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13 忽然と消えた者たち(※ローリニア国王視点)
「くそ! 何故見つからぬ! 近衛騎士団は……『鷹の爪』の騎士たちはどこへ消えた?!」
「そ、それが……消えた者の大半は身寄りがなく、また、少数は公爵家や大公の家の出の者で……下女一人と共に、伯爵家の者が一人消えていますが、それも騎士団長の家系の傍系ですので……、無理な捜査はこれ以上は」
側近の報告に執務机を拳で強く叩く。
元は、ローリニア王国の聖人と聖女が結婚して生まれたのがローリニア王国だ。そして、王家でもある。
王家の血筋はほぼ確実に、弱いながらも魔法が使え、傍系にはたまに出る程度。聖職者は信心と身に付けた貴石を媒体に小さな癒しの魔法が使えるだけ。
この3年で老けて皺の多くなった自分の情けない拳を見る。自分の寿命を使って大掛かりな魔法を定期的に聖女にかけ、家族や宰相にまやかしの魔法をかけてきたが、全て無駄になった。
こんな真似ができるとしたら、やはり紛れ込んでいたグランドルム王国の間者の仕業だろうが、それがまさか身元の保証された騎士団の中にいたとは誰が思うだろうか。
「下女を探せ! あれは騎士団に守らせていた『金剛の聖女』だ! 瘴気に国を蝕まれたくなければ、グランドルムに押し入ってでも連れて帰れ!」
「は、はい!」
側近を怒鳴りつけて残った騎士団の騎士と、他にも城勤めの騎士や兵士を隣国に向かわせる。とはいえ、馬の早駆けでも5日はかかる。どんな仕組みで、1晩にして、痕跡も無く、ローリニア王国を出たというのか。
さらには、その次の日にはグランドルムを覆っていた瘴気が浄化されたと、奇跡の光を見たという報告が相次いだ。
聖女か聖人の子でなければ聖女か聖人であれない……そして、聖女や聖人が発現するのは、瘴気が濃くなる兆し。
先代が先駆けて聖女の子を我が国に攫ってこれたのだ、逆に、聖女がその気になれば共に国を逃げ出すのは容易い。
聖女を『基調』として瘴気を隣国に反転させることは可能でも、聖女自身に我の魔力では到底魔法はかけられない。
だからわざと知恵を付けさせずにいたというのに……、間者を洗い出すのが遅かった。まさか、騎士団長が一枚噛んでいるとは思わなんだ……そして、国を出た騎士たち。
力ある貴族の令息、ないしは、もはや身寄りがなく実力で成り上がった騎士たち。身元の保証はしっかりしているが、それだけに足元をすくわれた。
貴族の間で聖女、聖人がいかにして生まれるかは教養の範囲。身寄りがない者が義を見せた所で脅すための身内という材料がない。騎士団長の家の傍系では、伯爵家にも手を入れられぬ。
冷戦に対して抗議していた公爵家の令息が騎士団長だったはずだ。奴の手引きに違いない。という事は、伯爵家はすでに公爵家が守りに入っている。下手には動けん。
しくじった。誰が見ても悪者になるのは我で、間者を先に見つけられなかったことでこの国はいずれ、回復したグランドルム王国から責められるだろう。
老けて皺だらけになった手で、同じく皺だらけで脂汗をかいている顔を拭う。
とにかく、追手をかけて聖女だけでも連れ帰らねばならない。
そして、大々的に『聖女はこの国の危機に顕現した』と発しなければ。
飼い殺しにもできない、我の上に立つ者を作る行為だが致し方ない。
そのためには、足抜けした騎士団員たちを殺さなければいけない。
「……影」
「はっ」
背後に音もなく表れた子飼いの精鋭。戦場では役には立たぬが、暗殺という意味ではこれ以上適した者はいない。
「殺せ。聖女以外、要らぬ」
「御意に」
「そ、それが……消えた者の大半は身寄りがなく、また、少数は公爵家や大公の家の出の者で……下女一人と共に、伯爵家の者が一人消えていますが、それも騎士団長の家系の傍系ですので……、無理な捜査はこれ以上は」
側近の報告に執務机を拳で強く叩く。
元は、ローリニア王国の聖人と聖女が結婚して生まれたのがローリニア王国だ。そして、王家でもある。
王家の血筋はほぼ確実に、弱いながらも魔法が使え、傍系にはたまに出る程度。聖職者は信心と身に付けた貴石を媒体に小さな癒しの魔法が使えるだけ。
この3年で老けて皺の多くなった自分の情けない拳を見る。自分の寿命を使って大掛かりな魔法を定期的に聖女にかけ、家族や宰相にまやかしの魔法をかけてきたが、全て無駄になった。
こんな真似ができるとしたら、やはり紛れ込んでいたグランドルム王国の間者の仕業だろうが、それがまさか身元の保証された騎士団の中にいたとは誰が思うだろうか。
「下女を探せ! あれは騎士団に守らせていた『金剛の聖女』だ! 瘴気に国を蝕まれたくなければ、グランドルムに押し入ってでも連れて帰れ!」
「は、はい!」
側近を怒鳴りつけて残った騎士団の騎士と、他にも城勤めの騎士や兵士を隣国に向かわせる。とはいえ、馬の早駆けでも5日はかかる。どんな仕組みで、1晩にして、痕跡も無く、ローリニア王国を出たというのか。
さらには、その次の日にはグランドルムを覆っていた瘴気が浄化されたと、奇跡の光を見たという報告が相次いだ。
聖女か聖人の子でなければ聖女か聖人であれない……そして、聖女や聖人が発現するのは、瘴気が濃くなる兆し。
先代が先駆けて聖女の子を我が国に攫ってこれたのだ、逆に、聖女がその気になれば共に国を逃げ出すのは容易い。
聖女を『基調』として瘴気を隣国に反転させることは可能でも、聖女自身に我の魔力では到底魔法はかけられない。
だからわざと知恵を付けさせずにいたというのに……、間者を洗い出すのが遅かった。まさか、騎士団長が一枚噛んでいるとは思わなんだ……そして、国を出た騎士たち。
力ある貴族の令息、ないしは、もはや身寄りがなく実力で成り上がった騎士たち。身元の保証はしっかりしているが、それだけに足元をすくわれた。
貴族の間で聖女、聖人がいかにして生まれるかは教養の範囲。身寄りがない者が義を見せた所で脅すための身内という材料がない。騎士団長の家の傍系では、伯爵家にも手を入れられぬ。
冷戦に対して抗議していた公爵家の令息が騎士団長だったはずだ。奴の手引きに違いない。という事は、伯爵家はすでに公爵家が守りに入っている。下手には動けん。
しくじった。誰が見ても悪者になるのは我で、間者を先に見つけられなかったことでこの国はいずれ、回復したグランドルム王国から責められるだろう。
老けて皺だらけになった手で、同じく皺だらけで脂汗をかいている顔を拭う。
とにかく、追手をかけて聖女だけでも連れ帰らねばならない。
そして、大々的に『聖女はこの国の危機に顕現した』と発しなければ。
飼い殺しにもできない、我の上に立つ者を作る行為だが致し方ない。
そのためには、足抜けした騎士団員たちを殺さなければいけない。
「……影」
「はっ」
背後に音もなく表れた子飼いの精鋭。戦場では役には立たぬが、暗殺という意味ではこれ以上適した者はいない。
「殺せ。聖女以外、要らぬ」
「御意に」
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