23 / 53
第二幕
プリクラと金髪少女
しおりを挟む
「金剛さん、金剛さん。この四角い箱は何なのでしょうか‼」
星野さんはゲームセンターが余程気に入ったのか先程からずっと興奮しっぱなしのようで、そんな彼女はプリクラに興味が湧いたようだ。
「それはプリクラだよ」
「プリ……クラ……?」
「簡単に言うとこの中に入って写真を撮ることができるんだよ」
「そうなのですか? でもなぜこのような場に写真を撮る機会が入っているのですか?」
「ゴメン。流石にそこまではわからない」
僕はどこぞの物語の羽何とかさんみたいになんでもは知らない。むしろ知っていることは少ない方で、そんな僕の唯一の情報源は、ラノベとネットからの情報だけだ。
「そうですよね……そんな事いきなり言われても知りませんよね。そんな簡単な事に気が付かなくてすみません……すみません……すみません……すみません……」
僕は対応を間違えた。星野さんは壊れた人形の様にただひたすら僕に謝り続けてくる。その様子は見ていて怖いし、何度止めるよう言っても彼女は全く聞く耳を持ってくれず、そんな彼女をこのまま放置するのはどう考えたって良くない。
「星野さん。こっち」
「へ……!?」
僕は星野さんの腕を取るとそのままプリクラ機の中に入る。すると中に内蔵されているスピーカーから声が鳴る。
「あ、あの金剛さん……きょ、距離が近い……ですわ」
僕は星野さんにそう言われてから初めて自身が星野さんに近づきすぎていることに気づいた。
「ご、ごめん‼︎ 嫌だったよね?」
「いえ……別に……」
嫌がっているような素振りは見えないので、彼女の言葉は本当なのだろう。でもいくらなんでもキスが出来てしまうほど密着してしまうのはどうかと思うし、僕はそういうことにはかなり気をつけているはずなのだ。
「金剛さん?」
僕のそんな気持ちを察したのか、星野さんはこちらのことを心配そうに見つめる。
「ごめん。少しぼーっとしてた」
「大丈夫......なのですか?」
「大丈夫、平気、平気。それよりもどうする? 写真、このまま撮る?」
「写真ですか? そう……ですね……私はどちらでも……金剛さんはどうなんですか?」
「僕? 僕は……」
正直こういった物的証拠を残すと後々咲夜に今日の事がバレかねないし、何より恥ずかしい。
「あまり気ノリは……」
「……そうですか」
星野さんのテンションが目に見えて落ちる。どうやら彼女は僕と一緒に写真を撮りたかったらしい。そうならそうとはっきり言って欲しいのだが、そこは自己肯定感の低い星野さん。大方自分でそういうのはおこがましいだなんて思っているのだろう。
「しないというのは気のせいで一緒に撮ろうか」
「……はい‼」
本当はこういう事はあまりしない方がよいのだろうが、今回だけは例外だ。それに僕だって今日できたこの出会いを大切にしたいし、今後も星野さんとは友人として仲良くなりたい。そしていつか咲夜を彼女に紹介してあげたい。優しい咲夜の事だ。きっと彼女とも仲良くしてくれるだろう。
「金剛さん、金剛さん。フレームを選べたと言われたのですがどうやって選べばいいのですか?」
「そこにタッチペンがあるからそれを使って選べばいいみたいだよ」
「なるほど‼ 了解しましたわ‼」
星野さんも腐っても女子。こういう事は僕よりも遥かにたけているだろうし、センスだっていいはずだ。
「こ、これにしましょうか」
「え、ちょ……」
星野さんが選んだのはよりにもよってハート型だった。
「金剛さん、金剛さん。はい。ポーズ」
「え、あ、はい」
僕は星野さんの促されるまま彼女とピッタリと寄り添う形でピースサインをした。
「ふむふむ。なるほど。ここかららくがきなるなるものをすればよいのですね」
「あ、あの……」
「金剛さん。少し黙っていてください」
「あ、はい……」
先程までの弱弱しい星野さんとはまるで人格が変わったように今の星野さんは、とても強気で人の話を全く聞いてくれない。
「ふぅ。無事撮ることが出来ましたね‼ 金剛さん‼」
「あ、うん……」
現像してもらった写真を見て僕は絶句した。何せその写真端から見れば付き合いたての初々しいカップルにしか見えない。その様なもの当然使うことはできないし、何より咲夜にばれたら何を要求されるか分かったものではない。
つまるところ僕はこれをどこかに隠さないといけないわけで、そうなると必然的に場所は決まってくる。
「家帰ったらエロ本コレクションの中に隠しておこう……うん……」
