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4話 聖女 その1
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「アンネリー様、おはようございます。本日も熱心でございますね」
「これは神官長様。おはようございます」
お祈りにやって来た私に声をかけてくださったのは、教会の神官長ジトノーダ・マークノイヤ様です。誰にでも優しいお方として、貴族の間でも有名な方になります。
「アンネリー様のお祈りは、もしかしますと、女神様に届いているのかもしれませんな」
「それだと嬉しいのですが……私の祈りくらいで、女神様が動くとも思えませんが」
「いえいえ、そうとも限りませんぞ? アンネリー様ほど熱心なお方も珍しいですからな」
「神官長様……」
確かに私は治癒の女神サーフェイス様の文献などを読み漁り、図書館に何度も通ったこともありました。サーフェイス様の記事については、全てファイルに閉じている程ではあります。
「現に最近ではアンネリー様のおかげで、傷や病気が改善したという者が増えております」
神官長様の気になる発言です。私は無意識の内に視線を合わせていました。
「今のはどういうことでしょうか? 私のおかげ、というのは……?」
「言葉の通りですよ。アンネリー様の祈りの効果で、人々を治癒しているという」
「まさか、そんなことは……」
お祈りをしているのは私だけではありません。当然、怪我や病気を患っている本人も祈っているでしょうから……その祈りがサーフェイス様に届いているとも考えられます。
「それがですね……聞くところによると、アンネリー様の夢を見たり、幻覚を見たりと、症状が改善した者は全てアンネリー様の何かしらを見ているようなのです」
「私の夢や幻覚……?」
確かに人々の為にお祈りはしていましたが、にわかには信じられないことでした。ですが、神官長様が嘘を言うわけはありませんし、怪我や病気が治った人々も嘘を言う意味がありません。これはどういうことなのでしょうか……?
「あ、聖女様だ!」
「まあまあ、本当ね! 聖女様よっ!」
「アンネリー様~~~!」
なんということでしょうか……教会内に居た人々が私の存在に気付くと、一斉に立ち上がったのです。そして私の名前を一斉に呼んでくれているようです。それ自体は嬉しいことなのですが、なんだか気になる単語が混ざっていました……。
「あの、神官長様……聖女というのは……?」
「あなた様のことですよ、アンネリー様。慈愛の聖女……そのように呼ぶ者も増えておりますよ?」
「じ、慈愛の聖女……」
私はなんだか恥ずかしくなってしまいました。とても自分がそのように呼ばれる器ではないからです。しかし、私に手を振ってくれている人々は満面の笑顔で出迎えてくれているようです。私は彼らの声援に応えるように、手を振り返すのでした。
それにしても慈愛の聖女……本当に私はそうなのでしょうか?
「これは神官長様。おはようございます」
お祈りにやって来た私に声をかけてくださったのは、教会の神官長ジトノーダ・マークノイヤ様です。誰にでも優しいお方として、貴族の間でも有名な方になります。
「アンネリー様のお祈りは、もしかしますと、女神様に届いているのかもしれませんな」
「それだと嬉しいのですが……私の祈りくらいで、女神様が動くとも思えませんが」
「いえいえ、そうとも限りませんぞ? アンネリー様ほど熱心なお方も珍しいですからな」
「神官長様……」
確かに私は治癒の女神サーフェイス様の文献などを読み漁り、図書館に何度も通ったこともありました。サーフェイス様の記事については、全てファイルに閉じている程ではあります。
「現に最近ではアンネリー様のおかげで、傷や病気が改善したという者が増えております」
神官長様の気になる発言です。私は無意識の内に視線を合わせていました。
「今のはどういうことでしょうか? 私のおかげ、というのは……?」
「言葉の通りですよ。アンネリー様の祈りの効果で、人々を治癒しているという」
「まさか、そんなことは……」
お祈りをしているのは私だけではありません。当然、怪我や病気を患っている本人も祈っているでしょうから……その祈りがサーフェイス様に届いているとも考えられます。
「それがですね……聞くところによると、アンネリー様の夢を見たり、幻覚を見たりと、症状が改善した者は全てアンネリー様の何かしらを見ているようなのです」
「私の夢や幻覚……?」
確かに人々の為にお祈りはしていましたが、にわかには信じられないことでした。ですが、神官長様が嘘を言うわけはありませんし、怪我や病気が治った人々も嘘を言う意味がありません。これはどういうことなのでしょうか……?
「あ、聖女様だ!」
「まあまあ、本当ね! 聖女様よっ!」
「アンネリー様~~~!」
なんということでしょうか……教会内に居た人々が私の存在に気付くと、一斉に立ち上がったのです。そして私の名前を一斉に呼んでくれているようです。それ自体は嬉しいことなのですが、なんだか気になる単語が混ざっていました……。
「あの、神官長様……聖女というのは……?」
「あなた様のことですよ、アンネリー様。慈愛の聖女……そのように呼ぶ者も増えておりますよ?」
「じ、慈愛の聖女……」
私はなんだか恥ずかしくなってしまいました。とても自分がそのように呼ばれる器ではないからです。しかし、私に手を振ってくれている人々は満面の笑顔で出迎えてくれているようです。私は彼らの声援に応えるように、手を振り返すのでした。
それにしても慈愛の聖女……本当に私はそうなのでしょうか?
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