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3話 シャルカ・ウィンドル その1
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その日、私はラーデュイ様の乗っていた馬車で、貴族街の私邸まで運んでもらった。とてもありがたく、恥ずかしいことではあったけれど、それ以上に、ラーデュイ様のお心遣いに感謝していた。
私は玄関先でラーデュイ様に頭を下げる。
「本日は本当にありがとうございました、ラーデュイ様……」
「なに、気にすることはない。悲しんでいる令嬢が貴族街に居たのだ。これを助けない者は貴族ですらないさ」
「ありがとうございます……」
ラーデュイ様は見返りなど一切求めない口調でおっしゃった。何と形容すればいいのかしら……とても、大きな器を持っているお方……流石はケネス家の当主様ね。ラーデュイ様には感謝しか出来ない自分が情けなくもあった。
「貴殿に婚約破棄を言い渡したアルトファだが……ふむ、少し調査が必要かもしれん。また、顔を出しても良いだろうか?」
私の屋敷に来ていただけるということかしら? もちろん断る理由のない私は即答した。
「は、いつでもお待ちしております。父や母と一緒に、最高級のおもてなしをさせていただきたいと存じます!」
「いやいや……とてもありがたい話だが、そこまでしていただくことではないさ。では、また時間を見つけて訪れるとするよ。それではな、セリナ嬢」
「は、はい……ありがとうございました……!」
私は深々と頭を下げて、ラーデュイ様を見送っていた。不思議な感情が心に芽生えている。心の底から愛そうと努力していたアルトファ様に振られた……本来であれば、その悲しみで何も考えられないはずなのに……。
今の私はラーデュイ様に助けられた嬉しさの方が勝っているようだった。
-----------------------------------------------
「お姉さま~~~~~!!」
「しゃ、シャルカ……!?」
私が屋敷に入るとほぼ同時に、妹のシャルカが私を出迎えてくれた。彼女のテンションの高さに私は面食らってしまったけれど。
「本日は如何でございましたか? アルトファ様とのお話しと伺っていましたが……?」
何も知らないシャルカの瞳が眩しかった。こうして見ると、確かにシャルカは美人ね……底抜けの明るさも含んで、尻軽という噂が出ているのかもしれないわ……。
「ええ、そのことだけれど……婚約破棄をされたわ」
私は隠すことなく、真実を伝えた。途端にシャルカの表情が変化していく……あ、怖いかも……。
「婚約破棄……? なんですか、それは……おいしいんでしょうか……?」
私はシャルカの態度の豹変ぶりに、少し引いてしまっていた……。気持ちは嬉しいんだけど、今にもアルトファ様を刺しそうな勢いがなんとも……。
私は玄関先でラーデュイ様に頭を下げる。
「本日は本当にありがとうございました、ラーデュイ様……」
「なに、気にすることはない。悲しんでいる令嬢が貴族街に居たのだ。これを助けない者は貴族ですらないさ」
「ありがとうございます……」
ラーデュイ様は見返りなど一切求めない口調でおっしゃった。何と形容すればいいのかしら……とても、大きな器を持っているお方……流石はケネス家の当主様ね。ラーデュイ様には感謝しか出来ない自分が情けなくもあった。
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「は、いつでもお待ちしております。父や母と一緒に、最高級のおもてなしをさせていただきたいと存じます!」
「いやいや……とてもありがたい話だが、そこまでしていただくことではないさ。では、また時間を見つけて訪れるとするよ。それではな、セリナ嬢」
「は、はい……ありがとうございました……!」
私は深々と頭を下げて、ラーデュイ様を見送っていた。不思議な感情が心に芽生えている。心の底から愛そうと努力していたアルトファ様に振られた……本来であれば、その悲しみで何も考えられないはずなのに……。
今の私はラーデュイ様に助けられた嬉しさの方が勝っているようだった。
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「お姉さま~~~~~!!」
「しゃ、シャルカ……!?」
私が屋敷に入るとほぼ同時に、妹のシャルカが私を出迎えてくれた。彼女のテンションの高さに私は面食らってしまったけれど。
「本日は如何でございましたか? アルトファ様とのお話しと伺っていましたが……?」
何も知らないシャルカの瞳が眩しかった。こうして見ると、確かにシャルカは美人ね……底抜けの明るさも含んで、尻軽という噂が出ているのかもしれないわ……。
「ええ、そのことだけれど……婚約破棄をされたわ」
私は隠すことなく、真実を伝えた。途端にシャルカの表情が変化していく……あ、怖いかも……。
「婚約破棄……? なんですか、それは……おいしいんでしょうか……?」
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