星野さんはゲームセンターが余程気に入ったのか先程からずっと興奮しっぱなしのようで、そんな彼女はプリクラに興味が湧いたようだ。
「それはプリクラだよ」
「プリ……クラ……?」
「簡単に言うとこの中に入って写真を撮ることができるんだよ」
「そうなのですか? でもなぜこのような場に写真を撮る機会が入っているのですか?」
「ゴメン。流石にそこまではわからない」
僕はどこぞの物語の羽何とかさんみたいになんでもは知らない。むしろ知っていることは少ない方で、そんな僕の唯一の情報源は、ラノベとネットからの情報だけだ。
「そうですよね……そんな事いきなり言われても知りませんよね。そんな簡単な事に気が付かなくてすみません……すみません……すみません……すみません……」
僕は対応を間違えた。星野さんは壊れた人形の様にただひたすら僕に謝り続けてくる。その様子は見ていて怖いし、何度止めるよう言っても彼女は全く聞く耳を持ってくれず、そんな彼女をこのまま放置するのはどう考えたって良くない。
「星野さん。こっち」
「へ……!?」
僕は星野さんの腕を取るとそのままプリクラ機の中に入る。すると中に内蔵されているスピーカーから声が鳴る。
「あ、あの金剛さん……きょ、距離が近い……ですわ」
僕は星野さんにそう言われてから初めて自身が星野さんに近づきすぎていることに気づいた。
「ご、ごめん‼︎ 嫌だったよね?」
「いえ……別に……」
嫌がっているような素振りは見えないので、彼女の言葉は本当なのだろう。でもいくらなんでもキスが出来てしまうほど密着してしまうのはどうかと思うし、僕はそういうことにはかなり気をつけているはずなのだ。
「金剛さん?」
僕のそんな気持ちを察したのか、星野さんはこちらのことを心配そうに見つめる。
「ごめん。少しぼーっとしてた」
「大丈夫......なのですか?」
「大丈夫、平気、平気。それよりもどうする? 写真、このまま撮る?」
「写真ですか? そう……ですね……私はどちらでも……金剛さんはどうなんですか?」
「僕? 僕は……」
正直こういった物的証拠を残すと後々咲夜に今日の事がバレかねないし、何より恥ずかしい。
「あまり気ノリは……」
「……そうですか」
星野さんのテンションが目に見えて落ちる。どうやら彼女は僕と一緒に写真を撮りたかったらしい。そうならそうとはっきり言って欲しいのだが、そこは自己肯定感の低い星野さん。大方自分でそういうのはおこがましいだなんて思っているのだろう。
「しないというのは気のせいで一緒に撮ろうか」
「……はい‼」
本当はこういう事はあまりしない方がよいのだろうが、今回だけは例外だ。それに僕だって今日できたこの出会いを大切にしたいし、今後も星野さんとは友人として仲良くなりたい。そしていつか咲夜を彼女に紹介してあげたい。優しい咲夜の事だ。きっと彼女とも仲良くしてくれるだろう。
「金剛さん、金剛さん。フレームを選べたと言われたのですがどうやって選べばいいのですか?」
「そこにタッチペンがあるからそれを使って選べばいいみたいだよ」
「なるほど‼ 了解しましたわ‼」
星野さんも腐っても女子。こういう事は僕よりも遥かにたけているだろうし、センスだっていいはずだ。
「こ、これにしましょうか」
「え、ちょ……」
星野さんが選んだのはよりにもよってハート型だった。
「金剛さん、金剛さん。はい。ポーズ」
「え、あ、はい」
僕は星野さんの促されるまま彼女とピッタリと寄り添う形でピースサインをした。
「ふむふむ。なるほど。ここかららくがきなるなるものをすればよいのですね」
「あ、あの……」
「金剛さん。少し黙っていてください」
「あ、はい……」
先程までの弱弱しい星野さんとはまるで人格が変わったように今の星野さんは、とても強気で人の話を全く聞いてくれない。
「ふぅ。無事撮ることが出来ましたね‼ 金剛さん‼」
「あ、うん……」
現像してもらった写真を見て僕は絶句した。何せその写真端から見れば付き合いたての初々しいカップルにしか見えない。その様なもの当然使うことはできないし、何より咲夜にばれたら何を要求されるか分かったものではない。
つまるところ僕はこれをどこかに隠さないといけないわけで、そうなると必然的に場所は決まってくる。
「家帰ったらエロ本コレクションの中に隠しておこう……うん……」
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる