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一章 あなたが好き。
再会、そして
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ーー 住宅街 ーー
昨日のできごとを思い出すだけで頭が痛くなるような気分になってしまう。そんな俺をわかっているくせに隣を歩くこの女は明るく能天気にしゃべりかけてくるのだ。
遡ること昨晩。
俺はふられた。というか自分から逃げたのだ。
ま、逃げなくてもきっと結果は変わらなかったと思うのだが、自分からラブレターを出しておいて逃げるという愚劣極まる行為をした自分に軽く嫌気がさしつつ、人は簡単には変われないということを自らの手で証明した。とは言ってもやはり俺にはほんの少しだけ会長と付き合えるかもしれないという淡い願望があったわけで、その小さな小さな希望の芽を摘み取った自分に腹がたち気を紛らわせようと近くのゲームセンターに行くことにした。俺がゲームセンターに行くのは単にゲームがしたいからではない。ある人物というかある光景を見に行くためだった。
ゲームセンターに行く途中の路地裏で男性の悲鳴が聞こえてきた。俺は動じるわけではなく迷わずにその路地裏に足を向けた。
「たっ、助けてくれー」
路地裏に入るやいなや、この地域で一番の進学校である梶原高校の生徒がぼろぼろになって俺に助けを求めてきた。俺はそいつを無視して今ももう1人の男子生徒の胸ぐらをつかんでいる男に話しかけた。
「よお、今日はこんなとこでやってたのか。」
「お、一条いやーこの前まではゲーセンの中でやってたんだけどさ、店長に見つかっちゃってめんどくさいことに なっちゃたんだよねー。」
「ふーん、そっかそれで今日はどんな悪者をやっつけたんだ。」
この男の名は高坂琢磨、俺の数少ない友人であり、悪者成敗という名のストレス解消をしている悪趣味なやつだ。
「こいつらさ、小学生相手にカツアゲしてたんだぜ、ほんと情けねーことするよな。てかさ、お前は何してんだ よ。」
「ちょっとイライラしててな、サンドバッグを探していたんだよ。こいつらがクズでよかったぜ、遠慮なく殴れる な。」
そう言って俺は高坂がつかんでいた生徒に思いっきり殴りかかった。相手も反撃しようしているが、一応俺は喧嘩の場数はふんでいるのでいかにも今日初めて人を殴りますみたいなやつには負けなかった。そいつは2、3発殴ると地面にへたりこんで土下座を始めた。まだ俺の胸はスッとしないのだが進学校に通っているエリートが俺に屈服しているという優越感に浸ることが出来たので追撃はしないことにした。すると高坂が梶原高校の2人の前に出てきた。
「今日はこれくらいで許すけど、つぎしたら僕はもっと痛い目にあわすぜ、あ、ちなみに学校とかには言わないほうがいいよ。お前らの犯行動画と土下座姿がネットに上がっちゃうことになるぜ。進学とかにひびくんじゃないの?」
そう言って高坂は自分のスマホチラつかせていた。毎度のこなのだがことだがこいつは犯行をスマホに残して成敗と称して暴力を振るっている。その抜け目なさというかずる賢さに感心していると2人の男子生徒は小さな悲鳴を漏らしながら逃げて行った。
「はースッキリした、それにしてもさ一条、お前なんかあったのか?さっき何か言ってたみたいだけど。」
「それがさー 」
俺は今日あったことを高坂に話した。高坂は終始俺の話を大笑いして聞いていた。だが、よくよく考えてみれば俺が今日こんな目にあったのはこいつのせいだ。というのも俺が会長に告白することになったのは高坂に桜川高校で男女交際をしていない女子生徒を探してもらうのがきっかけだった。どういうわけか高坂は高校内の情報に詳しいやつだ。こいつならきっといいやつを紹介してくれるだろうと思っていたが、なんと高坂はわざわざ交際していない女子生徒をリストアップして俺の前に持ってきた。ま、最終的に俺が名前だけを見て雰囲気だけで告白くしようとしたのが会長だったわけだが 。
って結局俺が悪いじゃねえか。なんとも悲しい事実を再確認して俺はガックリと肩を沈めた。
そうこうしているうちに家の前までたどり着いたので高坂に別れを言い、疲れているのか体がだるいので早く休もうとして直ぐにドアノブに手を掛ける。
そして─
ガチャ
「ただいっ、」
ドアを開け、いつものようにただいまっと言いかけたところで。開けたはずなのに、なぜか開いたような感覚がしたが気にする間もなく次の瞬間には、
「おかえりぃーっ!」
ドバンっ!
