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運命はいつも俺に味方しない
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「あっ!」
俺の手が背中に触れるとコト姉は驚いてしまったのか声を上げる。
「う、う~ん⋯⋯冷たくて、気持ちいぃ」
なぜそんななまめかしい言い方をするのか。
挑発か? 俺の息子を挑発してるのか?
だがその手には乗らない。無心だ。無心になるんだ。さっき覚えたスキル賢者タイムを使ってこの状況を乗り越えるんだ。
俺は心を無にしながら日焼け止めのローションを広げていく。
「そ、そこっ⋯⋯そこを重点的に⋯⋯もっとやってぇ」
わざとか? これは絶対にわざとやっているだろ。
エロい声を上げて俺の欲望を引き出して、襲わせる作戦なのか?
1度は無心になって日焼け止めを塗っていたけど、こんな声を聞いてしまったら現実に引き戻されてしまう。
コト姉の肌は大理石のように白く輝き、ふれると柔らかく心地よい感触が掌に伝わってくる。
ダレイレクトに女性の肌を触ることなど今まで経験がないから、どんどんコト姉の魅力に引き込まれてしまう。コト姉が本当の姉だったらめんどくさいながら、何も考えず日焼け止めを塗るという未来があったかもしれない。だけど今の俺は血が繋がっていないことを知っている。だからコト姉の誘惑に抗う術などないのだ。
綺麗だ⋯⋯もっと触れていたい。
旅行という開放的な気分がそうさせるのか、プールという場所がそうさせるのか、それとも水着という魔力が俺を狂わせるのかわからないけど、俺の手が止まることはない。
俺はそれこそ無意識にコト姉の身体を余すことなく蹂躙し、もう背中側で触っていない場所などなかった。
「リ、リウトちゃん⋯⋯後ろはもう⋯⋯終わったよ」
「あ、ああ。ごめん気づかなかった」
俺はコト姉の身体に夢中になり、ローションを塗り終わったことに気づかなかった。
「はあはあ⋯⋯つ、次は⋯⋯前をお願い」
コト姉は立ち上がり正面を向いてくるが、いつもの天真爛漫な姿は息を潜めており、顔を紅潮させて何だが呼吸が荒いように感じた。
普段は口調や考え方、そして胸の大きさから子供っぽい印象を受けるが、今は艶っぽい魅力を出しており年相応以上に見える。
俺はコト姉の甘い言葉に従い、再びローションを手に取り、足から塗っていく。
「あっ⋯⋯」
俺が足の指に触れるとコト姉は再度なまめかしい言葉を発し、何かを堪えるように目を閉じている。
コト姉も俺に触れられて気持ちいいのかな? そう考えると俺も益々嬉しくなり、本能の赴くまま手の動きが激しくなっていく。
そして足首、すね、膝とローションを塗っていくが、太腿の所で躊躇してしまう。
太腿の真ん中より下の部分はまだいい。だが上の方は少し手がずれてしまうとコト姉の⋯⋯女の子の大事な所に触れてしまう可能性がある。
さすがにそれはまずい。
何とか残りカスの理性が欲望を押し留め、俺は太腿の上の方を残して肩へとローションを塗ろうと立ち上がる。
「リ、リウトちゃん⋯⋯満遍なく塗ってくれないと日焼けしちゃうよ」
「えっ?」
しかしコト姉は太腿の部分もローションを塗ることを所望しており、俺は思わず身体が硬直してしまう。
「で、でも⋯⋯」
さすがに太腿の股に近い場所は⋯⋯。
「お姉ちゃんがいいって言ってるんだから大丈夫だよ」
確かに本人がいいって言っているなら問題ないはずだ。
だがいいのか? 本当にいいのか?
