辺境に住む元Cランク冒険者である俺の義理の娘達は、剣聖、大魔導師、聖女という特別な称号を持っているのに何歳になっても甘えてくる

マーラッシュ

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クラス対抗戦その後(2)

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 ミリアside

「メルルンに⋯⋯ううん⋯⋯Fクラスに負けたよ」

 メルルが私に手を伸ばしてきたのでその手を掴み立ち上がる。

「わ、私なんて⋯⋯みんながいてくれたから⋯⋯」
「それにしても見事な作戦だったね。格上の人達と戦う時は奇襲をかけたり隙をつく⋯⋯まるでパパが考えたみたい」

 メルルは私の言葉に驚きの表情を浮かべていた。

「よくわかったね⋯⋯私達に魔法の使い方を教えてくれたり、Sクラスの人達やミリアちゃんの対策を考えてくれたのは全部ユクトさんなの」
「えっ!? ということはメルルンもパパと同調しちゃったの!? パパの浮気者ぉぉ!」
「ご、ごめんねミリアちゃん!」

 私の敵になったことといいパパに今回のことを問い詰めなくちゃ!

 この時のミリアは愛人との浮気を追求する正妻のような気分であり、急ぎユクトの元へと向かうつもりであったが足に疲労があることでゆっくり歩くことしかできなかった。


 ユクトside

 ビルドを教師達が拘束してしばらく経った後。

「ユクトさ~ん」

 Fクラスの子達が東側の森から俺の名前を呼びながら走ってくる。

「どうだ! 俺達にかかればSクラスなんて余裕だぜ⋯⋯何て言いたい所だけど全てはユクトさんのお陰です。ありがとうございました」

 Fクラスの子達はライルに従って皆俺に頭を下げてきた。
 みんな良い顔をしてるな。
 どうやら今回Sクラスに勝ったことによって自信がついたようだ。これでFクラスのみんなは自分が劣等生だと思わないだろう。

「え、え~と⋯⋯その⋯⋯」

 俺がFクラスの子達と向き合っているとビルドが何かを言いたそうにしていた。

 おっと⋯⋯ビルドのことを忘れていた。
 俺は視線で謝罪するように要求するとビルドが口を開く。

「わ、私がお前らにきつく当たったのは奮起を促すためだ。そのおかげでSクラスに勝てただろう? 私に感謝するといい」

 ビルドのあまりに都合の良い言葉にFクラスの子達は皆目が点になっている。

 こいつ⋯⋯今のでFクラスの子達に謝っているつもりなのか? きっと冗談を言っていると考えたいがおそらくビルドは本気でそう思っているのだろう。

「それで謝っているつもりなのか?」
「そ、そうだ⋯⋯これがウォルト家の謝罪の仕方だ! 何か文句あるのか?」

 俺はビルドの態度に呆れてものが言えない。
 お前は知らなかったとはいえラニを殺そうとした。この後死が待っているのは確実だ。最後くらい素直に謝罪することができないのかと言いたい。

「謝罪の1つもしっかりとできないなんてあなた⋯⋯いえあなたの家は最低ですね」
「も、申し訳ありません! 今のは⋯⋯」
「謝るのは私ではないでしょ?」

 ラニの言葉にビルドは慌てて謝罪をする。
 まあ先程のビルドの言い方だとウォルト家そのものが頭を下げることができないと捉えられるからな。このままだとウォルト家にも迷惑をかけると思いラニに頭を下げてきたのだろう。だが結局皇女を殺そうとした罪で一族にも何らかの処罰をされると思うけどな。

「くっ! い、今まで⋯⋯わ、私の指導が至らず⋯⋯申し訳ありません⋯⋯でした」

 ビルドは苦虫を噛み潰したような表情をしてFクラスの子達に謝罪した。するとFクラスの子達は一瞬呆気に取られたような顔をしていたがすぐに笑顔になり喜びの表情を浮かべるのであった。


