5 / 22
5 惚れ薬って横行してるものなのかしら
「まぁ、身体に悪いのは悪いんだけど……どちらかというと精神にかね? そのせいでやり直してるんだろう?」
「はい……、私、嫉妬のあまりに……その、他人に刃物を向けてしまって」
お祖母様の口調は軽いが、やり直しとはいえ私は自分のやった事を恥じていた。小さくなって正直に話すと、お祖母様はかかと笑って流してくれた。
「ほほ、そういう劇薬なんだよ。まぁ、惚れ薬でニアのことを繋ぎ止めておきたい位、ミストの所の坊主はあんたに入れ込んでいた。……たぶん、他の誰かも惚れ薬を使ったんだろうね。ミストの所の坊主に。そのままの未来を受け入れていたら、ミストの坊主の心も2つに裂けていただろうねぇ」
私の心は裂けたりしなかった。私はなんだかんだ、グレアム様が好きだった。……婚前から浮気する男を好きでいられるわけがないので、さらに言えば婚約者に惚れ薬を飲ませる男を好きでいられるわけもなく、私の中にグレアム様への好意はなくなっているけれど。
そんなゆっくりとカップを傾けながら話すことではない。と、思うが祖母からしたら既に孫が『やり直して』いるのだから、惚れ薬の一つや二つ、そこまで驚くことではないのかもしれない。
「惚れ薬って……そんなに横行しているものなんですか?」
「普通はないね。ふむ……薬学に詳しい家系だとか、材料が揃うような領地なら手に入れるのも作るのも難しい薬じゃない。違法にもあたっていないしね、精神に作用する薬なんてのは……あまり信用されていない」
しかし、効果はてきめんだった。私が長い事飲まされた続けていたのもあるかもしれないけれど、アリアナ嬢にグレアム様を取られたのが本当に憎かった。
あんなものが横行していいはずはない。とはいえ、私は巻き戻ってしまったから証拠にならないし……。
真剣に考えていると、お祖母様がヒントをくれた。
「何も惚れ薬を一人に使ったとは限らない。一人で何もかも解決しなくていいんだよ、あんたは先を知っている。仲間を集めなさい」
「お祖母様……!」
「ほほ、今度は普通の茶菓子でお茶にしようじゃないか。とりあえず、このクッキーは……勿体ないけど、捨てるか……本人に突きつけて惚れ薬の入手先を吐かせてもいいねぇ」
「それです! お祖母様、ありがとうございます! 今度、美味しいパウンドケーキを焼きますね」
「楽しみにしているよ。全部終わったら、またおいで」
「はい!」
私はお祖母様にお礼を言ってクッキーを持って部屋に帰った。途中、台所におやつとお茶をお願いして部屋に戻る。
頭の中を整理して、ちゃんと作戦をたてるためには、アリサの協力は必要不可欠だ。
甘い物と一緒に、この劇薬クッキーの効果的な使い方を2人で考えなければ。
お祖母様、そして今は亡きお祖父様、孫は今度は間違えません!
「はい……、私、嫉妬のあまりに……その、他人に刃物を向けてしまって」
お祖母様の口調は軽いが、やり直しとはいえ私は自分のやった事を恥じていた。小さくなって正直に話すと、お祖母様はかかと笑って流してくれた。
「ほほ、そういう劇薬なんだよ。まぁ、惚れ薬でニアのことを繋ぎ止めておきたい位、ミストの所の坊主はあんたに入れ込んでいた。……たぶん、他の誰かも惚れ薬を使ったんだろうね。ミストの所の坊主に。そのままの未来を受け入れていたら、ミストの坊主の心も2つに裂けていただろうねぇ」
私の心は裂けたりしなかった。私はなんだかんだ、グレアム様が好きだった。……婚前から浮気する男を好きでいられるわけがないので、さらに言えば婚約者に惚れ薬を飲ませる男を好きでいられるわけもなく、私の中にグレアム様への好意はなくなっているけれど。
そんなゆっくりとカップを傾けながら話すことではない。と、思うが祖母からしたら既に孫が『やり直して』いるのだから、惚れ薬の一つや二つ、そこまで驚くことではないのかもしれない。
「惚れ薬って……そんなに横行しているものなんですか?」
「普通はないね。ふむ……薬学に詳しい家系だとか、材料が揃うような領地なら手に入れるのも作るのも難しい薬じゃない。違法にもあたっていないしね、精神に作用する薬なんてのは……あまり信用されていない」
しかし、効果はてきめんだった。私が長い事飲まされた続けていたのもあるかもしれないけれど、アリアナ嬢にグレアム様を取られたのが本当に憎かった。
あんなものが横行していいはずはない。とはいえ、私は巻き戻ってしまったから証拠にならないし……。
真剣に考えていると、お祖母様がヒントをくれた。
「何も惚れ薬を一人に使ったとは限らない。一人で何もかも解決しなくていいんだよ、あんたは先を知っている。仲間を集めなさい」
「お祖母様……!」
「ほほ、今度は普通の茶菓子でお茶にしようじゃないか。とりあえず、このクッキーは……勿体ないけど、捨てるか……本人に突きつけて惚れ薬の入手先を吐かせてもいいねぇ」
「それです! お祖母様、ありがとうございます! 今度、美味しいパウンドケーキを焼きますね」
「楽しみにしているよ。全部終わったら、またおいで」
「はい!」
私はお祖母様にお礼を言ってクッキーを持って部屋に帰った。途中、台所におやつとお茶をお願いして部屋に戻る。
頭の中を整理して、ちゃんと作戦をたてるためには、アリサの協力は必要不可欠だ。
甘い物と一緒に、この劇薬クッキーの効果的な使い方を2人で考えなければ。
お祖母様、そして今は亡きお祖父様、孫は今度は間違えません!
あなたにおすすめの小説
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
第一王子は私(醜女姫)と婚姻解消したいらしい
麻竹
恋愛
第一王子は病に倒れた父王の命令で、隣国の第一王女と結婚させられることになっていた。
しかし第一王子には、幼馴染で将来を誓い合った恋人である侯爵令嬢がいた。
しかし父親である国王は、王子に「侯爵令嬢と、どうしても結婚したければ側妃にしろ」と突っぱねられてしまう。
第一王子は渋々この婚姻を承諾するのだが……しかし隣国から来た王女は、そんな王子の決断を後悔させるほどの人物だった。
婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?
パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。
しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
婚約破棄、しません
みるくコーヒー
恋愛
公爵令嬢であるユシュニス・キッドソンは夜会で婚約破棄を言い渡される。しかし、彼らの糾弾に言い返して去り際に「婚約破棄、しませんから」と言った。
特に婚約者に執着があるわけでもない彼女が婚約破棄をしない理由はただ一つ。
『彼らを改心させる』という役目を遂げること。
第一王子と自身の兄である公爵家長男、商家の人間である次期侯爵、天才魔導士を改心させることは出来るのか!?
本当にざまぁな感じのやつを書きたかったんです。
※こちらは小説家になろうでも投稿している作品です。アルファポリスへの投稿は初となります。
※宜しければ、今後の励みになりますので感想やアドバイスなど頂けたら幸いです。
※使い方がいまいち分からずネタバレを含む感想をそのまま承認していたりするので感想から読んだりする場合はご注意ください。ヘボ作者で申し訳ないです。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~
岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。
「これからは自由に生きます」
そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、
「勝手にしろ」
と突き放した。