聞き覚えのある声とともに開け始めのスピードとは比べものにならない速さで扉が顔面に飛んでくる。そんな扉を避けることができるはずもなく。俺は、扉に強打し飛ばされる。誰が開けたのか確認する間もなく、打った痛みで意識が段々遠のいていくのを感じながら。ほんといったい誰だよと最後に思考し。こんな扉の開け方するのは──あいつかまさかっ!
「カナくんっ!?」
この一言であいつの顔が鮮明に浮かびそうになったところで。
、、、
気力尽き果て、気を失った。
ーー 一条家居間 ーー
どれくらいたっただろうか。一時間くらいだろうか。失った意識が次第に我へと返ってくる、背中に座りなれたいつものソファーの感触を感じ、今リビングなのだと理解する。そして閉じていた目をそっと開ける。開けた瞬間。
「カナ、、カナ、くん、カナくん!?カナくーーーーーん!!」
そう言って彼女は、抱きついてきた。
「やっぱりお前か、、、いずみ、、」
そう、このいかにも幼なじみ的な呼び方で俺に抱きついている女は、俺の幼なじみである桜田泉美。いずみは俺と同じ病院で産まれたため誕生日が2日しか変わらなかったし、親同士が病院で意気投合したり、家が向かいだったということから、小学生の頃までは、家族ぐるみで旅行に行ったりキャンプしたりと仲が良かった。親同士も母同士、父同士互いに名前で呼び合う程仲が良く、互いの家に遊びに行ったりしていたのだが、いずみの父がいずみの小学校卒業と同時に転勤することになり桜田家は、北海道に住むことになったのだ。それから、いずみとは一切連絡をとっていなかったのだが。
先日、俺の母から、桜田さんたちがこっちに戻ってくることが決まったようで先にいずみだけこっちに帰ってきてマンションに住むことになっていたのだが、俺の母が一人で住むには危ないのではないかと父と話し合い(3秒程度)をし、うちで良ければ住んでいいよ?と申し出たのだ。しかし、こちらも同様にむしろさっきよりも早く桜田さんたちの方から逆にお願いされてしまい、互いの了承の元いずみがこの家に住むことが決まったという連絡を聞いていた。互いに迷いがなかったのは、長い付き合いだからだろう。しかし、俺はこのことをすっかり忘れていたのだ、告白のせいで!それにしても娘の移住先に男、それも同い年の男がいていいものかと思っている。とりあえず、いずみが何でここにいるのかの説明は、この辺でいいだろう。と思い意識を今に戻す
「うん!いずみだよ♪ていうか、いずみ?いっちゃんって呼んでって前に言ったよね!まぁいいけど!」
そう言っていずみはしゃべるために離した腕を再度広げまた抱きついてきた。
こいつさっきから胸が当たってることに気づいてるのか?それともわざとなのか?しかも、なんかいい香りがするし、と思うがその胸の柔らかさに意識をもっていかれそうになるためそんな考えもどっかに飛んでいく。このままではいけないと目を動かして他に意識を向けようとするが、向けた先でとんでもないものを見つけてしまったのだ!何てきれいな足だ!しかも真っ白だし!運動部ではないのに適度に筋肉がある!筋肉が一切邪魔していないのだむしろ足を引き締めプラスの効果として働いている!引き締まった足は、ただ絞まっているだけでなく爪の先から足の付け根までのラインは、まるでつきたてのもちのように滑らかですべすべしていそうなのだ!ちょっとだけ、ちょっとだけなら触っていいよね?そう思った時には、既に指が触れていた。触れた瞬間「ひゃっ!」という声が背中越しに聞こえてきたような気がして、慌てて手をもとに戻す。そして、太もも愛でるだけにするが意識は、触れている部分に全部そそいで。
