異世界転生したら『ハンペン』だけど俺は賭博駄女神(母)と追放悪役令嬢(嫁)と異世界をめっちゃ楽しく生きていく!!!!

白井伊詩

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対抗戦編

第35話「母への手紙」

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 ハンペン国、某所。
 
 
「ふんふんふーん」
 
 ナトは旅装束に身を包んで、木漏れ日が差す街道を歩いている。
 
「やっぱり、傭兵やっている方が稼げるわね~」
 
 長い黒髪を揺らしながらのんびりとナトは歩く。
 
 
「よお姉ちゃん!」
 
 武器持った男が五人、ナトを囲むように現われる。
 
 要は盗賊の類いである。異世界ものでよくあるチュートリアル的な伝統芸能である。
 ナトは傭兵、異世界ものでいうところのギルドや冒険者になり日銭を稼いでいた。
 
「わぁー、今日の報酬です!」
 
 ナトは魔力糸を自在に操り、今まで一週間かかっていた作業をものの数時間にまで仕事を加速させ、その結果、暇になったのである。
 
 副業程度に始めた傭兵稼業で日銭を稼いでは賭場につぎ込んでいる。これなら生業の方のお金はあまり減らないためベーゼに小言を言われることもない。
 
 
 
 盗賊を縛り上げて、傭兵業の集会所に突き出して報酬をもらう。
 
「お疲れ様でした。報酬はこちらになります」
「はい、ありがとうございます」
「それとアトラ=ナト様、貢献度が一定数を達したため、ランクアップです。おめでとうございます」
「次のランクはどんな仕事なんです?」
「今あるものだと……どれも長期遠征ですね。受注しますか?」
「結構です。傭兵こっちはあくまで副業なので」
「そ、そうですか」
 
 受付嬢は少し顔を引きつらせた。ナトはそれに気にも留めずに帰って行った。
 
 
 
 ****************
 
 
 
 ウメヤキ村にある自宅にナトは帰ると、手紙が家のドアに挟まっていた。
 
「あらあら、誰かしら?」
 
 手紙の宛先を見るとカニカマ学園にいるベーゼからの手紙だった。
 
「は! これは! くんくんくんくん……クンカクンカスーハースーハースーハー、ベーゼの皮脂の香りぃいいいいいいいいいいい!!!!!」
 
 手紙を鼻に押し当てながらナトは空を見上げて白目を剥いている。
 
「さて、家に入りましょっと」
 
 ルンルン気分で家の中に入って手紙の封蝋を割る。
 中には三枚の紙が二つ折りにされて、ナトは順々に手紙読み始める。
 
『拝啓、緑の若葉が生い茂り夏が顔を出し始める今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?』
 
「んんん!! 一行目からっ! 丁寧!」
 
『これまでの学校の出来事を完結にまとめたからこっから報告ね』
 
「急にラフ! ハヤブサの垂直落下の如くっ! でも学園生活、きっと充実しているのでしょうね……」
 
『ペットのパープレア(あの大蜘蛛)が脱皮したら人間の女性になった』
 
「あー、あの子は確か魔族だったから成長すると人型になるわよね……あっ」
 
 息子の近くにいる女の臭いに気づきナトは歯ぎしりをする。
 
『パープレアは担任の先生であるコーニコリスという方の助力で今はカニカマ学園で魔法を教えている。最近ではパープレアの方が教えるの上手くてコーニコリスが凹み気味だ』
 
「いよおおおおおし! 息子に変な虫は付かなそうね!」
 
『コーニコリス先生なんだが、びっくりすることに母が魔王クーリー、父が魔王ディアボリカの間に生まれた娘なんだ。いきなり魔王とか出てきてマジびっくりだった』
 
「娘って事は女じゃない! みんなでベーゼに寄って集って!」
 
『ちなみに魔王クーリーに闘龍術という武術を教えてもらっている』
 
「はあああああああああああーーーーーーー?? 母娘揃ってうちのベーゼを!? 魔王と魔王のハイブリットに神であるベーゼのブラッドをミックスしたいってこと!? 雑種犬作る感覚でやってるってこと!?」
 
