公爵様と恋仲になりました!~婚約破棄された身だけれど、なんとか幸せを勝ち取れそうです~

安奈

文字の大きさ
6 / 10

6話 策略 その2

しおりを挟む


 玄関先では既に、ラーデュイ様や御者、護衛の方々が立っていらっしゃった。出迎えているのはメイド達なので、お父様とお母様は不在みたいね。


 私とシャルカの二人は、ラーデュイ様に深々とした挨拶をし、すぐに近くの応接室へとお迎えする。


「急に訪ねてしまって申し訳なかったな、セリナ嬢よ」

「いえ、とんでもないことでございます、ラーデュイ様。いつでも来ていただけるよう、準備をしておりました」


 嘘も方便と言えばいいのかしら? この辺りは決まり文句のようなものね、おそらくラーデュイ様も分かっていると思うわ。


「驚きました……ラーデュイ様がいらっしゃるなんて。姉からは、例の一件で助けていただいたと聞いております。姉を助けていただいて、本当にありがとうございました!」


 気さくな雰囲気を絶やさないシャルカは、ラーデュイ様に対しても明るく振る舞っている。こういう雰囲気に騙された貴族は多いとかなんとか……。


「セリナ嬢の妹のシャルカ嬢だな? 助けただなんてとんでもない。たまたま、通り過ぎただけに過ぎないよ」

「いえ、ラーデュイ様、それはご謙遜でございますわ……私も本当に感謝しております」

「いやいや、参ったな……二人の令嬢からそのように言われては、これ以上、否定しては失礼に値しそうだ」


 流石はラーデュイ様といったところかしら? 私やシャルカの言葉に対する受け止め具合が絶妙と言える。少しだけ引いてからろいうのも、位の高い貴族らしくないわ。


 通常は、アルトファ様のような態度でもおかしくはないのに……私の中でのラーデュイ様の印象が上がった一幕だった。


「そちらのシャルカ嬢だが……」

「はい! なんでございましょうか?」


 話題は変わったようだけれど、相変わらず明るい受け答えのシャルカにラーデュイ様も、自然と笑みがこぼれていた。むむむむ……あれ? なんだか、いけない感情が芽生えてしまったような……。


「シャルカ嬢、貴殿はアルトファ・セネガリー侯爵に結婚の申し出を受けたのではないかな?」

「あ、もう既にラーデュイ公爵にもお話しが行ってましたか。その通りですっ」

「なるほど……上位貴族に一早く、話が向かったようだ。まだ、ほとんどの者が知らないだろうがな」


 それはそうか……アルトファ様は腐っても侯爵の立場。ラーデュイ様を始めとした方々には、婚約が決まりそうになれば、連絡くらいするわよね。


「シャルカ嬢と言えば、気さくで明るく、ルックスも良いという噂が絶えない。それに対して、裏では尻軽だの色々言われているようだな」

「そうみたいですね、まあどうでもいいですけど。というか、私まだ15歳ですよ? 流石に尻軽になる年齢ではないと思いますけど……」

「平民たちの間では15歳以下でも身体を売らないと生きて行けない者達が居るようだ」

「あ、そうなんですね……」


 明るく振る舞っていたシャルカだけれど、急に大人しくなった。彼女は感受性が強く優しい一面も持っているので、特に驚かないけど。


「ああ、済まない。特に貴殿を責めているとかそういうことではない。私が言いたいのは、尻軽が良いなどという理由でセリナ情と婚約破棄をし、シャルカ嬢に乗り換えたアルトファは許せない、ということだ」


「ラーデュイ様……」


 私はラーデュイ様のお言葉に感動を抑えられないでいた。単純にそんなことを言ってくれるのも嬉しいけれど、妹のシャルカへの配慮についても感動している。


 そして、シャルカは物凄い勢いで首を縦に振っていた……なにか、良からぬことを思い付いた表情ね……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません

藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は 愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。 夫が愛人を持つことも、 その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。 けれど―― 跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。 その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。 私は悟ったのだ。 この家では、息子を守れないと。 元々、実家との間には 「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。 ならば話は簡単だ。 役目を終えた私は、離縁を選ぶ。 息子と共に、この家を去るだけ。 後悔しているようですが―― もう、私の知るところではありません。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

《完結》初夜をすっぽかされた令嬢は夫を死亡扱いする

さんけい
恋愛
クズ夫の非常識を帳簿で粛々と清算!真実の愛?笑わせるわね! 全14話。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...