公爵様と恋仲になりました!~婚約破棄された身だけれど、なんとか幸せを勝ち取れそうです~

安奈

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9話 ラーデュイとの散歩 その2

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「こ、今後も、このような関係をですか……?」

「ああ、その通りだ」


 いきなりのラーデュイ様からの発言に、私はどう答えたらいいのかわからなかった。公爵様からの誘いの言葉でもある……本来であれば、すぐにOKを出したいところだけれど。ラーデュイ様の表情はそういう階級のしがらみを無視してほしいという感情が込められているように見えた。


「もちろん、回答を急ぐつもりなど毛頭ない。今は、セリナ嬢の胸の内に留めていてくれれば嬉しい。ただ、否定を考えているのなら……出来れば聞いておきたい。貴殿に迷惑を掛けるのは、本意ではないのでな」


 ラーデュイ様は本心で気遣ってくれている。それは間違いないと、私の本能も告げていた。ラーデュイ様のお言葉の真相はどういうものだろう? 私に対しての気遣い、一目惚れ……婚約破棄を言われたばかりの私には、その真相まで辿り着くのは到底不可能だった。

 そうなれば、私の答えは一つしかない。


「保留……と、いうことでもよろしいでしょうか?」


「否定ではない、か……ああ、私としては十分だよ。ありがとう」


「いえ……とんでもないことでございます、ラーデュイ様。しかし……私程度の者が、このようなことを申し上げて、本当によろしいのでしょうか?」


 私程度、と言えば語弊があるかもしれないけれど、私は伯爵令嬢でしかない。公爵であるラーデュイ様に気に入られるとなれば、少し物足りない家系だ。それを承知でラーデュイ様がおっしゃっているのだとすれば、それは……。


「当たり前だろう? 確かに、我がケネス家は王国内でも古豪であり、影響力の強い家系だ。パイプラインという意味合いで、貴殿の家系と親密になる意味合いは薄いと言えるだろう」


「はい」


 ラーデュイ様は事実を話しているだけ。確かに公爵様が、一介の伯爵令嬢と恋仲になるなんてことは……ほとんどないと思うけど。


「この出会いは運命ではないかと思っている。セリナ……貴殿との仲を今後とも深めて行ければと思うよ」

「は、はい……ありがとうございます、ラーデュイ様……」


 う、うわ……顔が真っ赤になってしまって、まともにラーデュイ様に視線を合わせられない……。シャルカは窓からイタズラ小僧のような表情で私を見ていた……。も、もう! いい加減にしてよね!


 私は顔を赤くしながら、ラーデュイ様に感謝する以外にはなかった。この感情はどのように持って行けばいいのかしら……? アルトファ様に婚約破棄をされたばかりなのに……私はこの時、まともな思考を巡らせることは出来ないでいた。
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