そんなことをしているうちに今度はそのままの態勢で彼女が口を動かす。
「ひさしぶりカナくん、会いたかったよ。カナくんは、私に会いたかった?」
少し抱きつく力が強くなったのを感じながら、意識を胸が当たっている部分に絞り、質問に答えるべく顔を離す。
「まぁそこそこだ」
一瞬いずみの顔が歪んだのを察したが、スルーして次をしゃべる。
「とりあえずおかえり!いずみ」
この言葉を聞いて彼女の顔は、少し元に戻った。そして、まるで毎日していたかのように自然に
「ただいま♪」
と答えるのであった。
そして──
何やら視線を感じ、がん見していた足から目を離し顔をあげる。とそこには、何やらニヤニヤ笑いながらこちらを見ている人物を確認した瞬間。
この場所がどこで、自分らがどういう態勢なのか理解し、次第に顔が青ざめ苦笑いをその主へと向ける。しかし、その苦笑いを勘違いしその主は、こちらに手を向けごめんと言った表情で、ごゆっくりと口パクをし、その場を去ろうとした。
「母さんっ!!」
そう言って口パクの主である俺の母をすんでのところで呼び止めたのであった。
先ほどまで抱きついていたいずみが俺の大声に何事かと思い慌てて体を離し振り替える。
「おかえりなさい」
そう言って、また抱きつこうとしたがあらぬ誤解をされてはと思い彼女を立ち上がりながら華麗に避ける。その瞬間、ズキンッ!と頭が痛くなったがこらえる先ほどの扉の痛みは治まっていないようだ。
そして、俺は母に問うため口を動かす。
「それで、あんたはそこで何してるんだ?」
そのセリフを一番言いたいのは母だと思うが、母にはこの状況を興味本意で見ていたことに罪悪感があるので、我慢したように見えた。
「何って、、、見学♪ンフフ♪」
口元に人差し指をあて少しお茶目に何言ってんだこの人!どうやら、俺の勘違いらしい罪悪感なんて微塵もねぇよこの人
「あんた、ホントに母親かよ!てか、36のおばさんが何やってんだよ!息子のこんな状況見学してどーすんだよ!楽しいのかよ!!あんた絶対ばかだよ!」
「って36ってまだまだこれよ!それに、かなでが女の子とそんなことしてるなんてーー母親としては複雑だけど、やっぱり息子の成長は嬉しいんだもの♪女の影のひとつもなかったかなでが、あーんなことやこーんなことしてるんだもん、見ない訳には、いかないじゃない☆キラッ!」
「だからー、」
訳のわからないことを言っている母に説明しようとしたのだが突如割って入ってきた言葉に驚く。
「あの一条さん!」
発したのは、いずみだ。あまりにに唐突だったので母にも少し緊張が走る。
「どーしたのいずみちゃん?」
母に発言を合図にいずみがしゃべりだす。
「あの先程おっしゃった、、」
そこで一旦止まるそして
「カナくんに女の影がなかったていうのは本当なのでしょうか!!」
「それかよっ!」
思わずツッコンでしまった!がその質問には、俺が答えようとしたが、既に遅かった!
