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2日目 新しい婚約者のお披露目

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パーティー当日。

ウィリアム王子はクリスティーヌをエスコートしている。


婚約者である私はひとりでパーティーに参加していた。


いつもと違う光景にザワザワと周りの貴族がどよめく。
無理もないだろう。
主催であるウィリアム王子が別の女を連れて堂々としているのだから。


どう考えても頭がおかしい。
恥知らずで呆れる。


パーティーも盛り上がってきた頃、
ウィリアム王子は、壇上に上がり挨拶を始めた。

長々と話を終えた後、
今日私がパーティーに呼ばれた理由である本題に入った。



その際、クリスティーヌが走って壇上に上がった。とてもはしたないと思うが、ウィリアム王子は特に気にも留めていない。



「..最後に今日は大切な知らせがある。

婚約者であるアリエッタだが、本日を持って婚約を解消とする。



そして、隣にいるのが新しい婚約者であるクリスティーヌだ。」



クリスティーヌは王子にくっ付いたまま嘲笑うように私を見る。


周りの貴族は、一気に私へと注目する。
悲観の目を向けているのか。

きっと多くの人がクリスティーヌの噂を知っていることだろう。
無知で騙されて本当におバカな王子だ。


私は何も言わずに深くお辞儀をした。
悲しいなんて気持ちはもう捨てたつもりだったが、今までの時間は何だったのだろうと悔しい気持ちになる。




その時、

「顔をお上げください。アリエッタ嬢。」


一人の男性が私に声を掛け、
顔を上げて男性を見ると、私は目を丸くした。


そのお方は、隣国のスティール家の第一王太子のロイド様である。実はこの方は、私の幼馴染みであり初恋の相手だ。



なぜこんな所に?



「このパーティーで大切な幼馴染が婚約破棄を公表される、と風の噂で聞いてな。招かれたので来てみたんだ。」


「本日をもって、アリエッタはスティール・ロイドの婚約者とする。」


会場がザワザワと騒がしい。
突然何を言い出すのか。

今別の男に振られたばかりでもう新しい男に迎えられるなど、おかしい話だ。



「ロイド様!この子は、田舎の平民です。騙されてはいけません。貧乏になりますよ!」


クリスティーヌがロイド様の前に来る。
侯爵家の家柄に釣られたか。
馴れ馴れしく声をかける姿は、とてもはしたなく無礼である。


それにしても、嘘だらけで無茶苦茶なことを言うクリスティーヌに怒りが沸きそうだ。


その点ウィリアム王子は状況を把握できていない様子である。


「...私、ロイド様と婚約致します。」


「ありがとう。今日はこの辺で、パーティーを抜け出して帰ろうか。」


これ以上ここにいる必要はない、とロイド王子は私を連れて会場を出ようとする。


「今までお世話になりました。
どうかお幸せに。」



思ってもいない言葉を並べる。
むしろ幸せになるな、崩壊しろと願う。


そしてキツくウィリアムとクリスティーヌを睨みつけ、会場を出た。




















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