異世界転生したら『ハンペン』だけど俺は賭博駄女神(母)と追放悪役令嬢(嫁)と異世界をめっちゃ楽しく生きていく!!!!

白井伊詩

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カニカマ学園編

第34話「ディザーム」

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「ふーむ、母に手紙か」
「はい……そろそろ届くと思うけど。元気してるかな」
 
 ベーゼは地面に座ったまま脂汗を流している。
 
「お前の母か、一度会ってみたいものだな」
「普通の母親だよ」
「本当か?」
「……うん」
「嘘くさいな」
「……ホントダヨー?」
 
「正直に言わないと火力を上げる」
 
 クーリーは体から発している熱を徐々に上げていく。既に彼女の足下の土は溶け始めている。
 
「もう上がってるじゃねえか!」
「吐け」
「俺も知らねえ。むかーし町一つくらいぶっ壊すくらいワケねえって言ってたくらいだ」
「町を……」
「師匠でもそれくらいできんだろ!」
「まぁ可能さね」
「だろ?」
 
「だが、どのぐらいのリソースでそれを行えるかは知りたいさね」
「おいおい、こっちは村人だぞ?」
「お前みたいな村人がいてたまるものか」
「そうなのか? ケルブスだって優秀だ」
「お前ら二人が異常だ」
「特別か、なんか嬉しいな」
 
「だが、お前より強い奴は大勢いる」
「だよなー」
「もっと具体的に言うと、お前より才能がある奴、強力なユニークスキルを持つ奴、お前より努力している奴は大勢いるし、努力していない奴だからこそ学びを得られることがある。我以外全員師のように敬意を持て」
「聖人君子かよ」
「そうだ。そして自分の一分に合わねえ奴とは徹底的にやる!」
「シンプルだなぁ……」

「バーカ、複雑に考えてるんだよ」
「え? そう?」
「例えば、リンゴとオレンジが一つずつあるとする。全部でいくつだ?」
「二だな」
「だが、これは問題が定義されているからだ。果物は二種類あると言う奴もいれば、二個あるという奴もいる。一個ずつあるという奴、一個しかないと言う奴だっている。聞いているのは果物の数なのにこうも複雑に考えたがる。問題が出されないというシンプルなものさね」
「う……指示と実際やったことに差があるのは良く聞く話だ」
「心当たりがあったようだな」
「耳が痛てえや」
「教訓を得たな。さて、そろそろいいだろう」
 
 クーリーはユニークスキルを解除する。
 
「ハァ……クソ暑い! 水飲みてえ……めまいする……」
「水は飲むな」
「まじっすか?」
「脱水症状が出ているのだろう?」
「脱水症状はヤバイって!?」
「だからだ。極限まで自分を追い込め。肉体には負担が掛かるしメリットはあまりないが気持ちが強くなる。むしろそれしかない!」
「命と強化の天秤が強化に振り切ってやがる!」
「大丈夫だ! 最悪あの蜘蛛女が冷やしてくれるさね」
「急熱急冷とか鉄でも鍛えてんのか!?」
「ふむ? それ良いかもしれ――」
「やめましょう」
「強情なやつめ」
 
「何とでも言え!」
「まぁそこが良いところでもあるか。しかし対抗戦とはいつだ?」
「えーっと、三日後?」
 
「なっ――! どうして言わぬたわけ!」
「毎日あと何日だって言ってたじゃねえか!」
「そうだったか?」
「はい」
「……長命になると時間の感覚が鈍る。三日も三年も同じように感じる。落ち度は私にあるがこれもまた私自身の学びにする」
 
「いや、俺にとっては学園人生が掛かったイベントだが??」
「案ずるな。お前はもう十分強いさね」
「お、珍しく師匠が褒めてる」
「……仕方ない詫びついでにひとつ教えよう。特別にな」
 
「それって技っすか!? きたーーー! 待ってました!」
 
「技ってほどじゃないさね。ある種、技以前にこれが出来ないと闘龍術は会得できない」
「それって一体?」
「ディザームだ」
「でぃ……?」
「武器取りだ。前にも言ったとおり闘龍術は武器を持たない素手の武術、だが相手は殺し合いの場で我々に合わせてくれる奴はまずいない。それでも龍たる我らが最強である証明をせねばならないさね」
 
 クーリーは地面に手を着けると地面に熱を放ち溶かす。それから溶解した地面を引き抜き剣の形に成形された石が作られる。
 
「今日は児戯だ。本当なら剃刀のように研いだ武器を使うさね」
「いや、それで殴られたら死ぬんじゃ?」
「当たらなければいいさね」
「そうですねー」
 
「さて、基本的に人は剣を両手で構える。右が柄前方、左が柄後方を握る。中段に構えれば攻防どっちにも転がせる。そして手よりも長く鋭く厄介だ」
「どうやって奪うんです?」
「まずこちらが仕掛ける場合、正中線をずらしながら間合いに入る。相手の左手と右手の間に手を差し込み、間合いを詰めた側の奥側の手首を掴む。そして一回転、この時、手首を掴んでロックする。あわよくば脱臼できる」
「思った以上にガチなやつじゃねえか」
「今回は剣を主軸に置くが本来なら剣、刀、槍、弓、銃、斧と数えたら切りが無いほど対策せねばならないさね」
「先は長いな」
「では、やってみろ――」
 
 
 この後、ディザームしようとしたベーゼの手首を粉砕する反撃をうっかりクーリーはやってしまい、夏に鳴く蝉のように悲鳴が木霊した。
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