没落寸前貴族令嬢は聖女として成り上がる~侯爵様からの求婚もあり嬉し恥ずかしです~

安奈

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6話 聖女 その3

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「と、いうわけなんだが……シャリー、なにか思い当たることはないか?」

「まあ、アンネリーにそのような現象が……? まあまあ……!」


 普段はお淑やかな雰囲気の漂わせているお母様ですが……本日は少し、ハイテンションになっているようでした。やはり、私が聖女としての能力に目覚めたと思っていらっしゃるのでしょうか……?


「お、お母様……私は聖女と周囲から呼ばれる事態になったのですが……それについて、違和感はないのでしょうか?」

「そうですね……まさか、アンネリーがその血を受け継ぐことになるとは想像していなかったけれど。個人的には、それほど不思議なことではないと思っていますよ?」



 お淑やかなシャリーお母様。最初こそ少しハイテンションになりましたが、すぐに平常時に戻っているようでした。通常であれば、娘が聖女だとすると驚きで言葉を失ってしまいそうですが……。


「お母様……失礼かとは思いますが、知っていることを話していただいても良いでしょうか? 神官長様もここに行きつくとことを想定していらしたように思えるので……」

「あら、神官長様からお話しを伺ったのかしら? なら、無理もないですね……」


 お母様は何かを悟ったように真剣な表情になりました。それから、静かな口調で話し始めます。


「私の母や祖母の代では、聖女の能力は発現していなかったみたいだけれど……それよりもさらに以前の代では、稀に発言する者が生まれていたようね。うふふ、まさかアンネリーにその才能が引き継がれるなんて……」


 お母様は無邪気に笑いながら、私を優しく抱き寄せてくれました。嬉しいのですが、少し恥ずかしさも込み上げてしまいます。私も既に年頃の年齢ですので……。


「ふ~む、なるほど……そうなると、アンネリーの祈りでの回復能力の発言は、そう矛盾したものでもないのか……」

「左様でございますね。アンネリーは昔から不思議な子ではありましたから……聖女として覚醒しても、おかしくはないのかもしれません」


「お母様……それは誉め言葉なのでしょうか?」

「あら、誉め言葉よ? 聖女になる程の器の者はまともな神経ではいられないと言うし……」


 つまり、私はまともな神経の持ち主ではないということでしょうか……? ああ、尊敬していたお母様にそのように見られていたのはショックかもしれません……。でも、これで少しハッキリしたことがありました。


「お父様、お母様……私の能力の全貌はまだはっきりしませんが……聖女としての能力が発現しているのなら、フィーゼ家を立て直す助力になるのではないでしょうか?」


 私は考えていたことを二人に話します。婚約破棄により、お父様を落胆させてしまいました……その償いは絶対にしたいと考えていたのは事実なのですから。


「なるほど、確かにそれはあるのかもしれんな。しかし……」

「絶対に無理をしては駄目よ、アンネリー? 家系など所詮は形骸的な物……本質を見失っては、貴族もなにもあったものではないからね?」


「お父様、お母様……畏まりました。絶対に無理はしないと約束いたします」


 私はおもわず、涙を浮かべながら二人に頭を下げていました。聖女の能力も没落貴族の復興も、人間の命には代えられないもの……私はお父様とお母様にそのことを再度、教わった気がしていました。そして……そのことを胸に刻みながら、進んで行こうと誓ったのです。
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