「ああそうだ、かなでのやつには彼女などいたことなどないし、バレンタインですらもらってかえってくるのは、近所のおばちゃんに貰うチョコだけだと聞いている、そうだよな、しずか?」
と唐突に入ってきた、母さんをしずかと呼ぶ男は俺の父である。先程ガチャっていう音がしたがこの親父が帰っきた音だったのだろう。しずかは母さんの名前だ。
「ええっ♪フフ♪」
「って、なんであんたらがそんなこと知ってんだよ!ほんとに親かよ‼」
「むしろ親だからよ」
「どこに子どもの恋愛事情を知りまくる親がいるってんだよ!!」
「「ここよ!だ!」」
この二人には、敵わないと思い詮索するのを止め、先程の話しの出所であるいずみの方を見る、もとはといえばいずみが発端だからな。どーせ俺を馬鹿にしてるよっと思って見たのだが。
彼女の目は潤んでいたが、顔はどこか懐かしいものを見たような笑顔だった。
「いずみ?」
「いずみちゃん?」
俺と母が同時に訪ねると、いずみは少し呼吸を整えて答えた。
「あの、、なんか懐かしくて、やっとここに戻ってこれてカナくんに会えたと実感が湧いてきて思わず嬉しくて、、なんかすみません。家族団らんを邪魔してしまって」
そう言って彼女は、目に溜まった涙を拭った。決して溢さぬように。
「いいのよ、泣きたいときは泣いて、笑いたいときに笑えば、何も気にすることは、ないのよ?これからここは、あなたの家なのだから!それにね、これからは、いずみちゃんのことは娘と思って接するつもりよ?だから一条さんなんて呼び方はやめて私のことは、お母さんって呼んでいいのよ?」
そう言って母さんは、いずみのところにいきそっと頭をなでた。そこで、思い出したのか、これから爆弾発言をしやがるとは、
「そうだ、うちのかなでと結婚すればいいのよ!」
俺といずみは、目が点になる。いずみは、何やら頬がやけに赤くなって。
「だっていずみちゃん、むかしカナくんのお嫁さんになるって言ってたじゃない!さっきの二人を見てて思い出したのよー!」
「そーだなしずか!たしかにこの二人は、お似合いかもしれない!!」
「こうしちゃいられないわ!お父さん、お赤飯炊きましょ!」
「よしきたしずか!ひさしぶりに俺も手伝うぜ」
そう言って二人は、キッチンへと掛けていったのだが、リビングには、目が点のまま取り残された二人だったが、何とか意識を取り戻しいずみに話しかける。当のいずみは、まだほんのり赤らんでいる。
「なんか、ごめんな?こんな家族で」
俺の声に驚いたのか、ピクッと動いたがこちらに向きなおって会話を始める。
「いや、いいよ全然気にしてないし、むしろ楽しいから」
これが、本意だということはこの顔を見ればわかるので、心なしか嬉しかった。
「赤飯だね、晩ごはん。」
「だな。」
なんとなく、いずみの顔を見るのが恥ずかしくて俺は、リビングを去り風呂に入って、自室へともどってベットにダイブしたのだった!
この後、晩ごはんの時間になっても俺はリビングに向かわなかった。恥ずかしくてではなく、素直に疲れて爆睡していたことは、いうまでもなく俺が一番知っている。それに、みんな起こしにきたらしいが何やら「せんぱーい」、だとか「ふとももー」だとか奇妙な寝言に不快感を覚えそそくさと自分たちだけで、ご飯を食べたらしい。
翌朝このことで、朝食時にいろいろ言われたが訳がわからず、聞きながして家をでたのだが。
「ちょっと、まって」
っと声がかかり後ろを振り返ったら先程まで一緒にご飯を食べていた。いずみがいたのだった。
いずみは、俺たちの通う高校の制服を着ている。
というのも、今日から同じ高校に通うことになったらしい。
そして、現在。先程合流したいずみと一緒に登校している訳だが、妙に周りの目が気になる。しかし、変な目で見られることには、慣れているので今のところは、無視していて大丈夫なようだ。
いずみと他愛ない話しをしながら、歩いていたのだが。校門を通り終えたところで思わず足を止めてしまっていた。目の前にいる女性に目を奪われたからだ、、、。
「かいちょう?」
昨日のできごとを思い出すだけで頭が痛くなるような気分になってしまう。そんな俺をわかっているくせに隣を歩くこの女は明るく能天気にしゃべりかけてくるのだ。
