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第二章 始まりとやり直し
017 アルテミスとアーレス
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──────「随分やられてるてるじゃねえか? 東条」
「レイザー……さん…………」
≪レイザーさんっ!≫
「貴様、何者だ……!? 私のファイアウォールを吹き飛ばすとは…………」
「あん? 見てなかったのか? ええ!? 仮面のねーちゃんよう!?」
レイザーさんが言いながら黒マント二人に突進する
「っ! くっ!」
女の方の黒マントが後ろに跳躍し距離を取りながら弓を速射する
「レイザーさんっ!? 危ないっ! その矢は神経毒が……!」
「こんなおもちゃが俺に効くかよおおおお!」
黒マントが放った矢がレイザーさんの筋肉にはじかれて落ちる
……ハハハ…………なんだそりゃ……
凄すぎて変な笑いが出る……
「なっ!? 何……!? 矢が…………!」
「ぶっ飛べ!? 黒マント野郎ぉ!」
レイザーさんが大剣で横薙ぎを放ち、かわし切れなかった女の方の黒マントが巻き込まれ吹き飛ぶ
ダンッ……!
吹っ飛ばされ地面に叩きつけられるアルテミス
「カハッ……!?」
ガッ……!
その次の瞬間、男の黒マントがレイザーさんに仕掛けてくるが、
レイザーさんはすぐに反応し大剣で剣を受け止める
鍔迫り合いになりながら、レイザーさんが話かけてくる
「おい! 嬢ちゃん! 俺が時間稼いでる内に東条の怪我治してやってくれ!」
≪そ、それが私の機能を制限する妨害装置がこの周辺で働いてて……今は使えないんです!≫
「……っ!? …………そりゃあこの辺りに嬢ちゃんの魔法封じの罠が仕掛けられてるって事か!?」
≪は、はい! 恐らくこの周辺を囲うように装置があるはずです……!≫
「……なら! 話は簡単だ! オラァッ!?」
鍔迫り合いをいとも簡単に押し返し……黒マントが後方へ跳躍し着地する
「くっ……!?」
……? 簡単…………?
「ぬうんっ!!!!」
レイザーさんが地面に大剣を突き立てると─────
!!!!!!!
大気が震え、ビリビリと体の芯に響く程の剣圧が伝わってくる
「……っ!? これはなんだ!?」
大気の振動にアーレスが驚愕の表情になり周囲を見渡す
ゴッ!!! ……ゴッ…………ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………………!!!!!
地面から土塊が浮き上がり、吹き飛んでいく
凄まじい剣気の波がレイザーさんを中心に地面を抉り巨大なクレーターを広げていく!
草、木、土塊、先ほど俺が倒した魔物の死骸、倒れていた黒マント……広場のあらゆるものを吹き飛ばしながら地面に叩きつける
ダンッ……!
「ぐあっ……!」
「くっ……!?」
アーレスが地面に剣を突き立て吹き飛ばされえないように何とか踏ん張る
俺とマキナが這いつくばりながら凄まじい剣気に吹き飛ばされないよう何とか踏ん張る
「くっ!?」
≪っ!?≫
「……!? あ…………」
≪……っ!? これは…………!≫
マキナと二人であまりの出来事に絶句する……
見える範囲の全ての森の木々が吹き飛ばされなくなっていた
地面はレイザーさんを中心に放射線状に深さ二Mほど抉れていた
この人……無茶苦茶だ!?
今の何!? どういう事!? ねえ!? 神器でしょ!? そのどこの武器屋でも売ってそうな大剣って神器でしょ!?
≪……この人も私のCPUの処理演算能力を上回る人のようです…………≫
マキナが他人の能力に呆れた顔するの初めてみたよ!