『それじゃ次クラスメイト紹介するぞ。女友達と男友達どっちがいい?』
 
「あ、じゃあ男友達からで」
 
『まぁ、これ手紙だから選べねえけどな。強制的に女友達からだ』
 
「聞きましょうではありませんか。ベーゼの事だからそりゃモテモテでハーレム作ってるに違いないわ……それはそれで皆殺しね!」
 
『アドルフィネ、ナトも知っての通りだ。相変わらず高飛車だけど色々助けられてる。あとまだケルブスに告れてねえ』
 
「あら~アドルフィネちゃんも中々青春しているのね。ケルブス君も二枚目だからモテるわよね~、ベーゼほどじゃないけど。ベーゼほどじゃないけど」
 
『プニューダ、ユニークスキル『毒毛』を持っていて、最初は力が制御出来なくて色々苦労したけど婚約者のレギウスために頑張ってスペリオルスキル『毒ノ王イペリット』に進化した。とても優しい子で今は楽しそうにレギウスと登校している』
 
「あらら、婚約者ってことはこの子は変な虫じゃなさそうね」
 
『スピロタ、身長が2メートルもある子で蛇族の血が混ざったやつだ。ユニークスキル『阻止の魔眼』というのを持っていてメデューサみたいに見た相手の動きを止めるんだ。なぜか俺には効かないらしいけど』
 
「蛇族の……ふーん」
 
 手紙を持つ手に熱が入りクシャと音を立てる。
 
『次は男友達だ』
 
「お、こっちは母として安心できそうね!」
 
『ケルブスは知ってるよな。あいつすごいぜ、すげえモテモテだし成績優秀だしユニークスキル『継承』のおかげでめっちゃ強いし魔法もすごい。俺にもモテるところ少しわけて欲しいくらいだ』
 
「ケルブス君頑張っていて偉いわ~。ベーゼがモテないなんてカニカマ学園の美的感覚はちょっと狂っているのね~」
 
『コーラー、色々闇深い家庭事情だけど今は明るくて良い奴だ。身長が小さいことを気にしてるけど、ユニークスキル『変化』によって好きなものの姿に変われるんだ。最近は女子に変身させて女装させて遊んでる。この前それで他の学年の奴に求婚されててみんなで腹抱えて笑ったわ』
 
「いいお友達じゃない! 健全そうで何より……よく考えたら女装とかさせてるけどいじめとかじゃないわよね……?」
 
『レギウス、プニューダの婚約者でバカ真面目でバカ正直、猪突猛進前方不注意みたいな男だ。だけど熱血漢で筋を通す男だし、コツコツ努力できるいいやつだ。プニューダのために彼女の毒をユニークスキル『限界超越ブレイクスルー』で克服した。ほんとすごいぜ』
 
「まあ! 婚約者のためにそこまでするなんて素敵、良い子じゃない! 母安心! 母嬉しい! 喜ばしくてえええええ! 喜ばしくてえええええ! 言の葉にいいいいいいいいできなあああああああいいいいいいいい!!! らーらーらー」
 
『最後はローチ、パシリだ! カツサンドが美味かった! あとスペリオルスキル『碧き水神アパーム・ナパート』を持ってる。マブダチ!』
 
「パシリなのにマブダチってどういうことなの……?」
 
 手紙の一枚目を読み終えると紙をめくる。
 
 
『ここからちょっと真面目な話』
 
「急に来たわね」
 
『もうすぐ対抗戦という行事があって、クラス代表を決める予選がある。俺もFクラスの代表に選ばれたからその案内と当日の観戦席の予約を取っておいた。よかったら見に来てくれ。詳しくは三枚目の紙に書いてあるから』
 
「行くしかないわね」
 
『あ、書き忘れてた。俺は闘技の種目と連隊戦の二つだから』
 
「あ、それ重要じゃない! ベーゼが魔力がないものだから闘技になっちゃうわよね」
 
『という感じで俺は元気に良い感じやってるから母さんもあんまり心配しくなくていいから』
 
「ふふ、ありがと」
 
『PS、副業とかやって儲けた金ならギャブルやってもバレないとか思わないように。ちゃんと金額を守って賭場に行くこと。以上ベーゼより』
 
「うっ! 息子に行動を先読みされているわ! そんなに母の事を想っていたのね!! これは対抗戦見に行かなくちゃ!」
 
 
 コンコンコン――
 
 
「あら? はーい!」
 
 ドアを開けると礼服を着た男が二人立っている。
 
「こちらアトラ=ナト様のお宅で合っていますでしょうか?」
「はい、そうですよ~」
「実は我々、カニカマ学園のベーゼ様の友人であるリナレウス様の使いです。今日はお迎えに上がった次第です」
「迎え?」
「もうすぐ対抗戦ですので」
「あらそうだったの! 今手紙を読んだところだったのですぐに準備しますね!」
 
 そう言ってナトは三枚目の紙を読まないまま荷物をまとめて男達の馬車に乗り込んだ。
 
 
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