……婚約したことを伏せていたんですから……」

「ほ、本当にね、おほほほほ……」


 あれ? ライフポイントはとっくに0だと思っていたけれど、まだ話せるんだ。なにか言い訳みたいなことを言い出しているけれど……。


「ウェルナは元々は私の婚約者だったわけですし……。昔馴染みに対しての冗談みたいなものですよ。確かに少々言い過ぎた面はあったかもしれませんが……なあ、シャズナ?」

 セドルは何枚の舌を持っているのかしら? 呆れた言い訳を言うと、それをシャズナにフォローしてもらおうと、彼女に視線を合わせた。気付いたシャズナは高速で首を縦に振っている。


「あ、は、はい、その通りです、ルーク様……!」 ほら、セドルとウェルナ嬢は仲が良いと思って私も気付かずに乗っかってしまいました……本当に、申し訳ありませんでした……!」


 シャズナの言い分は、私とセドルが元婚約者で、仲が良いと思ったから言っても大丈夫だと思った……要約するとそんな感じかしらね。


「なるほど、それが二人の言い分か……」

「は、はい……!」


 ラーナとウイング王太子殿下は、黙って事の成り行きを見守っている。王太子殿下に言った言い訳と意味合い的には変わらないのよね。もちろん通じるわけはなく……。


「セドルとシャズナ……伯爵令息と伯爵令嬢の身分を地に落とす発言だったな。冗談? そんなものは寝てから言ってくれ……不敬罪もしっかりとプラスするから覚悟しておくんだな!」


「な、不敬罪……!? そ、そんな……!」


 不敬罪という罪とルークの怒号により、セドルとシャズナはとうとうその場に座り込んでしまった。駆け寄る人は誰も居なかったけれど、周囲の貴族達は好き勝手話し始めている。


「ダブルパンチやな、セドルとシャズナは……。これは相当な罰を覚悟せなあかんで」


 ウイング王太子殿下はニヤニヤと笑いながら、座り込んだ二人を見ていた。
しおりを挟む
感想 70

あなたにおすすめの小説

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』  ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...