「ハッハー! どうだ!? 嬢ちゃん! この辺りの物全部吹き飛ばしてやったぜ!」
≪……っ!? はっ! はいっ! 使えるようになりましたっ! ありがとうございますっ≫
「よしっ! 東条の怪我頼んだぜぇっ!」
≪はいっ≫
レイザーさんが喜々とした表情で黒マント男に再び突進していく
「ハハハハハ! どうしたどうしたぁ!? さっきまでの余裕なツラどこ行ったぁ!? お前らぁ!」
≪マスター! 治療しますっ≫
ああ。ありがとうマキナ……
マキナが俺の元へ駆けつけてくる
レイザーさんが二人を相手に大剣で圧倒していた
黒マント二人は大剣捌きを避けきるだけで精いっぱいのようだ
……よしっ! 治った! ありがとう、マキナ!
≪はいっ!≫
反撃開始と行くか! あいつらに隙があったら捕縛頼む!
≪はいっ!≫
「レイザーさん! 加勢します!」
「おぉ! じゃあそっちのねーちゃんを任せるぜ! 俺はこの仮面の野郎に相手してもらうぜ!」
「わかりました!」
俺とアルテミスと呼ばれた女が向かい合う
「っ……! もう一度炎の檻に捕らわれろ! ファイアウォール!」
「遅ぇっ! 同じ手が効くかよ!」
ボッ……ゴオオオオオオオオ!
炎の壁が立ち上るより速く回避行動を行い回避していく
「くっ!?」
弓の狙いなんてつけさせるか! 動きまくってかく乱してやる!
俺はジグザグに移動しながらアルテミスに接近し距離を詰める
≪マスター! これをっ!≫
マキナが俺の短剣に電気の力を宿らせる
≪ショックトラップエンチャントです! その状態の武器で攻撃すれば、相手を一時的に行動不能にさせることができます!≫
さっすが最強の機神様! 応用力も半端ねえな!
瞬時にアルテミスに詰め寄り斬りつける
殺さないように斬葬はあえて使わない。こいつにはまだ聞きたいことが山ほどある……!
「がっ……!?」
俺に切りつけられ電気ショックで動けなくなり倒れこむアルテミス
考えられる全ての可能性を見逃すな……! わかっていない情報があるのならなおさら「もしも」を想定しろ…………!
考えが足りてなかったからさっきの状況に陥ったんだ、楽観的な判断は愚策だ……! 考える事をやめるな!
……よし! 今だ! 捕縛してくれ!
≪はいっ!≫
「っ!? しまっ……!」
マキナが鋼鉄製ワイヤーでアルテミスを縛り上げる
そいつをすぐに檻に収監してくれ! あの黒マントに連れ去られたら面倒だ!
≪はいっ! マスター!≫
マキナが次元の扉を開きアルテミスの周囲に漆黒の檻を出現させ、瞬時にアルテミスを檻に閉じ込める
「っ!? アルテミス……!? チッ…………馬鹿が!」
アーレスと呼ばれた男が突然後ろに跳躍する
「……やむを得ん、か!」
その言葉と同時にアーレスが天へ腕を掲げ掌が輝きだす
バシュッ……
「来い! ゲイボルグ……!」
アーレスがそう言った瞬間、アーレスの手には深紅に染まった槍が握られていた
っ!?
その様子を見ていた俺は驚愕する
それはまごうことなく、神器の呼び出し方だったからだ……!
「ハッハー! おもしれえ! やはり神器持ちか!」
黒マント仮面が何故、救世主の力の象徴の「神器」を……!?
救世主はみんなレティシアに殺されてるはずじゃ!?
……一つ謎が解けた気がする
この誰もが強者と認めるレイザーさんをボコボコにできる人物……、確かに神器持ちならあり得る…………!
あの神器がどのような能力なのかわからないが、被害が出る前に叩き潰す必要がある……!
神器は普通の武器よりもはるかに高い能力を持ったいわば殺戮兵器のようなものだ
それはマキナを見ていれば十分に想像はつく! やられる前にやるしかない!
槍を構え戦闘準備を整えるアーレス
「この槍に貫けぬものは存在せん……!」
「レイザーさん! 広場の端に跳んでください!」
「おう!」
レイザーさんを巻き込まないように退避してもらい、アーレスと向かい合う
マキナ! あのサイズだ!
