可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

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開幕

自分色と幼馴染

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「もう‼ 本当に‼ 本当に‼ むかつくぅ‼」

 咲夜は僕の膝の上に座りながら、そう不満を爆発させた。

 不満の相手は、勿論零先輩で……

「大体あいつ。元カノの癖に何なのよ‼ もう付き合っていないんだから諦めなさいよ‼ それにまーくんだって、もう好きじゃないって言っているのに‼ ああ、もう‼ 思い出しただけでむかつく‼」
「そんな人の悪口ばかり言うもんじゃないぞ。あの人は、確かに変態で、ストーカーだけどきちんといいところは、あるんだから」
「むぅ……」

 咲夜は、尚も納得がいかないようで、頬を大きく膨らませている。
 
 そんな彼女の機嫌を治すべく、僕は咲夜の髪を優しく梳いてやる。

 風呂上がりの彼女の髪からは、石鹸のいい匂いがして、髪も艶々サラサラで、気持ちよく、手が止まらない。

「ふふん」

 幸い咲夜は、嫌がっている素振りを見せてはいない。むしろ喜んでいるみたいで、僕としても安心して、触り続けることができる。

「ねぇねぇまーくん」
「ん~? なんだ~?」
「ゲーム。やらない?」
「ゲーム……か」

 咲夜は、見た目とは裏腹にかなりのゲーマ-だ。彼女をそうさせたのは、僕の影響で、昔から僕たちは、新作のゲームが出るたびに一緒にやっていた。

 それ以外の趣味に関してもアニメ、カード、好きな本。そのすべてが僕とよく似ており、元々の原因は、すべて僕だ。そう言った意味では、咲夜は僕色に染まっていると言える。

「なんだか変態みたいだな……」
「ん? 何か言った?」
「いや。何も」

 男は女を自分色に染めたいと思っている節があると何かの記事で見たが、実際のところこうして僕色に染まった女性を見るとその考え方は、間違っていないのだと思い知らされる。

 思い知らされはするのだが、なんだか腑に落ちない。

「もしかしてゲームするの嫌だった……?」
「いや。そんなことはないけど……どうしてそんな事思ったんだ?」
「ええと、まーくん。凄い複雑そうな顔してたから……」
「ああ、それは……」

 危うく口を滑らせそうになるが、すんでのところで口を噤む。

「それは? 何?」
「な、 なんでもない‼ それよりもゲームだな‼ いやぁ~今日は、何のゲームやろうかな~」
「むぅ……」

 そんな膨れたような面をしてもダメなものは、ダメだ。この気持ちを吐露するには、早い。

「まあいいや。私は、優しいからね。これぐらいの事不問にしてあげる」
「あ、ありがとう……」

 別に僕は、何も悪いことはしていないはずなのに、どうしてそのような事を言われねばならないのか。

 それにそのドヤ顔止めろ。なんかムカつく。

「というかいい加減膝の上からどいてくれよ。ゲーム探せないだろう?」
「そういうまーくんこそ私の髪の毛いじるの止めたら?」
「そうだな。それじゃあ咲夜が、どいてくれたら止めるよ」
「いやいや。まーくんが、先にいじるのをやめるのが先でしょう?」
「いやいやいや」
「いやいやいやいや」

 僕たちは、互いが互いに一向に引こうとせず、このままでは埒が明かない。

「咲夜」
「うん。わかっている」
「「同時にやめよう」」

 流石僕の幼馴染。僕の言いたいことをきちんと理解してくれている。

「掛け声は、どうする?」
「天丼、かつ丼、親子丼でいこうよ」
「寒い、寒い、寒い。大体真顔で、そのネタを使うんじゃない。『いっせーのせ』でいいだろう」
「むぅ……それぐらいわかっているよ。全く、まーくんは、ノリ悪いな~」
「うるさい」
「まあそんなまーくんも好きなんだけどね」
「う、うるさい‼」
「あ、赤くなってる。何? 好きって言われてそんなに嬉しかった? ねぇねぇ?」
「べ、べべべべ別に嬉しくねぇし‼ なんとも思ってねぇし‼」

 嘘だ。本当は、めちゃくちゃ嬉しい。もしここに咲夜がいなかったら僕は、嬉しさのあまり部屋中跳ね回る自信は、ある。

「ふ~ん。そっか、そっか」
「な、なんだよその眼は‼」
「別に~何でもないよ~それよりも早くゲームしよう?」
「全く、誰のせいで……」
「まあまあ。そう怒らないで。あとでおっぱいを好きなだけ揉ませてあげるから」
「誰が揉むか阿呆‼ というか女の子がそんな言葉使うんじゃありません‼」

 本当。こいつといると調子を狂わされる。でも……嫌ではない。むしろ心地よくて、嬉しくて、やっぱり僕には、咲夜が必要なのだと思い知らされる。

「ほら。もういいからさっさとやるぞ」
「うん。そうだね。それじゃあ……」
「「いっせーのせ‼」」

 掛け声は、完璧だった。でも二人ともピクリとも動いていない。それは、何故か? 咲夜の髪にもっと触れていたいから。それ以上でもそれ以下でもない。

「おい。これはどういうことだ?」
「そういうまーくんこそ」
「…………………………なぁ」
「…………………………うん」
「「今日は、ゲームしないでいっか」」

 どうやら咲夜も僕の膝の上が、大層お気に召していたらしい。全く。本当にとことん気があうな。僕たちって。
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