ポーションメーカーとして国家に尽くしてましたが、婚約破棄されちゃいました!

安奈

文字の大きさ
25 / 33

25話 新しい仕事 その2

しおりを挟む
 翌日、私はルデルテ公爵やその配下が管理していた調合部門に入った。昨日はミオナにサウス王子殿下のことを根掘り葉掘り聞かれて大変だったけど……。


 現在、私の隣には王子殿下の姿もある。彼との関係……昔は宮殿などで出会っていたけれど、今はどういう関係かと問われると……難しいわね。


「サウス王子殿下、ここが調合部門なんですよね?」

「そうだな、ここがポーション製造の拠点だったようだ」


 私がルデルテ公爵の婚約者だった時には、この場所はまだ存在していなかったはず。いえ、あったのかもしれないけど、目の前にある大きな釜などは、その後に運び込まれたんでしょうね。薬調合にはかかせない材料が残されているようで、独特なツンと鼻を刺激する臭いが私たちの周囲を覆っていた。


「君の新しい仕事場はここになるが……他の仕事仲間は信頼に足る人物にしているので、安心してくれ」

「本当ですか? ありがとうございます」


 元々はルデルテ公爵の部下が使っていた場所。公爵に心酔している者に逆恨みされないか、少しだけ心配していたから……。


「公爵の部下たちも調合に携わるようにはなるが、心配する必要はない。元々、劣悪な待遇に不満を抱えていた者達が大半だったからな。それに、私の護衛も常に置いておくので、安心して臨んでほしい」

「サウス王子殿下……本当にありがとうございます」

「ははは、気にする必要はないよ。それから、金庫に入っていた君の以前の給料もちゃんと渡すから、安心していいよ。もちろん、迷惑を掛けた分、多めにしている」


 何から何までサウス王子殿下は、私に優しくしてくれている。私が提案したこととはいえ、ポーション製造の現場で働かせてもらい、護衛を付けてもらい、以前の給料も色を付けて返してくれる。

 さすがは第三王子様なだけはあるわね。この人が次代の国王陛下になれば、国民は安心できそうだけど。



---------------------------------------------------------



 その後は私の基本的な職務に対する最終確認が行われた。私は調合部門の部屋でポーションを製造しつつ、他の人が作っているポーションの出来栄えをチェックしたりする。後は、私のスキルで作ったポーションとの成分比較等をして、より効率の良いポーション量産に向けて検討を重ねたり……。

 あれ? 私の立ち位置がかなり重要ポストになっているような……まあ、やりがいはありそうだけどさ。


「そうだ、レミュラ。君の新たな就職を祝って、食事でもどうかな? これは……個人的なものだが」


「あ、ありがとうございます! もちろん、ご一緒させていただきます!」


 私はやや緊張しながら、そう答えた。


「そうか、なら貴族街のレストランにでも向かおうか」

「は、はい……!」


 一般人でしかない私が、サウス王子殿下と個人的に食事に行けるなんて……サウス王子殿下って、まだ婚約者等は居なかったはず。これってもしかすると、もしかするのかしら?


 私は緊張感の中に、そんな邪な感情を芽生えさせていた。以前は絶対に届かないだと思っていた、サウス王子殿下への想い……ルデルテ公爵の一件で、不可能ではないところまで来ている予感がしていたから。
しおりを挟む
感想 85

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

実家に帰ったら平民の子供に家を乗っ取られていた!両親も言いなりで欲しい物を何でも買い与える。

佐藤 美奈
恋愛
リディア・ウィナードは上品で気高い公爵令嬢。現在16歳で学園で寮生活している。 そんな中、学園が夏休みに入り、久しぶりに生まれ育った故郷に帰ることに。リディアは尊敬する大好きな両親に会うのを楽しみにしていた。 しかし実家に帰ると家の様子がおかしい……?いつものように使用人達の出迎えがない。家に入ると正面に飾ってあったはずの大切な家族の肖像画がなくなっている。 不安な顔でリビングに入って行くと、知らない少女が高級なお菓子を行儀悪くガツガツ食べていた。 「私が好んで食べているスイーツをあんなに下品に……」 リディアの大好物でよく召し上がっているケーキにシュークリームにチョコレート。 幼く見えるので、おそらく年齢はリディアよりも少し年下だろう。驚いて思わず目を丸くしているとメイドに名前を呼ばれる。 平民に好き放題に家を引っかき回されて、遂にはリディアが変わり果てた姿で花と散る。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

処理中です...