俺は自問自答を繰り返し最終的にある決断にたどり着く。
据え膳食わぬは漢の恥って言うし、コト姉の顔が真っ赤なことから本人も相当恥ずかしいというのがわかる。
そう⋯⋯これはただ日焼け止めを塗っているだけ。何もやましいことはない。
「わ、わかった。それじゃあ動かないでくれよ」
「うん」
俺は太腿の上の方に日焼け止めを塗る決意をし、ローションを缶から左手に出していざ未知の世界へと手を伸ばす。
「兄さん? お姉ちゃんと何をしているんですか?」
だが突然背後からユズの声がしたことにより、俺は慌ててコト姉から距離を取る。
「べ、別に何もしていないさ」
「怪しいですね。ま、まさかお姉ちゃんにエッチなことを!」
「してないしてない。なあコト姉」
日焼け止めを塗ることはエッチなことではない。少なくとも嘘は言っていないはずだ。
だがこの時俺はコト姉に話を振るという最大のミスを犯してしまった。
「そうだよ。お姉ちゃんは日焼けをしないように、リウトちゃんに身体の隅々までローションを塗ってもらっただけだよ」
「コ、コト姉!」
何故正直に言ってしまうんだ! 嘘をつけない所がコト姉の魅力ではあるけどその長所を今発動しないで欲しかった。
ユズにそんなことを言ったらどうなるかなんて一目瞭然じゃないか。
「に~い~さ~ん」
「な、何でしょうか」
ここはなるべくユズの機嫌を損ねないように俺は低姿勢になる。
「お姉ちゃんとはいえ、女の子の身体に触れるなんて信じられない!」
「いや、コト姉がやってくれって言うから⋯⋯」
「どうせ兄さんのことだから日焼けは満遍なく塗らないとな。へっへっへって冒険ギルドにいる粗暴なキャラのような笑みを浮かべて、まだ水着の中が残ってるだろ? 俺が脱がしてやるよとか言ってたに決まってます!」
「おまえマジで瑠璃の影響受けすぎだろ。友達は選んだ方がいいぞ」
「そんなに日焼け止めを塗りたかったから私が塗らして上げるのに⋯⋯」
「ん? 今何か言ったか? ちょっとよく聞こえなかったんだが」
「何でもありません!」
ユズはボソボソと何かを口にしていたが今は気にしている場合じゃないな。
それにしてもつい1、2年前まではこんな娘じゃなかったのに。オタクの影響って恐ろしい。
「今はそんなことどうでもいいです! 私が兄さんの煩悩を払って上げます!」
ユズは般若の面を被っているような表情で襲いかかってくる。
「に、逃げろ!」
「待たないと後が怖いですよ!」
「あっ! リウトちゃん」
バーサーカーモードのユズの相手なんかしてられるか!
泳ぐことに関しては俺の方が上だ。
それならば⋯⋯。
俺は前方に走り抜けてプールに飛び込み、一目散にこの場から離脱するのであった。
俺の手が背中に触れるとコト姉は驚いてしまったのか声を上げる。
「う、う~ん⋯⋯冷たくて、気持ちいぃ」
なぜそんななまめかしい言い方をするのか。
挑発か? 俺の息子を挑発してるのか?
だがその手には乗らない。無心だ。無心になるんだ。さっき覚えたスキル賢者タイムを使ってこの状況を乗り越えるんだ。
俺は心を無にしながら日焼け止めのローションを広げていく。
「そ、そこっ⋯⋯そこを重点的に⋯⋯もっとやってぇ」
わざとか? これは絶対にわざとやっているだろ。
エロい声を上げて俺の欲望を引き出して、襲わせる作戦なのか?
1度は無心になって日焼け止めを塗っていたけど、こんな声を聞いてしまったら現実に引き戻されてしまう。
コト姉の肌は大理石のように白く輝き、ふれると柔らかく心地よい感触が掌に伝わってくる。
ダレイレクトに女性の肌を触ることなど今まで経験がないから、どんどんコト姉の魅力に引き込まれてしまう。コト姉が本当の姉だったらめんどくさいながら、何も考えず日焼け止めを塗るという未来があったかもしれない。だけど今の俺は血が繋がっていないことを知っている。だからコト姉の誘惑に抗う術などないのだ。
綺麗だ⋯⋯もっと触れていたい。
旅行という開放的な気分がそうさせるのか、プールという場所がそうさせるのか、それとも水着という魔力が俺を狂わせるのかわからないけど、俺の手が止まることはない。
俺はそれこそ無意識にコト姉の身体を余すことなく蹂躙し、もう背中側で触っていない場所などなかった。
「リ、リウトちゃん⋯⋯後ろはもう⋯⋯終わったよ」
「あ、ああ。ごめん気づかなかった」
俺はコト姉の身体に夢中になり、ローションを塗り終わったことに気づかなかった。
