ポーションメーカーとして国家に尽くしてましたが、婚約破棄されちゃいました!

安奈

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26話 食事 その1

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 宮殿近くの貴族街……その一画にある高級そうなレストランに、私とサウス王子殿下は入ることにした。別にデートとかではなくて、ただの食事……私の就職祝いみたいだけど。


「レミュラ、喜んでくれてるのかい?」

「えへへ、そりゃあもう……!」

「そ、そうか……」


 ちょっとだけ照れた様子でサウス王子殿下は、明後日の方向を見ていた。私はルデルテ公爵と婚約する前、彼に惚れていたから……でも、第三王子と付き合うなんて、とても出来ないと考えていた。ポーションメーカーとして働いていたけれど、自らの恋については封印している……ルデルテ公爵と婚約が決まってからも、気持ちが揺らぐことはなかった気がするわね。


 まあ、ルデルテ公爵があんな人だったのは、もっと予想外だったけどさ……。


 私とサウス王子殿下は店員さんに勧められた窓際の席に付くことにした。例の一件もあったので、本日の護衛はいつもよりも強固になっている。それでも、私たちの邪魔をしないように配慮してくれているみたい。


「言うまでもないが、私からご馳走させてくれ。何でも注文して構わないよ」

「ええと……さ、流石になんでも、というのは……」


 ステーキ関係の食べ物を筆頭に、飲み物だけでも桁がおかしい……貴族街のレストランってこんなに高いの? 私が働いていた時は、あんまり貴族街で食事ってなかったから。


「価格が凄いですね……2000ゴールドのステーキとか、私が売ってるポーションより高い……」


 多分、びっくりするくらいに美味しいんだろうけど、万能薬という異名を持つ私のポーション……サウス王子殿下の命名した新たな名前「スーパーポーション」よりも高いの2倍の価格か……。効果とかを考えると、色々とおかしいわね……。2000ゴールドと言えば、ある程度の宿屋の1泊の金額くらいだし。


「ははは、しかし、君のスキルならすぐに回収できる値段だ。そう考えると、君のスキルは恐ろしいな」

「あ、あはははは、そう考えると、確かにそうかもですね」


 私たちは笑いながら、メニューを一通り見て行った。せっかく、サウス王子殿下がご馳走してくれるのに、遠慮するのも返って悪い気がする。私はこの2000ゴールドのステーキを注文することにした。大丈夫、大丈夫、私は結構大食いだし、太らない体質でもあるから。



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「しかし……レミュラも以前は宮殿で働いていたが、こうして食事をするのは初めてかな?」


「むぐむぐ……確かに、そうですよね」


 私は大きなステーキを頬張りながら、サウス王子殿下と話していた。ちょっと失礼だったかもしれない……いや、でもこのお肉、めちゃくちゃ美味しくてさ……! とても我慢できなかったの。


「王子殿下との食事なんて……平民の私からすると夢のようです」

「はは、そう言ってもらえるのは有り難いが、少し寂しくもあるかな」


「サウス様……?」


 あれ? なんだか本当に寂しそうな表情をされているような……。私、何か変な発言しちゃったかな?


「王子との食事を喜んでくれるのは嬉しいよ。しかし、それは私の立場的なものでしかない。レミュラ……私はもう少し、君と個人的な関係を深めたいと思っていたし」

「えっ? お、サウス王子殿下……?」


 じょ、冗談……? という顔つきじゃないわ。それに、サウス王子殿下は冗談を言うような人じゃないし……えっ、嘘……本当に? もしかして王子殿下も、私と同じ気持ちだったのかしら?


「私もそう言っていただけるのは嬉しいです。ですが……サウス様の立場で、それ以上は不味いのでは……」


 私はやんわりと否定? の言葉を掛けてみた。周囲には護衛の人たちも居ることだし。一瞬の気の迷いなら、普段のサウス王子殿下なら、正気に戻るはず。でも……この時の王子殿下はさらに進んで来たのだった。


 ええと……私はどうしたらいいんだろう?

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