≪はいっ≫
キィィィィィン……!
バッシャアアアアアン!
「距離を取ろうと無駄だ! 穿て! ゲイボ…………え…………?」
マキナが巨大化し俺たちはアーレスに向き合う
アーレスが呆けたようなリアクションで俺とマキナを見上げる
「さあ!? 正々堂々勝負しようぜ!」
アーレスと俺たちが向かい合い、足を上げる
「え……? あ…………あああああああああ!?」
マキナの足がアーレスを踏みつぶす
ブチッ……!
よし! 手ごたえあった! 二~三回踏んどくぞ! マキナ!
≪はいっ≫
ズンズンズン……! グリグリグリ…………!
足を丁寧に踏み手ごたえを感じなくなるまで踏む
グチャッ……! ニチャッ…………
そっと足をどけるとアーレスは赤い染みになっていた
……漫画とかだと地面にめり込んでボコボコになってるんだけど、リアルでやるとエグいな…………
≪リアルでドラグ・ソボールのヤムー現象は起きないですよ、マスター≫
マキナを解除しレイザーさんに駆け寄り話しかける
「……すみません。神器だしてきたんで倒しちゃいました」
「いいって事よ、一人は捕まえたんだ。気にするな」
「あっ……レイザーさん! さっきは助けていただいてありがとうございました。お蔭様で命拾いしました…………」
≪ありがとうございました。レイザーさん≫
俺とマキナが頭を下げる
「なあに、間に合ってよかったぜ。それよりよくやった! 大手柄だぜ! 東条! 嬢ちゃん! 黒マント仮面を捕まえるとはな!」
「ええ、聞きたい事が山ほどありますからね、生かしておきました」
「ああ! お前ら最高だぜ……! やっぱお前と組んで正解だったぜ! ハハハハハ!」
レイザーさんがバンバンと背中を叩いてくる。正直痛い
「と、ところでレイザーさん? さっきの……この周辺を吹っ飛ばしたアレは…………何かの技ですか」
「……技? 何言ってんだ? アレはただの気合だろ」
「……はい?」
「だから、気合だ。気合を入れて剣を地面に突き刺したらああなるだろ? 普通」
「……いや「ああなるだろ?」と仰られても…………やったことないんで……」
「お前だってやってるじゃねえか? 気合を入れて剣を振れば斬撃が出るだろ?」
「……え? じゃあ。あの…………レイザーさんの出してる斬撃って要は気合ですか」
「気合だろ。……今更何言ってんだお前…………。変な事言う奴だな……」
いや「常識だろ?」みたいな顔で俺を見ないでください! 変な事言ってるのレイザーさんですからね!?
俺この斬撃を出す「斬空剣」を修得するのに四十年かかりましたけど!?
俺の四十年てこの人にとって「気合だ」の一言で済んじゃうものなの!?
やっぱりこの人無茶苦茶だ!? もうわけがわからないくらい強いんですけど!?