遡ること昨晩。
俺はふられた。というか自分から逃げたのだ。
ま、逃げなくてもきっと結果は変わらなかったと思うのだが、自分からラブレターを出しておいて逃げるという愚劣極まる行為をした自分に軽く嫌気がさしつつ、人は簡単には変われないということを自らの手で証明した。とは言ってもやはり俺にはほんの少しだけ会長と付き合えるかもしれないという淡い願望があったわけで、その小さな小さな希望の芽を摘み取った自分に腹がたち気を紛らわせようと近くのゲームセンターに行くことにした。俺がゲームセンターに行くのは単にゲームがしたいからではない。ある人物というかある光景を見に行くためだった。
ゲームセンターに行く途中の路地裏で男性の悲鳴が聞こえてきた。俺は動じるわけではなく迷わずにその路地裏に足を向けた。
「たっ、助けてくれー」
路地裏に入るやいなや、この地域で一番の進学校である梶原高校の生徒がぼろぼろになって俺に助けを求めてきた。俺はそいつを無視して今ももう1人の男子生徒の胸ぐらをつかんでいる男に話しかけた。
「よお、今日はこんなとこでやってたのか。」
「お、一条いやーこの前まではゲーセンの中でやってたんだけどさ、店長に見つかっちゃってめんどくさいことに なっちゃたんだよねー。」
「ふーん、そっかそれで今日はどんな悪者をやっつけたんだ。」
この男の名は高坂琢磨、俺の数少ない友人であり、悪者成敗という名のストレス解消をしている悪趣味なやつだ。
「こいつらさ、小学生相手にカツアゲしてたんだぜ、ほんと情けねーことするよな。てかさ、お前は何してんだ よ。」
「ちょっとイライラしててな、サンドバッグを探していたんだよ。こいつらがクズでよかったぜ、遠慮なく殴れる な。」
そう言って俺は高坂がつかんでいた生徒に思いっきり殴りかかった。相手も反撃しようしているが、一応俺は喧嘩の場数はふんでいるのでいかにも今日初めて人を殴りますみたいなやつには負けなかった。そいつは2、3発殴ると地面にへたりこんで土下座を始めた。まだ俺の胸はスッとしないのだが進学校に通っているエリートが俺に屈服しているという優越感に浸ることが出来たので追撃はしないことにした。すると高坂が梶原高校の2人の前に出てきた。
「今日はこれくらいで許すけど、つぎしたら僕はもっと痛い目にあわすぜ、あ、ちなみに学校とかには言わないほうがいいよ。お前らの犯行動画と土下座姿がネットに上がっちゃうことになるぜ。進学とかにひびくんじゃないの?」
そう言って高坂は自分のスマホチラつかせていた。毎度のこなのだがことだがこいつは犯行をスマホに残して成敗と称して暴力を振るっている。その抜け目なさというかずる賢さに感心していると2人の男子生徒は小さな悲鳴を漏らしながら逃げて行った。
「はースッキリした、それにしてもさ一条、お前なんかあったのか?さっき何か言ってたみたいだけど。」
「それがさー 」
俺は今日あったことを高坂に話した。高坂は終始俺の話を大笑いして聞いていた。だが、よくよく考えてみれば俺が今日こんな目にあったのはこいつのせいだ。というのも俺が会長に告白することになったのは高坂に桜川高校で男女交際をしていない女子生徒を探してもらうのがきっかけだった。どういうわけか高坂は高校内の情報に詳しいやつだ。こいつならきっといいやつを紹介してくれるだろうと思っていたが、なんと高坂はわざわざ交際していない女子生徒をリストアップして俺の前に持ってきた。ま、最終的に俺が名前だけを見て雰囲気だけで告白くしようとしたのが会長だったわけだが 。
って結局俺が悪いじゃねえか。なんとも悲しい事実を再確認して俺はガックリと肩を沈めた。
そうこうしているうちに家の前までたどり着いたので高坂に別れを言い、疲れているのか体がだるいので早く休もうとして直ぐにドアノブに手を掛ける。
そして─
ガチャ
「ただいっ、」
ドアを開け、いつものようにただいまっと言いかけたところで。開けたはずなのに、なぜか開いたような感覚がしたが気にする間もなく次の瞬間には、
「おかえりぃーっ!」
ドバンっ!