 そしてビルドはこの場から連れ去られると疲労から回復したのかミリアが重い足取りで転びそうになりながらが走ってこちらへと向かってきた。

「パパ~⋯⋯ひどいよ。何でボクの敵になったの」

 そう言ってミリアは俺の胸に飛び込んで来たのでそのまま抱きしめる。

「ボクのこと嫌いなの? ボクのこと可愛くないの?」
「何を言っているんだミリアは⋯⋯そんなことわかっているだろ?」
「ボクもわかっているけど⋯⋯パパの口から言ってほしいな」
「ミリアは世界一大切で世界一可愛いに決まっている」

 俺にとって三人の娘以上に大事なものはない。

「ありがとうパパ⋯⋯ボクもパパが世界で1番大好きだよ」

 そう言ってミリアは益々顔を俺の胸に押し付けてきた。

「えっ? 何? この茶番劇は?」
「ひどいよリリー姉⋯⋯ボクとパパの愛を確かめ会う行為を茶番なんて⋯⋯」

 愛といっても家族愛だけどな。

「誰がリリー姉よ! 理事長でしょ! せめて公の場ではそう言って!」

 それでいいのかリリーよ。

「こ、これが大魔導師の称号を持つミリアなのか?」

 ライルがミリアを見て驚いたような表情をしている。

「確かにミリアちゃんって学校だと寝ているかつまらなそうに授業を聞いているか魔法で学生を吹き飛ばしているかのどれかですからね」

 リリーにもミリアの生活態度を聞いていたがメルルさんも同じように思っているんだな⋯⋯頭が痛くなる。

「本当の⋯⋯ミリアさんは⋯⋯け⋯⋯けっこう⋯⋯親しみやすい⋯⋯人なんですね」

 家だとミリアは明るくてイタズラ好きで笑顔が似合う女の子だけどな。だから今ネネ言ってくれたようにみんなも思ってくれれば嬉しい。

「とりあえず学校の風紀を乱しているからあなた達は離れなさい」
「あっ!」

 リリーはミリアの腕を掴み俺から引き離す。

「それにしてもFクラスがSクラスを勝つなんて⋯⋯ユクトはどんな指導をしたのかしら」

 リリーの言葉に教師陣が頷く。

「Sクラスの子達は油断していたからな。それにミリアは全力を出せない状況だった⋯⋯もしミリアが上級魔法や極大魔法を使っていたら⋯⋯」

 一瞬で勝負はつき、Fクラスの子達の命はなかっただろう。だからミリアは殺傷力の少ない中級以下の魔法しか使用していなかったのだ。

「えっ? ミリアって極大魔法使えるの!?」

 ライルは俺の言葉に驚き震えている。
 極大魔法が放たれたら自分達がどうなるのか思い浮かべたのだろう。

「それでユクト⋯⋯あんたうちの学校で講師やらない?」

 リリーが唐突に俺を魔法学校の講師に誘ってくる。

「いや⋯⋯」
「それいい! さっすがリリー姉!」

 俺が迷っていると間髪入れずミリアが賛成の意見を申し入れてくる。

「だから理事長でしょうが!」
「そんなこと今どうでもいいよ! ボク、パパがいるなら学校ちゃんと行くよ!」

 正直リリーの誘いに迷っていたが、講師をすることでミリアが真面目に学校に行くなら⋯⋯それに⋯⋯。

「ユクトさん俺からもお願いします!」
「私もユクトさんの指導を受けたいです」
「お願い⋯⋯します⋯⋯」

 Fクラスの子達からも懇願される。ここまで言われたら引き受けざるを得ないな。

「わかった⋯⋯だがそんなに来ることはできないぞ」
「「「やった!」」」

 そしてFクラスの子達の喜びの声が辺りに響く。

「ありがとうパパ! これでパパと学校デートができるよ! お昼は毎日一緒に食べようね」

 何かミリアだけ不純な動機のような気がするがまあいい。

 こうして俺は騎士養成学校だけではなく魔法養成学校の講師をやることを決意するのであった。

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