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キリバスの戦い
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竜王暦357年10月7日
サイラス遺跡の戦いより5ヶ月後。
南部諸王国領 商都キリバス近郊
亜種人類同盟軍
「まだか!?救援はまだ来ないのか?」
現場指揮官らしき人物が声を上げている。それに応える士官らしき人物の声も弱々しい。状況は最悪の様だ。
大陸の南端に魔族の軍勢が姿を表して、まだ2ヶ月だぞ。ここキリバスが落ちれば南部侵攻の足掛かりにされかねん。いずれは南部亜人国連合は魔族側の手に落ちるぞ。故にこの砦は絶対に死守せねばならんのだ、今後の趨勢が掛かっている。
現場指揮官が下士官に激を飛ばす。
それでも、猫人族の族都キリバスを守る亜人類軍の劣勢に変わりはない。亜人類軍5万に対し、魔族軍は約2万。数の上では勝っているが、個々の力は魔族のほうが強大なのだ。
実際に亜人類軍は連戦連敗。ついに猫人族の族都まで追い込まれていた。
皆の心が折れ始め、諦めかけたその時。
突如戦場全体に声が響き渡る。
とても美しく、且つ力が込められた声だ。
「諦めてはなりません!私達はこの大陸に住う全てを守る剣であり盾なのです。そして私たちの背には皆の家族が恋人が友人が居ます。邪悪な魔族達をここから先に通す訳にはいかないのです。」
「あと少しです。耐えてください。我らが隣人達は必ずやこの戦場に駆け付けてくれます。」
この首都防衛には、既に滅ぼされた近隣の町や村から大勢の民も、防衛力として参加している。そして周辺の白狐族、ドワーフ族、人族からも応援が来る手筈だ。
だがそれでも魔族側の攻撃は苛烈を極め、個々の戦力で劣る亜種人類側は徐々に戦線を押し込まれていた。
それでも負ける訳にはいかないと奮い立つ者達が居る。最前戦にあるキリバス砦。その最高司令である猫人の英雄、ニャワルト・ニャチャン。彼等も又猫人の姫の檄を受けて、行動を起こそうとする者達だ。
「誇り高き将兵達よ、我らの姫様がああ仰るのだ!今こそ我ら猫人族の勇気が試される時。敵は強大、されど我らの背には故国がある。良いか、引けば其方らの家が、家族があの憎き魔族共に蹂躙されようぞ。間も無く応援も駆けつけよう。だが此処は我らの国だ!我らの土地だ!そんな我らが不甲斐ない様でどうする!!奮起せよ!我らは誇り高き猫人なり!」
魔族軍は既にキリバスの眼前にまで迫り、既に幾つかの砦は攻め落とされている。残るはこのキリバスを守る城壁だけなのだ。
そして、猫人族は少数精鋭の突貫部隊でもって正面の魔族軍に対して攻勢を掛ける。援軍が来る手筈の右舷、そして伏していた猫人族の第3軍による左舷、正面をニャワルト達。三方向からの挟み撃ちにより状況を打破しようとするものだ。
「諸将達よ。其方らの命を我に預けてくれ!私と其方らの力でもって、あの強大な敵を討ち滅そうぞ。其方らの勇気を力に変えよ!」
《オオオオオオオオ!!!!》
鎧を来た将兵達が一斉に声を上げて、自らの武器を空に掲げる。轟く雄叫びは、聞いている此方が震え上がる程だ。
士気は十分に高まった。
後はこの状況を打破できる何にも負けない一条の炎さえ有れば。
「将軍。此処は私たちに任せて貰えませんか?将軍達の道は私たちが作ります。」
ニャワルトの後ろに控えて、ずっと黙って状況を見守っていた人族の女性が声を挙げる。
「クリスティナ皇女殿下、、、しかし。」
「この期に及んで、使える手札を切らないのはオススメしませんよ。私の事は私が責任を持ちます。あなた方には迷惑はかけません。」
無言を肯定ととるや、クリスティナ皇女は後ろに控えているとある青年の名前を呼ぶ。
「アークス!!」
姫の言葉に少年は行動で示す。
静かにその場を立ち去り、彼の戦場へと。
*
戦場に一筋の閃光が煌めいた。