聞き覚えのある声とともに開け始めのスピードとは比べものにならない速さで扉が顔面に飛んでくる。そんな扉を避けることができるはずもなく。俺は、扉に強打し飛ばされる。誰が開けたのか確認する間もなく、打った痛みで意識が段々遠のいていくのを感じながら。ほんといったい誰だよと最後に思考し。こんな扉の開け方するのは──あいつかまさかっ!
「カナくんっ!?」
この一言であいつの顔が鮮明に浮かびそうになったところで。
、、、
気力尽き果て、気を失った。
ーー 一条家居間 ーー
どれくらいたっただろうか。一時間くらいだろうか。失った意識が次第に我へと返ってくる、背中に座りなれたいつものソファーの感触を感じ、今リビングなのだと理解する。そして閉じていた目をそっと開ける。開けた瞬間。
「カナ、、カナ、くん、カナくん!?カナくーーーーーん!!」
そう言って彼女は、抱きついてきた。
「やっぱりお前か、、、いずみ、、」
そう、このいかにも幼なじみ的な呼び方で俺に抱きついている女は、俺の幼なじみである桜田泉美。いずみは俺と同じ病院で産まれたため誕生日が2日しか変わらなかったし、親同士が病院で意気投合したり、家が向かいだったということから、小学生の頃までは、家族ぐるみで旅行に行ったりキャンプしたりと仲が良かった。親同士も母同士、父同士互いに名前で呼び合う程仲が良く、互いの家に遊びに行ったりしていたのだが、いずみの父がいずみの小学校卒業と同時に転勤することになり桜田家は、北海道に住むことになったのだ。それから、いずみとは一切連絡をとっていなかったのだが。
先日、俺の母から、桜田さんたちがこっちに戻ってくることが決まったようで先にいずみだけこっちに帰ってきてマンションに住むことになっていたのだが、俺の母が一人で住むには危ないのではないかと父と話し合い(3秒程度)をし、うちで良ければ住んでいいよ?と申し出たのだ。しかし、こちらも同様にむしろさっきよりも早く桜田さんたちの方から逆にお願いされてしまい、互いの了承の元いずみがこの家に住むことが決まったという連絡を聞いていた。互いに迷いがなかったのは、長い付き合いだからだろう。しかし、俺はこのことをすっかり忘れていたのだ、告白のせいで!それにしても娘の移住先に男、それも同い年の男がいていいものかと思っている。とりあえず、いずみが何でここにいるのかの説明は、この辺でいいだろう。と思い意識を今に戻す
「うん!いずみだよ♪ていうか、いずみ?いっちゃんって呼んでって前に言ったよね!まぁいいけど!」
そう言っていずみはしゃべるために離した腕を再度広げまた抱きついてきた。
こいつさっきから胸が当たってることに気づいてるのか?それともわざとなのか?しかも、なんかいい香りがするし、と思うがその胸の柔らかさに意識をもっていかれそうになるためそんな考えもどっかに飛んでいく。このままではいけないと目を動かして他に意識を向けようとするが、向けた先でとんでもないものを見つけてしまったのだ!何てきれいな足だ!しかも真っ白だし!運動部ではないのに適度に筋肉がある!筋肉が一切邪魔していないのだむしろ足を引き締めプラスの効果として働いている!引き締まった足は、ただ絞まっているだけでなく爪の先から足の付け根までのラインは、まるでつきたてのもちのように滑らかですべすべしていそうなのだ!ちょっとだけ、ちょっとだけなら触っていいよね?そう思った時には、既に指が触れていた。触れた瞬間「ひゃっ!」という声が背中越しに聞こえてきたような気がして、慌てて手をもとに戻す。そして、太もも愛でるだけにするが意識は、触れている部分に全部そそいで。
