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8話 ウィフレ侯爵様 その2
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「初めまして……と言えばいいでしょうか?」
「は、はい……初めまして……ウィフレ侯爵様……」
「おや? 私のことをご存知でしたか、アンネリー殿」
「それはもちろん……」
ウィフレ・ガードル侯爵様。我が王国内でも有名貴族として名高いお方です。こうしてウィフレ侯爵とお話しするのは初めてでしたが、とても知性を感じる話し方に私の緊張感は自然と和らいでいきました。
「驚きました、以前からお祈りをしていたのは見ていましたが、まさか聖女様だったとは」
「い、いえ……偶然、わかっただけですので」
「それでも素晴らしいですよ。人々の怪我や病気を治癒できる能力……」
「あ、ありがとうございます」
まさか、ウィフレ侯爵様ほどのお方からこんなことを言われるとは……嬉しさももちろんありますが、それ以上に顔が赤くなっている自分の存在に気付きました……。この感情がどういったものなのかはわかりませんが、なぜか神官長様は微笑みながら……
「それでは、邪魔者は去るとしますかな、ふふふふふ……」
「し、神官長様……!?」
いきなり去って行く神官長様……なぜだか、いたずらっ子のように見えてしまいました……。そして、私とウィフレ侯爵の二人だけとなってしまいます。もちろん教会ですので、他にもお祈りをしている方々は多いですが……。
「う~む、なんというか……神官長殿はあれでお茶目な方のようですね……」
「た、確かにそうかもしれません……」
ウィフレ侯爵様もどこか気持ちのやり場に困っていらっしゃるようでした。おそらく、私に話しかけて来られたのは、神官長様が近くに居られたことも関係しているでしょうから。
「あ、あの……ウィフレ侯爵様」
「はい……なんでしょうか?」
位では上になられるウィフレ侯爵様から敬語を使われると、恐縮してしまいます。私はなんとか声を絞り出すことにしました。
「ご、ご用件はどういったことなのでしょうか……?」
「ああ、用件でございますね。これと言って、用件があるわけではないのですが……」
ウィフレ侯爵は顔を赤らめています。どうして赤くなっているのでしょうか? 私もつられて赤くなってしまいそうです……。
「あなたとは、以前からお話しをしてみたかった。それだけですよ……望みが叶って、とりあえずは満足しています」
「こ、侯爵様……!?」
顔の赤らめているウィフレ侯爵様からの熱烈な言葉と言えばいいのでしょうか……周囲の子供たちは、こちらを見ながらからかい半分に何かを言っているようです。私はまともに侯爵様の顔を見ることができなくなってしまいました……。
「は、はい……初めまして……ウィフレ侯爵様……」
「おや? 私のことをご存知でしたか、アンネリー殿」
「それはもちろん……」
ウィフレ・ガードル侯爵様。我が王国内でも有名貴族として名高いお方です。こうしてウィフレ侯爵とお話しするのは初めてでしたが、とても知性を感じる話し方に私の緊張感は自然と和らいでいきました。
「驚きました、以前からお祈りをしていたのは見ていましたが、まさか聖女様だったとは」
「い、いえ……偶然、わかっただけですので」
「それでも素晴らしいですよ。人々の怪我や病気を治癒できる能力……」
「あ、ありがとうございます」
まさか、ウィフレ侯爵様ほどのお方からこんなことを言われるとは……嬉しさももちろんありますが、それ以上に顔が赤くなっている自分の存在に気付きました……。この感情がどういったものなのかはわかりませんが、なぜか神官長様は微笑みながら……
「それでは、邪魔者は去るとしますかな、ふふふふふ……」
「し、神官長様……!?」
いきなり去って行く神官長様……なぜだか、いたずらっ子のように見えてしまいました……。そして、私とウィフレ侯爵の二人だけとなってしまいます。もちろん教会ですので、他にもお祈りをしている方々は多いですが……。
「う~む、なんというか……神官長殿はあれでお茶目な方のようですね……」
「た、確かにそうかもしれません……」
ウィフレ侯爵様もどこか気持ちのやり場に困っていらっしゃるようでした。おそらく、私に話しかけて来られたのは、神官長様が近くに居られたことも関係しているでしょうから。
「あ、あの……ウィフレ侯爵様」
「はい……なんでしょうか?」
位では上になられるウィフレ侯爵様から敬語を使われると、恐縮してしまいます。私はなんとか声を絞り出すことにしました。
「ご、ご用件はどういったことなのでしょうか……?」
「ああ、用件でございますね。これと言って、用件があるわけではないのですが……」
ウィフレ侯爵は顔を赤らめています。どうして赤くなっているのでしょうか? 私もつられて赤くなってしまいそうです……。
「あなたとは、以前からお話しをしてみたかった。それだけですよ……望みが叶って、とりあえずは満足しています」
「こ、侯爵様……!?」
顔の赤らめているウィフレ侯爵様からの熱烈な言葉と言えばいいのでしょうか……周囲の子供たちは、こちらを見ながらからかい半分に何かを言っているようです。私はまともに侯爵様の顔を見ることができなくなってしまいました……。
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