可愛くて、健気で、エッチで、一途な幼馴染の女の子は、好きですか?~付き合いたい彼女と付き合いたくない彼の攻防戦~

三日月

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第二幕

着信履歴と僕

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「さて。敦さっさと行くわよ」
「へ!? 何処に!?」
「黙っていいからついてきなさい‼」
「あ、はい……」

 部屋に戻って早々朱音は敦の手を取るとそのまま部屋から出て行ってしまった。きっと今日はもう戻ってこないだろう。

「ええと……まーくん。あれは……」
「あ、うん。気にしないで。二人にやって欲しいことは既に伝えてあるから」

 正確には朱音だけなのだが……まあ敦に伝える義理はない。それにあいつに変に伝えるとむしろ失敗する恐れがある。敦は変な所で不器用だからな。

「さていい加減本題に入ろうか」
「そうだね」
「ちょっと待って」
「ん? 何ですか?」
「貴方達昨日も話し合っていたのよね?」
「あ、まあ……」

 先輩の言う通り確かに話し合いはした。ただしそれは最初の五分ほどで咲夜によって強制終了させられ、残った時間は咲夜が僕に甘えてきたので、それの対応で全て消えてしまった。つまるところ何も話していないも同然なのである。

「……いいわ。何となく察したから」
「……助かります」
「何二人で通じ合っているのかな?」
「気のせいだ」
「気のせいじゃないわよ」
「まーくん?」
「こういう時だけ僕のいう事信用してくれないの!?」
「うん」

 躊躇いなく頷かれてしまった。悲しい。もう少し幼馴染のいう事を信用して欲しいものだ。

 そんな僕の膝の上に不機嫌そうに頬を膨らませた咲夜はやってきて、そのまま腰を下ろすと頭を撫でろと潤んだ瞳で催促してきた。

「はいはい。わかりましたよ……」
「むふ……満足、満足」

   女の涙には勝てない。それが好きな子だと尚更。

「雅也君。貴方も中々苦労しているのね……」
「勝手な同情は止めてください。別に僕は苦労していると思っていないですし」
「……そう」
「そんな事よりいい加減始めようよ。作戦会議」

   もうかれこれ一時間程本題に入れていない。それはいくらなんでも不味い。

「うん。そうだね~」
「木葉さん。貴方はまずそこから……って言っても無駄そうだから気にしないで……」
 
 何故だろう。この時先輩がいつもと違って大人に見える。普段からこう大人っぽく振舞えばもっとマシになるというのに、本当に色々残念な人である。

「先輩咲夜の事は一旦置いといて、これを見てくれますか?」
「これは……」
「まーくんのスマホの着信履歴……って‼ なにこれ!?」
「これは……流石に……」

 二人は完全に引いていた。その対象は星野さんだ。何せ僕のスマホの通話履歴には星野さんの名がビッシリと埋まっていたのだ。

「まーくんこれはいくらなんでも……」
「咲夜。お前の言わんとしていることはわかる」

 星野さんは、僕に明らかに依存している。しかも重度に。

 星野さんはあれからおおよそ一時間おきに電話をして来た。その内容は本当に些細なことで。別段電話で話す必要もないどうでもいいことしかない。

 星野さんは今現在友達が僕しかいない。それはすなわち理解者が僕しかいないということで、そんな僕に心が不安定な彼女が依存するのは必然と言えば必然のことだ。それにしたってここまでとは思わなかった。そのせいで昨日僕はほとんど眠ることができなかった。

 1日程度の徹夜ならまだいい。でもこれが2、3日と続くと流石に僕だって体を壊すし、しんどい。だからこそこの件を一刻も早く解決する必要がある。

「まーくん。お疲れ様。私の胸の中で寝る?」
「ええと……遠慮しとく」
「それなら私の胸に……」
「先輩は論外」
「そう……」

   そんな露骨にガッカリされるとこっちの良心が痛むからやめてほしい。

「本当に大丈夫? 別に遠慮しなくてもいいんだよ?」
「大丈夫だって。それに星野さんから電話かかってきたら僕が対応しないといけないし……」

 現段階で星野さんとのつながりを持っているのは僕だけで、彼女の味方も僕だけ。その僕が彼女の対応をおろそかにすれば即起爆。彼女が何をしでかすか予測できたものではない。

 全くもって扱いが難しい女性である。まあそれを言ったら咲夜も、先輩も似たようなものなのだが……それは口が裂けても言えない。

「そっか……」
「なんか気を使わせちゃったみたいでゴメンね? でも咲夜の気持ちは本当に嬉しいよ」
「まーくん……」
「はい。ストップ‼」
「ちょ‼ 何するの‼」
「今はイチャイチャしている場合じゃないでしょう?」

 その言葉は先輩にしては珍しく正論だった。

「変態の癖に……変態の癖に……変態の癖に……」
「変態で結構。事実なのだし」

 そこは認めないで欲しかった。

「それで雅也君は何かいい案とかあるのかしら?」
「ええ。一応」
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