その手に赤き剣を携えた青年は、一直線に敵の本陣に駆けていく。
襲い掛かる魔族を幾重もの剣線が襲い掛かる。高速の刃を止める事は出来ずに、なす術もなく倒れていく魔族達。
赤き刀身から燃え盛る炎が発生し、横なぎに薙ぎ払えば、周囲の魔族を焼き払う。
「焼き払えレーヴァンテイン、お前の力を見せてみろ。」
そして詠唱が始まった。
「古の竜の顎に恐れを抱け、、」
アークスは駆けながら、魔法を紡ぐ。
「炎の竜は、全てを燃やし無に返す、、、」
四方八方から襲い掛かる魔族の攻撃を避ける。時には剣や槍、そして様々な属性魔法が雨の如く降ってくる。アークス1人に対して、集中砲火がなされていた。そしてその全てを防ぎ切る。
「我が眼前に立ち塞がる全ての愚か者達に、、」
そして、最後の一太刀を眼前の魔族に浴びせて、一気に竜気を解き放った。その圧でもって周りの魔族達を吹き飛ばす。
「等しく竜の怒りを与えん」
古代竜魔法《ドラゴニックロアー》
レーヴァテインを中心に魔法陣が幾重にも重なり、巨大な五芒星を形作る。徐々に周辺の温度が上昇し始め、地鳴りの様な音が木霊する。音が止んだと思った瞬間、極太の炎がレーザー光線の様に魔族の軍勢を貫いた。
魔族側が咄嗟に張った幾つかの防御術式も意味を成さない。少しもその進行を堰き止める事は出来ず砕け散った。
炎のレーザーは魔族軍を貫いていく。
炎が過ぎた後には何も残らない。灰すら全て浄土に帰す。竜族が操る破壊魔法。
炎は敵陣深くまで切り込み、約3割の魔族を葬り去って霧散していった。
その圧倒的な力を目の当たりにした猫人属性達は、一気に息を吹き返す。
「さぁ、我らが英雄が道を切り開いたぞ!今こそが勝機、全軍突撃せよ!」
ニャワルトの号令で兵士達は一気に士気を最高潮に引き上げる。勢いそのままに敵陣に向けて突貫する。
勢いに乗った兵は恐ろしい。
力の差があっても易々と覆してしまう。
一方の魔族側は先程アークスが放った魔術に恐れを抱き、士気は恐ろしく下がっていた。
この時に既に勝敗は決していたのだろう。
数時間後、魔族側はその半数を失うという大損害を受けて撤退を余儀なくされた。
サイラス遺跡の戦いより5ヶ月後。
南部諸王国領 商都キリバス近郊
亜種人類同盟軍
「まだか!?救援はまだ来ないのか?」
現場指揮官らしき人物が声を上げている。それに応える士官らしき人物の声も弱々しい。状況は最悪の様だ。
大陸の南端に魔族の軍勢が姿を表して、まだ2ヶ月だぞ。ここキリバスが落ちれば南部侵攻の足掛かりにされかねん。いずれは南部亜人国連合は魔族側の手に落ちるぞ。故にこの砦は絶対に死守せねばならんのだ、今後の趨勢が掛かっている。
現場指揮官が下士官に激を飛ばす。
それでも、猫人族の族都キリバスを守る亜人類軍の劣勢に変わりはない。亜人類軍5万に対し、魔族軍は約2万。数の上では勝っているが、個々の力は魔族のほうが強大なのだ。
実際に亜人類軍は連戦連敗。ついに猫人族の族都まで追い込まれていた。
皆の心が折れ始め、諦めかけたその時。
突如戦場全体に声が響き渡る。
とても美しく、且つ力が込められた声だ。
「諦めてはなりません!私達はこの大陸に住う全てを守る剣であり盾なのです。そして私たちの背には皆の家族が恋人が友人が居ます。邪悪な魔族達をここから先に通す訳にはいかないのです。」
「あと少しです。耐えてください。我らが隣人達は必ずやこの戦場に駆け付けてくれます。」
この首都防衛には、既に滅ぼされた近隣の町や村から大勢の民も、防衛力として参加している。そして周辺の白狐族、ドワーフ族、人族からも応援が来る手筈だ。
だがそれでも魔族側の攻撃は苛烈を極め、個々の戦力で劣る亜種人類側は徐々に戦線を押し込まれていた。
それでも負ける訳にはいかないと奮い立つ者達が居る。最前戦にあるキリバス砦。その最高司令である猫人の英雄、ニャワルト・ニャチャン。彼等も又猫人の姫の檄を受けて、行動を起こそうとする者達だ。
