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リーゼロッテの弱点
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「ここは⋯⋯」
リーゼロッテは目の前の建物を見て、ポツリと呟く。
「ここは孤児院だ」
「孤児院ですか? 綺麗な建物ですね」
「まだ出来たばかりだからな」
「ですがどうして孤児院に? もしかして⋯⋯」
理由はわからないが、なぜかリーゼロッテの表情が曇る。
何か孤児院に嫌な思い出でもあるのだろうか。
俺は構わず今日のボランティアの内容を話そうとしたその時、孤児院の扉が開き、老年の男性と小さな女の子がこちらに向かってきた。
「これはこれは⋯⋯本日はようこそお越し下さいました。貴方がユクトさんでしょうか」
「はい」
「聖女様からお話を伺っています。私はこの孤児院の院長をしていますローガンです。本日はよろしくお願いします。そして隣にいるのは孫娘のネネです」
ローガンの隣にいる女の子がペコリと頭を下げてきた。
「リーゼロッテは子供好きなので任せてください」
「えっ?」
突然話を振られたことで、リーゼロッテは驚きの声を上げる。
「おお! それは心強い。ここに来たばかりなのか、まだこの孤児院に馴染めていない子が何人かいまして」
「そうですか」
「では子供達に紹介しますのでこちらへ」
俺達は院長たちの後に続いて孤児院の中へ進む。そして廊下を歩いていると横から視線を感じたので、横を見る。するとリーゼロッテが恨めしい目で俺を見て小声で話しかけてきた。
「何故あのようなことを」
「いや、やる気満々だったからその気持ちを代弁したんだ」
「やる気はありますけど私は⋯⋯」
リーゼロッテが何かを口にしようとした時、突然騒がしい声が聞こえてきた。
「あぁっ! ユクトお兄ちゃんと⋯⋯リーゼロッテお姉ちゃんだ⋯⋯」
声がする方向に目を向けるとそこにはミーアとザジ、ドグ、ラグの姿があった。
ん? 何だか四人の瞳に恐れの色があるような。視線は俺⋯⋯ではなく、隣のリーゼロッテに向けられていた。
なるほどそういうことか。以前ザジが盗みを働いた時に、リーゼロッテは鉱山送りで奴隷になると忠告していた。だからリーゼロッテのことを少し警戒しているのだろう。
しかしミーアだけはすぐに瞳の色を戻し、走って俺の胸に飛び込んできたため、受け止める。
「おお、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「うん! 毎日ご飯が食べられるし、お布団で眠れるし元気だよ」
「それは良かった」
普通なら当たり前のことだけど、今の言葉で、これまでミーア達は壮絶な人生を送っていたことがわかる。
「お兄ちゃん達はどうしてここにいるの? ミーア達に会いに来てくれたの?」
「それもある」
「それも?」
「今日はミーア達と遊ぶために来たんだ」
「本当?」
俺の言葉にミーアは嬉しそうだ。だが反対に隣にいるリーゼロッテの表情は暗くなった。その様子を見て、さっきリーゼロッテが何を口にしようとしていたかわかった。
子供が苦手なんて意外な弱点だな。だけどもうここまで来てしまったんだ。今日はその弱点に向き合ってもらおう。
「ミーアさん。ユクトさん達をみんなに紹介するので、広間へお願いします」
「うん。お兄ちゃんまた後でね」
ミーア達はローガンの言葉に従って、俺達から離れて行く。するとリーゼロッテがポツリと小声で呟いた。
「いいですね。ユクトは慕われて⋯⋯」
「えっ?」
「いえ、何でもありません」
今のリーゼロッテの言葉の意味を考えると、どうやら子供は苦手だけど仲良くはなりたいと思っているようだ。俺は微笑ましく思いながらローガンの後に続き、ミーア達が向かった先へと進む。
広い部屋にたどり着くと、そこには十人強の子供達の姿があった。
そしてローガンは子供達に向かって俺達の自己紹介をする。
「今日は皆さんと遊ぶために、ギルドからユクトさんとリーゼロッテさんが来てくださいました。まずは元気に挨拶をしてください」
「「「おはようございます」」」
「はい。よく出来ました。ではユクトさん、リーゼロッテさん。あとはお任せしても大丈夫ですか」
「ええ、任せて下さい」
ローガンはそう言い残すとこの場から立ち去る。
もうわかっていると思うが、今日のボランティアは孤児院の子供達と遊ぶことだ。
とりあえずリーゼロッテがどういう風に子供達と遊ぼうと思っているのか気になる。俺はリーゼロッテに前に出るよう促した。
「わ、私ですか⋯⋯え~と⋯⋯それではみんなは何をして遊びたいですか?」
シーン⋯⋯
リーゼロッテが怖いのか、それとも慣れていない環境だからなのかはわからないが、意見を言う子は誰もいなかった。
「ユクトォォォ⋯⋯」
子供達に無視されたと思っているのか、リーゼロッテが涙目になりながら情けない声を出す。
これはリーゼロッテがどうこうより、子供達同士がまだ仲良くないように感じるな。緊張しているのか?
