愛され令嬢は白金毛猫

栗原さとみ

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二人だけの結婚式(最終話)

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  クラウスは、第3王子で既に王位継承権も放棄していた為、ユーリアの伯爵家に婿入りする形をとり、住まいはそのままクラウスの邸にする事が決まった。クラウスの家族には、婚約パーティーの時に挨拶も済んでいることから大事にせず、結婚式は二人だけで行い、クラウスの友人ジェイドと、ユーリアの父クロードに見届け人になってもらう事で落ち着いた。

    そして、打ち合わせと称して、今日もまたジェイドが訪ねてきていた。

「お前、最近来すぎじゃねぇ?結婚式するだけだから、打ち合わせも何もないだろう。」

「イヤ、見届け人として、独身最後の日まできちんと見届けるよ。」

「ふぅん?それだけか?またユーリアのハプニングでも期待してるんじゃないのか?」

(ギクッ)「やだな、クラウス、ハプニングなんてそうそうあるもんじゃないし、いつもクラウスのいる時に訪ねて来てるだろう?」

「ふぅん?そうか?お前もユーリアもわざと俺にお仕置きされたいのかと思うぜ?」

「ユーリアちゃんへのお仕置きと、俺へのは全然違うだろう?俺は断じてお仕置きなどされたくはないからな?」

「ふぅん?だったら気をつけてろよ」

(万が一ラッキーハプニングがあっても、見なければいいんだよな。強い鋼の心を持とう、)と、ジェイドは考えていた。

「おう、大丈夫だ。…俺さ、クラウスと一緒にいる時のユーリアちゃんの幸せそうな笑顔が大好きなんだ。クラウス、ユーリアちゃんと出逢えて本当に良かったよな?おめでとう、クラウス。」

「ジェイド…」

「ユーリアちゃんに妹がいたらな…。」

「…はぁ、ジェイド、ユーリアはまだ16歳だ。それに、妹はいない。感動しそうになった俺は馬鹿だな。」

やはりジェイドはただの女好きか、と苦笑するクラウスだった。

・・・

    その頃、ユーリアは、2階で、出来上がったウェディングドレスの試着をしていた。

   ドレスを持ってきた女性が、うっとりしながら、ユーリアを褒め称えた。

「ユーリア様、まるで天使が舞い降りたようにお可愛いらしく、とてもお似合いです。」

「クラウス様に見せてもいいかしら?でも、当日まで見せない方がいいかしら?どうなのかしら。」

「お見せになってもよろしいですし、楽しみをとっておく、というのもよろしいですね。」

「わーん、迷っちゃうわ。」

ドレスに身を包み幸せそうなユーリア。

「決めた、当日までとっておくわ。」

・・・

そして、迎えた結婚式当日。

    澄みわたった空はまるで二人を祝福しているかのようで、ユーリアは幸福感に包まれていた。

    クラウスと父とジェイドが待つ教会に、スザンヌに手をひかれて入っていく。

「「「おめでとう」」」

    二人だけで将来を誓いあう結婚式に決めた筈の教会には、沢山の人達が待っていた。クラウスの長兄家族に、次兄家族、それに、国王夫妻まで…。

「どうして?公務は?」早くも涙が頬を伝う。

「可愛いユーリアちゃんのウェディング姿を見逃せないですわよ。ね、陛下?」

「うむ、綺麗だな、ユーリア」

「「「本当に綺麗(よ)」」」

「ありがとうございます」

「泣きやまないとね?ユーリアちゃん。」

「はいっ!」

  ユーリアは、猫になってしまったあの日クラウスに心牽かれ、これまで愛を注いでくれた日々を思い返した。

(色々な事があったな…。クラウス様と幸せになろう。)

    クラウスとユーリアは見つめあい、沢山の大切な人達に見守られて、永遠に続く愛を誓いあった。

《終》






    
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