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13話 お助けの王子様 その1
しおりを挟む「そうなんです、ルデルテ公爵の元で、少し前まで働いていました、ポーションメーカーのレミュラ・ミセットです」
私は正体を知られたので、とりわけ明るい挨拶をしてみた。役人たちは物凄く狼狽えているけれど。
「き、貴様……! こんなところで働いていたのか……!?」
「ええ、そうですけど……知らなかったんですか?」
ニャンコクラブも繁盛しているから、情報が向かっていてもおかしくないと思うけど……サウス王子殿下は特別で、通常の貴族様は平民の動きになんて興味ないのかもね。
「知らなかったら、なんだと言うのだ?」
「いえ、別に……まあ、私がどこで働いていても問題ないですよね? 宮殿でポーションメーカーとして働いていましたが、クビにされちゃったわけですし……」
「ぬ、ぬうう……」
役人は何も言えないみたいね。それはいいんだけれど、「役人」だと呼びづらいわ……私は目の前のリーダー格の役人の名前を聞くことにした。
「あの……お名前聞いてもいいですか?」
「私か……?」
「はい」
目の前で私に紫色のポーションを渡した役人は、若干戸惑っていたけれど……素直に答えてくれた。
「マルクス・エラーだ」
「ありがとうございます。マルクスさま、ですね」
「マルクスでよい」
「はあ……じゃあ、マルクスさん、で」
「うむ……」
ポーションメーカーだったという肩書きに弱いのかしら? なんだか可愛らしい反応が見て取れた。
「マルクスさんは私の能力を知っていますよね?」
「あ、ああ……まあな。スキルでポーションを生み出せるのだろう?」
「そうです。で、この紫色のポーションの効果についても分かってしまうわけでして……」
「な、なにぃ……?」
マルクスは先ほど以上に狼狽えだした。効果についてはよく分かっていないことをアピールしていたけど、もしかして粗悪品だということは知っているんじゃ……? なんだか、そんな疑惑は出てきてしまうわね。
「このポーションの効果……本来のものと比較すると、半分以下の効力です。病気の回復などには使用できませんし……もしかしたら、副作用とかが出てきてしまうかも」
「う、そ、そんなことも分かるのか……?」
明らかに慌てふためいた口調で、マルクスは言った。私はそんな彼に頷いて見せる。
「ええ、信じられないなら、機械に通して調べても構いませんが……」
「ならんならん! ポーションメーカーか何か知らないが、今はただの従業員だろう!?」
図星を突かれすぎたのか、マルクスの口調はこれまでで一番荒くなっていた。腕づくで納得させる気のようね。
「とにかく! このポーションは3000ゴールドだ! 渋るようなら、ルデルテ公爵に報告をして……!」
ルデルテ公爵の名前を出して強引に場を収めようという気ね。なんとか対抗したいけど、どうしたらいいかしら……ミオナたちは、完全に怯えてしまっているし……。
と、そんな時だった。まさかの助け舟が現れたのは……。
「そこまでだ、マルクス卿」
聞き覚えのある声に私は安心感が生まれてしまう。そこに居たのは見知った人物だったから。
「お、王子殿下……!?」
「横暴すぎるやり口だ……お前は貴族社会に泥を塗るつもりか?」
静かな怒り……冷静な口調のサウス王子殿下からは、そんな雰囲気が感じ取れた。
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