「はあはあ⋯⋯つ、次は⋯⋯前をお願い」
コト姉は立ち上がり正面を向いてくるが、いつもの天真爛漫な姿は息を潜めており、顔を紅潮させて何だが呼吸が荒いように感じた。
普段は口調や考え方、そして胸の大きさから子供っぽい印象を受けるが、今は艶っぽい魅力を出しており年相応以上に見える。
俺はコト姉の甘い言葉に従い、再びローションを手に取り、足から塗っていく。
「あっ⋯⋯」
俺が足の指に触れるとコト姉は再度なまめかしい言葉を発し、何かを堪えるように目を閉じている。
コト姉も俺に触れられて気持ちいいのかな? そう考えると俺も益々嬉しくなり、本能の赴くまま手の動きが激しくなっていく。
そして足首、すね、膝とローションを塗っていくが、太腿の所で躊躇してしまう。
太腿の真ん中より下の部分はまだいい。だが上の方は少し手がずれてしまうとコト姉の⋯⋯女の子の大事な所に触れてしまう可能性がある。
さすがにそれはまずい。
何とか残りカスの理性が欲望を押し留め、俺は太腿の上の方を残して肩へとローションを塗ろうと立ち上がる。
「リ、リウトちゃん⋯⋯満遍なく塗ってくれないと日焼けしちゃうよ」
「えっ?」
しかしコト姉は太腿の部分もローションを塗ることを所望しており、俺は思わず身体が硬直してしまう。
「で、でも⋯⋯」
さすがに太腿の股に近い場所は⋯⋯。
「お姉ちゃんがいいって言ってるんだから大丈夫だよ」
確かに本人がいいって言っているなら問題ないはずだ。
だがいいのか? 本当にいいのか?
俺は自問自答を繰り返し最終的にある決断にたどり着く。
据え膳食わぬは漢の恥って言うし、コト姉の顔が真っ赤なことから本人も相当恥ずかしいというのがわかる。
そう⋯⋯これはただ日焼け止めを塗っているだけ。何もやましいことはない。
「わ、わかった。それじゃあ動かないでくれよ」
「うん」
俺は太腿の上の方に日焼け止めを塗る決意をし、ローションを缶から左手に出していざ未知の世界へと手を伸ばす。
「兄さん? お姉ちゃんと何をしているんですか?」
だが突然背後からユズの声がしたことにより、俺は慌ててコト姉から距離を取る。
「べ、別に何もしていないさ」
「怪しいですね。ま、まさかお姉ちゃんにエッチなことを!」
「してないしてない。なあコト姉」
日焼け止めを塗ることはエッチなことではない。少なくとも嘘は言っていないはずだ。
だがこの時俺はコト姉に話を振るという最大のミスを犯してしまった。
「そうだよ。お姉ちゃんは日焼けをしないように、リウトちゃんに身体の隅々までローションを塗ってもらっただけだよ」
「コ、コト姉!」
何故正直に言ってしまうんだ! 嘘をつけない所がコト姉の魅力ではあるけどその長所を今発動しないで欲しかった。
ユズにそんなことを言ったらどうなるかなんて一目瞭然じゃないか。
「に~い~さ~ん」
「な、何でしょうか」
ここはなるべくユズの機嫌を損ねないように俺は低姿勢になる。
「お姉ちゃんとはいえ、女の子の身体に触れるなんて信じられない!」
「いや、コト姉がやってくれって言うから⋯⋯」
「どうせ兄さんのことだから日焼けは満遍なく塗らないとな。へっへっへって冒険ギルドにいる粗暴なキャラのような笑みを浮かべて、まだ水着の中が残ってるだろ? 俺が脱がしてやるよとか言ってたに決まってます!」
「おまえマジで瑠璃の影響受けすぎだろ。友達は選んだ方がいいぞ」
「そんなに日焼け止めを塗りたかったから私が塗らして上げるのに⋯⋯」
「ん? 今何か言ったか? ちょっとよく聞こえなかったんだが」
「何でもありません!」
ユズはボソボソと何かを口にしていたが今は気にしている場合じゃないな。
それにしてもつい1、2年前まではこんな娘じゃなかったのに。オタクの影響って恐ろしい。
「今はそんなことどうでもいいです! 私が兄さんの煩悩を払って上げます!」
ユズは般若の面を被っているような表情で襲いかかってくる。
「に、逃げろ!」
「待たないと後が怖いですよ!」
「あっ! リウトちゃん」
バーサーカーモードのユズの相手なんかしてられるか!
泳ぐことに関しては俺の方が上だ。
それならば⋯⋯。
俺は前方に走り抜けてプールに飛び込み、一目散にこの場から離脱するのであった。
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