そんなことをしているうちに今度はそのままの態勢で彼女が口を動かす。
「ひさしぶりカナくん、会いたかったよ。カナくんは、私に会いたかった?」
少し抱きつく力が強くなったのを感じながら、意識を胸が当たっている部分に絞り、質問に答えるべく顔を離す。
「まぁそこそこだ」
一瞬いずみの顔が歪んだのを察したが、スルーして次をしゃべる。
「とりあえずおかえり!いずみ」
この言葉を聞いて彼女の顔は、少し元に戻った。そして、まるで毎日していたかのように自然に
「ただいま♪」
と答えるのであった。
そして──
何やら視線を感じ、がん見していた足から目を離し顔をあげる。とそこには、何やらニヤニヤ笑いながらこちらを見ている人物を確認した瞬間。
この場所がどこで、自分らがどういう態勢なのか理解し、次第に顔が青ざめ苦笑いをその主へと向ける。しかし、その苦笑いを勘違いしその主は、こちらに手を向けごめんと言った表情で、ごゆっくりと口パクをし、その場を去ろうとした。
「母さんっ!!」
そう言って口パクの主である俺の母をすんでのところで呼び止めたのであった。
先ほどまで抱きついていたいずみが俺の大声に何事かと思い慌てて体を離し振り替える。
「おかえりなさい」
そう言って、また抱きつこうとしたがあらぬ誤解をされてはと思い彼女を立ち上がりながら華麗に避ける。その瞬間、ズキンッ!と頭が痛くなったがこらえる先ほどの扉の痛みは治まっていないようだ。
そして、俺は母に問うため口を動かす。
「それで、あんたはそこで何してるんだ?」
そのセリフを一番言いたいのは母だと思うが、母にはこの状況を興味本意で見ていたことに罪悪感があるので、我慢したように見えた。
「何って、、、見学♪ンフフ♪」
口元に人差し指をあて少しお茶目に何言ってんだこの人!どうやら、俺の勘違いらしい罪悪感なんて微塵もねぇよこの人
「あんた、ホントに母親かよ!てか、36のおばさんが何やってんだよ!息子のこんな状況見学してどーすんだよ!楽しいのかよ!!あんた絶対ばかだよ!」
「って36ってまだまだこれよ!それに、かなでが女の子とそんなことしてるなんてーー母親としては複雑だけど、やっぱり息子の成長は嬉しいんだもの♪女の影のひとつもなかったかなでが、あーんなことやこーんなことしてるんだもん、見ない訳には、いかないじゃない☆キラッ!」
「だからー、」
訳のわからないことを言っている母に説明しようとしたのだが突如割って入ってきた言葉に驚く。
「あの一条さん!」
発したのは、いずみだ。あまりにに唐突だったので母にも少し緊張が走る。
「どーしたのいずみちゃん?」
母に発言を合図にいずみがしゃべりだす。
「あの先程おっしゃった、、」
そこで一旦止まるそして
「カナくんに女の影がなかったていうのは本当なのでしょうか!!」
「それかよっ!」
思わずツッコンでしまった!がその質問には、俺が答えようとしたが、既に遅かった!
