異世界転生したら『ハンペン』だけど俺は賭博駄女神(母)と追放悪役令嬢(嫁)と異世界をめっちゃ楽しく生きていく!!!!

白井伊詩

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カニカマ学園編

第14話「レギウスの頼み」

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 戦闘訓練を終えた放課後、ベーゼは教室でぐったりと机に突っ伏していた。
 
「鬼かよ……」
「コーニコリス先生に随分と手厚い訓練を受けていたみたいね」
「まったくだよ。腕が曲がっちゃいけない方向にこうバキっとな。今はパープレアが治癒魔法かけてくれたからなんともねえけど……」
 
 パープレアの治癒魔法にかかる前で腕はほとんど修復していたことは伏せている。
 
「でもまぁ、従者として恥ずかしくないくらい鍛えられそうだね」
「そっちはパープレアの優しい授業でいいよなーーーーー」
「魔力を持たずに生まれた運命を呪いなさい!」
「まったくだよ。弱くてもいいから魔法使いたかったっつうの!」
「まぁまぁ、ベーゼだってユニークスキル二つ持ってるじゃないか」
「それはそれ、これはこれ」
 
 
 
「お取り込み中のところ失礼する!」
 
 
 レギウスが三人の間に割って入る。いつもより表情が硬いのはすぐにわかった。
 
「どうした?」
「実はアドルフィネに折り入って頼みがあって」
「何かしら?」
「実は、クラスメイトで今は学校に来ていない人でどうしても会いたい女性がいて……」
 
 レギウスはいつになく歯切れの悪い言い方をする。
 
「女性?」
「プニューダ・バエスティス・カリッターラ」
 
 その名前を聞いた瞬間、アドルフィネの顔が露骨に曇った。
 
「わかってる、彼女が中等部で起こした事件を……それでも」
「はいはい、わかったわよ。ただし相応の報酬を期待してもいいかしら?」
「何かご馳走するよ。そちらの二人もそれでいいかな」
「ええ、構わないわ」
 
 アドルフィネが間髪入れずに言葉を入れる。
 
「俺たちの意見は!?」
「立場的に弁えなさい。相手は貴族として頼んでいるのだから」
「どういうことだ?」
「順を追って説明するよ。まず俺とプニューダについてだけど婚約者なんだ」
「婚約者か……」
「そしてプニューダにはユニークスキル『毒毛』というものがあって彼女の髪の毛は体から離れると毒ガスに変化して周囲に害を及ぼす」
「毒ガス……って随分危ねえな」
「そうだ……彼女もそれを配慮して帽子を被って髪が抜けないように配慮していたんだが、中等部の時事件が起こった」
 
 レギウスは口惜しそうに奥歯を噛みしめ拳を振わせた。
 
「事件って何があった?」
「プニューダはAクラスにいるアメリカーナとラテラリスという女生徒にいじめられていたんだ。最初はじゃれ合いにも見えたんだけど徐々にエスカレートしてラテラリスがプニューダの髪を切り裂いたんだ。もちろん体から離れた髪は毒ガスになり教室に毒ガスが充満、多くの生徒が中毒に陥った」
「それもうAクラスの女二人が悪いじゃねえか」
「まったくだ。しかし、二人はそれ以来、プニューダを殺人犯として祭り上げて徐々に……教室に顔を出さなくなった」
「去年の卒業式前の出来事ね……それでレギウスあなたは窓を」
「その通り! 僕はプニューダと同じクラスが良かったんだ!」
「なるほどな、つまりプニューダを説得して学校に来させれば良いんだな?」
「そう言う事だ! でも僕は女子寮に入ることが出来ない。そこで君たちだ」
 
「君たち?」
 
 ケルブスは首を捻る。
 
「私の従者であるあんたら二人は女子寮に入ることができんのよ」
「へぇー」
「そうだったんだ」
「と言っても用件なく入るのはマナー違反よ」
「わかってるって。今回はプニューダと話をするためにだろ? でもそれアドルフィネだけでいいんじゃねえか?」
「プニューダがユニークスキルを暴走させてしまったとき、誰も助けられないからそれは避けて欲しい」
「そういうことよ。わかったわねベーゼ! じゃあ行くわよ!」
「すまない、本当にありがとう……」
 
 
 レギウスは深々と頭を下げて、三人を見送った。
 
 
 
「ふと、思ったのだけど今不登校になっている人はAクラスに何かされた人たちばかりなの?」
「ほとんどがそうよ。でもね貴族なんていじめの巣窟よ。ここの教員より貴族たちの方が権力が上なのだから」
「そっか……仲良くできたら良かったな」
 
 ケルブスは寂びしそうな顔をした。
 
「頭の良い生き物だからな人間って」
「何頭良さそうな風を繕ってるのよ!」
 
 アドルフィネがベーゼの尻を蹴る。
 
「ってえ! 久々に蹴られた」
「たまにはね!」
「何だか懐かしいな」
 
「そういや、こうやってバカやるのも最近はやってなかったな」
 
「というか私たちつるみはじめてもう十年よ!?」
 
「うーわ……まじかぁ!」
「言われてみれば確かに」
 
「やっぱりもう十年じゃなくてまだ十年のほうがいいわね」
「だな!」
「そっちのほうが楽しいね!」
 
 そんな話をしているうちに三人は女子寮の前に到着した。
 
「さて、行くわよ!」
 
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