公爵様と恋仲になりました！～婚約破棄された身だけれど、なんとか幸せを勝ち取れそうです～

4話 シャルカ・ウィンドル その2

「姉さま……婚約破棄とはどういうことでしょうか……？」


　シャルカの目が座っている……こ、怖い……。真実を告げるのが非常に怖いわ……。


「言葉の通りよ、シャルカ……私はアルトファ様に婚約破棄されたの。それから……」

「それから……なんでしょうか？」


「私の次……つまり、乗り換えとして選んだ相手は、シャルカ、あなたよ」

「まあ、そんなことが……！」


　シャルカは何も聞かされていないのか、とても驚いた表情をしていた。それと同時に、拳に力を入れて、ワナワナと震えている。


「シャルカ、落ち着いて。ね？」

「ふふふふ……姉さま、この状況で落ち着けと？　姉さまをコケにして……アルトファ……！」


　怖い……とても怖いわて、シャルカ……。私の為に怒ってくれるのは嬉しいけれど……これでは、彼がシャルカを選んだ理由を伝えられない……。


「姉さま……アルトファが私を選んだ理由は、もしかしたらすぐに、やらせてくれそうだからとか、そういった理由ではないですか？」


　アルトファ様を呼び捨てにしているのが、ものすごく怖いけれど……。流石シャルカ……自分に対する噂もしっかりと気付いていたようね。これでは否定しても意味がないので、私は黙って頷いた。


「やっぱり……そういうことですか、うふふふふふふ……」

「あなたが尻軽だなんて、私は思っていないわよ？　だから安心して」

「わかっています、姉さま……。でも、これは逆に利用できるかもしれませんわね」

「ちょ、ちょっと、シャルカ？」


　一体、何を考えているのか……私はシャルカの態度に酷く心配になってしまった。まさかとは思うけれど、侯爵であるアルトファ様に復讐を考えているんじゃ……。シャルカは以前から、私に対してはその……なんというか、シスコンと言えばいいのか、過剰な執着心を持っているようだったから……。


「うふふ、大丈夫ですよ、姉さま。まずは、アルトファ様からの婚約の申し出を、ゆっくりと待ちたいと思います」


　あれ？　今はアルトファ「様」って呼んでるし……なんだか、シャルカの態度は本当に心配になった。なんだか、壮大な復讐とかを考えていそうな……そんな妹の瞳。でも、今の私は何をするでもなく、ただ、時が流れるのを待つしかなかった……。