「誇り高き将兵達よ、我らの姫様がああ仰るのだ!今こそ我ら猫人族の勇気が試される時。敵は強大、されど我らの背には故国がある。良いか、引けば其方らの家が、家族があの憎き魔族共に蹂躙されようぞ。間も無く応援も駆けつけよう。だが此処は我らの国だ!我らの土地だ!そんな我らが不甲斐ない様でどうする!!奮起せよ!我らは誇り高き猫人なり!」
魔族軍は既にキリバスの眼前にまで迫り、既に幾つかの砦は攻め落とされている。残るはこのキリバスを守る城壁だけなのだ。
そして、猫人族は少数精鋭の突貫部隊でもって正面の魔族軍に対して攻勢を掛ける。援軍が来る手筈の右舷、そして伏していた猫人族の第3軍による左舷、正面をニャワルト達。三方向からの挟み撃ちにより状況を打破しようとするものだ。
「諸将達よ。其方らの命を我に預けてくれ!私と其方らの力でもって、あの強大な敵を討ち滅そうぞ。其方らの勇気を力に変えよ!」
《オオオオオオオオ!!!!》
鎧を来た将兵達が一斉に声を上げて、自らの武器を空に掲げる。轟く雄叫びは、聞いている此方が震え上がる程だ。
士気は十分に高まった。
後はこの状況を打破できる何にも負けない一条の炎さえ有れば。
「将軍。此処は私たちに任せて貰えませんか?将軍達の道は私たちが作ります。」
ニャワルトの後ろに控えて、ずっと黙って状況を見守っていた人族の女性が声を挙げる。
「クリスティナ皇女殿下、、、しかし。」
「この期に及んで、使える手札を切らないのはオススメしませんよ。私の事は私が責任を持ちます。あなた方には迷惑はかけません。」
無言を肯定ととるや、クリスティナ皇女は後ろに控えているとある青年の名前を呼ぶ。
「アークス!!」
姫の言葉に少年は行動で示す。
静かにその場を立ち去り、彼の戦場へと。
*
戦場に一筋の閃光が煌めいた。
その手に赤き剣を携えた青年は、一直線に敵の本陣に駆けていく。
襲い掛かる魔族を幾重もの剣線が襲い掛かる。高速の刃を止める事は出来ずに、なす術もなく倒れていく魔族達。
赤き刀身から燃え盛る炎が発生し、横なぎに薙ぎ払えば、周囲の魔族を焼き払う。
「焼き払えレーヴァンテイン、お前の力を見せてみろ。」
そして詠唱が始まった。
「古の竜の顎に恐れを抱け、、」
アークスは駆けながら、魔法を紡ぐ。
「炎の竜は、全てを燃やし無に返す、、、」
四方八方から襲い掛かる魔族の攻撃を避ける。時には剣や槍、そして様々な属性魔法が雨の如く降ってくる。アークス1人に対して、集中砲火がなされていた。そしてその全てを防ぎ切る。
「我が眼前に立ち塞がる全ての愚か者達に、、」
そして、最後の一太刀を眼前の魔族に浴びせて、一気に竜気を解き放った。その圧でもって周りの魔族達を吹き飛ばす。
「等しく竜の怒りを与えん」
古代竜魔法《ドラゴニックロアー》
レーヴァテインを中心に魔法陣が幾重にも重なり、巨大な五芒星を形作る。徐々に周辺の温度が上昇し始め、地鳴りの様な音が木霊する。音が止んだと思った瞬間、極太の炎がレーザー光線の様に魔族の軍勢を貫いた。
魔族側が咄嗟に張った幾つかの防御術式も意味を成さない。少しもその進行を堰き止める事は出来ず砕け散った。
炎のレーザーは魔族軍を貫いていく。
炎が過ぎた後には何も残らない。灰すら全て浄土に帰す。竜族が操る破壊魔法。
炎は敵陣深くまで切り込み、約3割の魔族を葬り去って霧散していった。
その圧倒的な力を目の当たりにした猫人属性達は、一気に息を吹き返す。
「さぁ、我らが英雄が道を切り開いたぞ!今こそが勝機、全軍突撃せよ!」
ニャワルトの号令で兵士達は一気に士気を最高潮に引き上げる。勢いそのままに敵陣に向けて突貫する。
勢いに乗った兵は恐ろしい。
力の差があっても易々と覆してしまう。
一方の魔族側は先程アークスが放った魔術に恐れを抱き、士気は恐ろしく下がっていた。
この時に既に勝敗は決していたのだろう。
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