「ああそうだ、かなでのやつには彼女などいたことなどないし、バレンタインですらもらってかえってくるのは、近所のおばちゃんに貰うチョコだけだと聞いている、そうだよな、しずか?」
と唐突に入ってきた、母さんをしずかと呼ぶ男は俺の父である。先程ガチャっていう音がしたがこの親父が帰っきた音だったのだろう。しずかは母さんの名前だ。
「ええっ♪フフ♪」
「って、なんであんたらがそんなこと知ってんだよ!ほんとに親かよ‼」
「むしろ親だからよ」
「どこに子どもの恋愛事情を知りまくる親がいるってんだよ!!」
「「ここよ!だ!」」
この二人には、敵わないと思い詮索するのを止め、先程の話しの出所であるいずみの方を見る、もとはといえばいずみが発端だからな。どーせ俺を馬鹿にしてるよっと思って見たのだが。
彼女の目は潤んでいたが、顔はどこか懐かしいものを見たような笑顔だった。
「いずみ?」
「いずみちゃん?」
俺と母が同時に訪ねると、いずみは少し呼吸を整えて答えた。
「あの、、なんか懐かしくて、やっとここに戻ってこれてカナくんに会えたと実感が湧いてきて思わず嬉しくて、、なんかすみません。家族団らんを邪魔してしまって」
そう言って彼女は、目に溜まった涙を拭った。決して溢さぬように。
「いいのよ、泣きたいときは泣いて、笑いたいときに笑えば、何も気にすることは、ないのよ?これからここは、あなたの家なのだから!それにね、これからは、いずみちゃんのことは娘と思って接するつもりよ?だから一条さんなんて呼び方はやめて私のことは、お母さんって呼んでいいのよ?」
そう言って母さんは、いずみのところにいきそっと頭をなでた。そこで、思い出したのか、これから爆弾発言をしやがるとは、
「そうだ、うちのかなでと結婚すればいいのよ!」
俺といずみは、目が点になる。いずみは、何やら頬がやけに赤くなって。
「だっていずみちゃん、むかしカナくんのお嫁さんになるって言ってたじゃない!さっきの二人を見てて思い出したのよー!」
「そーだなしずか!たしかにこの二人は、お似合いかもしれない!!」
「こうしちゃいられないわ!お父さん、お赤飯炊きましょ!」
「よしきたしずか!ひさしぶりに俺も手伝うぜ」
そう言って二人は、キッチンへと掛けていったのだが、リビングには、目が点のまま取り残された二人だったが、何とか意識を取り戻しいずみに話しかける。当のいずみは、まだほんのり赤らんでいる。
「なんか、ごめんな?こんな家族で」
俺の声に驚いたのか、ピクッと動いたがこちらに向きなおって会話を始める。
「いや、いいよ全然気にしてないし、むしろ楽しいから」
これが、本意だということはこの顔を見ればわかるので、心なしか嬉しかった。
「赤飯だね、晩ごはん。」
「だな。」
なんとなく、いずみの顔を見るのが恥ずかしくて俺は、リビングを去り風呂に入って、自室へともどってベットにダイブしたのだった!
この後、晩ごはんの時間になっても俺はリビングに向かわなかった。恥ずかしくてではなく、素直に疲れて爆睡していたことは、いうまでもなく俺が一番知っている。それに、みんな起こしにきたらしいが何やら「せんぱーい」、だとか「ふとももー」だとか奇妙な寝言に不快感を覚えそそくさと自分たちだけで、ご飯を食べたらしい。
翌朝このことで、朝食時にいろいろ言われたが訳がわからず、聞きながして家をでたのだが。
「ちょっと、まって」
っと声がかかり後ろを振り返ったら先程まで一緒にご飯を食べていた。いずみがいたのだった。
いずみは、俺たちの通う高校の制服を着ている。
というのも、今日から同じ高校に通うことになったらしい。
そして、現在。先程合流したいずみと一緒に登校している訳だが、妙に周りの目が気になる。しかし、変な目で見られることには、慣れているので今のところは、無視していて大丈夫なようだ。
いずみと他愛ない話しをしながら、歩いていたのだが。校門を通り終えたところで思わず足を止めてしまっていた。目の前にいる女性に目を奪われたからだ、、、。
「かいちょう?」
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そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
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初投稿なのにすごいですね。恥ずかしながら、僕も高校生のころはこんな妄想ばかりしてました。この物語の主人公が報われるのを期待しています。更新楽しみにしています。頑張ってください。