まずは子供達を何とかした方がいい。
「やれやれ。仕方ないな。ここは俺に任せておけ」
「ユクト⋯⋯何だか初めてユクトが頼もしく見えました」
「失礼なやつだな。まあいい⋯⋯それじゃあこれから――」
俺はあることを提案すると、子供たちはさっきまで静かだったのが嘘のようにはしゃぐのであった。
リーゼロッテは目の前の建物を見て、ポツリと呟く。
「ここは孤児院だ」
「孤児院ですか? 綺麗な建物ですね」
「まだ出来たばかりだからな」
「ですがどうして孤児院に? もしかして⋯⋯」
理由はわからないが、なぜかリーゼロッテの表情が曇る。
何か孤児院に嫌な思い出でもあるのだろうか。
俺は構わず今日のボランティアの内容を話そうとしたその時、孤児院の扉が開き、老年の男性と小さな女の子がこちらに向かってきた。
「これはこれは⋯⋯本日はようこそお越し下さいました。貴方がユクトさんでしょうか」
「はい」
「聖女様からお話を伺っています。私はこの孤児院の院長をしていますローガンです。本日はよろしくお願いします。そして隣にいるのは孫娘のネネです」
ローガンの隣にいる女の子がペコリと頭を下げてきた。
「リーゼロッテは子供好きなので任せてください」
「えっ?」
突然話を振られたことで、リーゼロッテは驚きの声を上げる。
「おお! それは心強い。ここに来たばかりなのか、まだこの孤児院に馴染めていない子が何人かいまして」
「そうですか」
「では子供達に紹介しますのでこちらへ」
俺達は院長たちの後に続いて孤児院の中へ進む。そして廊下を歩いていると横から視線を感じたので、横を見る。するとリーゼロッテが恨めしい目で俺を見て小声で話しかけてきた。
「何故あのようなことを」
「いや、やる気満々だったからその気持ちを代弁したんだ」
「やる気はありますけど私は⋯⋯」
リーゼロッテが何かを口にしようとした時、突然騒がしい声が聞こえてきた。
「あぁっ! ユクトお兄ちゃんと⋯⋯リーゼロッテお姉ちゃんだ⋯⋯」
声がする方向に目を向けるとそこにはミーアとザジ、ドグ、ラグの姿があった。
ん? 何だか四人の瞳に恐れの色があるような。視線は俺⋯⋯ではなく、隣のリーゼロッテに向けられていた。
なるほどそういうことか。以前ザジが盗みを働いた時に、リーゼロッテは鉱山送りで奴隷になると忠告していた。だからリーゼロッテのことを少し警戒しているのだろう。
しかしミーアだけはすぐに瞳の色を戻し、走って俺の胸に飛び込んできたため、受け止める。
「おお、久しぶりだな。元気にしてたか?」
「うん! 毎日ご飯が食べられるし、お布団で眠れるし元気だよ」
「それは良かった」
普通なら当たり前のことだけど、今の言葉で、これまでミーア達は壮絶な人生を送っていたことがわかる。
「お兄ちゃん達はどうしてここにいるの? ミーア達に会いに来てくれたの?」
「それもある」
「それも?」
「今日はミーア達と遊ぶために来たんだ」
「本当?」
俺の言葉にミーアは嬉しそうだ。だが反対に隣にいるリーゼロッテの表情は暗くなった。その様子を見て、さっきリーゼロッテが何を口にしようとしていたかわかった。
子供が苦手なんて意外な弱点だな。だけどもうここまで来てしまったんだ。今日はその弱点に向き合ってもらおう。
「ミーアさん。ユクトさん達をみんなに紹介するので、広間へお願いします」
「うん。お兄ちゃんまた後でね」
ミーア達はローガンの言葉に従って、俺達から離れて行く。するとリーゼロッテがポツリと小声で呟いた。
「いいですね。ユクトは慕われて⋯⋯」
「えっ?」
「いえ、何でもありません」
今のリーゼロッテの言葉の意味を考えると、どうやら子供は苦手だけど仲良くはなりたいと思っているようだ。俺は微笑ましく思いながらローガンの後に続き、ミーア達が向かった先へと進む。
広い部屋にたどり着くと、そこには十人強の子供達の姿があった。
そしてローガンは子供達に向かって俺達の自己紹介をする。
「今日は皆さんと遊ぶために、ギルドからユクトさんとリーゼロッテさんが来てくださいました。まずは元気に挨拶をしてください」
「「「おはようございます」」」
「はい。よく出来ました。ではユクトさん、リーゼロッテさん。あとはお任せしても大丈夫ですか」
「ええ、任せて下さい」
ローガンはそう言い残すとこの場から立ち去る。
もうわかっていると思うが、今日のボランティアは孤児院の子供達と遊ぶことだ。
とりあえずリーゼロッテがどういう風に子供達と遊ぼうと思っているのか気になる。俺はリーゼロッテに前に出るよう促した。
「わ、私ですか⋯⋯え~と⋯⋯それではみんなは何をして遊びたいですか?」
シーン⋯⋯
リーゼロッテが怖いのか、それとも慣れていない環境だからなのかはわからないが、意見を言う子は誰もいなかった。
「ユクトォォォ⋯⋯」
子供達に無視されたと思っているのか、リーゼロッテが涙目になりながら情けない声を出す。
これはリーゼロッテがどうこうより、子供達同士がまだ仲良くないように感じるな。緊張しているのか?
まずは子供達を何とかした方がいい。
「やれやれ。仕方ないな。ここは俺に任せておけ」
「ユクト⋯⋯何だか初めてユクトが頼もしく見えました」
「失礼なやつだな。まあいい⋯⋯それじゃあこれから――」
俺はあることを提案すると、子供たちはさっきまで静かだったのが嘘のようにはしゃぐのであった。
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