この人をボコボコにするってどんな奴だよ……、…………もっと修行がんばらねえとなぁ。
「……と、とりあえず撤収しましょうか…………」
「おう! 早く帰ろうぜ」
……マキナ? 一応こいつの亡骸回収しておいてくれるか。
何か手がかりになるような物を持ってるかもしれない
≪はいっ≫
マキナがアーレスの亡骸を次元の狭間の隔離する
その後、俺たちは街にアルテミスを連れ帰り警備隊本部の尋問室に向かった
マキナのワイヤーに捕縛された状態のアルテミスを椅子に座らせる、尋問を始める
「じゃあ、尋問を始めるか。じゃあ……手始めに…………」
「ああ、レイザーさん? 尋問を始める前に、この女に釘を刺させてもらってもいいですか」
「お? おお、別に構わないぜ」
「ありがとうございます」
マキナ? こいつはレティシアみたいに洗脳状態にあるのか
≪いえ、洗脳状態ではないですね≫
てことは、こいつは自分の意志でやってたって事だな
≪はい≫
マキナ? この部屋の遮音頼む
≪はいっ。……遮音化完了しました≫
ありがとうマキナ
アルテミスの首をガっと掴み見据える
「……尋問を始める前に言っておく事がある。お前は神器所有者の可能性が高い。神器は高い殺傷能力をもつ武器だ。だから、こちらも慎重に対応する。
神器を出現させる等の妙な行動を起こせば、その瞬間に俺がお前の首を飛ばすか、バラバラにするか、マキナが粉々にするかどれかだって事を理解しておけよ?」
「お、おい、東条? 相手は女だぞ……」
「……レイザーさん。女や子供でも剣を持てば人を殺せます。神器は…………大量殺戮兵器と言っても過言ではない代物です。
街中で神器を持つ奴が暴れたら無関係な人に多大な被害が出ます。……考えたくもないような大惨事が起こる可能性があります。
そうなる可能性が一%でもあるのなら最大限の警戒をすべきだと考えます。それがこの女を街の中に連行して来た我々の負うべき最低限の責任ではないでしょうか」
「……そりゃ、そうだな」
力を緩めるとアルテミスが椅子に落ちながら座る
ドサッ……
「くっ! 野蛮人が!」
「……人の体に八本も矢突き刺す奴に言われたかねーよ」
「マキナ? こいつがちょっとでもおかしな真似したら即殺してくれ」
≪はいっ≫
「お前、俺より警備隊に向いてると思うぞ……」
「ハハハ……。ご冗談を。…………おまたせしました。尋問お先にどうぞ」
「ふぅ……そうだな。とりあえず、その仮面の下の顔拝ませてもらおうか」
レイザーさんが仮面をはぎ取ると、半分が酷い火傷で焼けただれステロイド状の顔が現れる
「……っ」
顔を伏せ顔の火傷が髪に隠れる
「さて、ねーちゃん? 名前を聞かせてもらえるか?」
「……貴様らに話す事等何もない」
「おいおい、そりゃつれねえな。名前くらい教えてくれてもいいだろ」
「……」
「ちっ……だんまりか」
「アルテミス……。さっき逃したアーレスという仮面の男がそう呼んでました」
「っ……!」
ハッとした顔になり俺の方を向くアルテミス
「アルテミス、か。いい名前じゃねえか。おぉ、顔あげたな? さあ、俺と楽しくおしゃべりしようぜ?」
「っ……誰が!」
フイッと顔を逸らすアルテミス
……ずっと気になっていることがある
≪どうかされました? マスター≫
妨害ってのはさ。
さっきの戦闘でマキナが言っていたようにそのエリアに設置された何らかのアイテムで発動するんだな?
≪そうですね。レティシアさんのは脳の記憶にロックがかかっているタイプですが、
主に妨害用の電波発生装置がどこかにあってそれが邪魔してその効果範囲は読み取りができないんです≫
って事は、近くにいるレイザーさんの脳も今はみれない? この警備隊は妨害の電波ないよないつも
≪……あれ。見られませんね…………≫
てことは、情報読み取り妨害の効果がある何らかのアイテムを所持していている可能性が高いな
こいつの脳じゃなく、体のスキャンはできるか? 金属探知機みたいな物で何か不審な物をもってないか調べる事はできるか?
≪はい、それは可能です≫
「レイザーさん、すみません。少しだけ尋問を中断してこの女の身体検査させてください。
マキナが心を読むのに邪魔になる物を所持している可能性があります」
「おう。やってくれ。このねーちゃんさっきからずっとだんまりだしよ。話が進まねえんだ」
「ありがとうございます。じゃあ、マキナ、頼む」
≪はいっ≫
マキナが掌をアルテミスに掲げ、頭から体にかけて手を下げていく
ピピピピピ……!
マキナの手が赤く光り鳴る
≪ありました、ペンダントのようなものに隠していますね≫
とりあえず、それ取り上げてくれ
≪はい≫
マキナがアルテミスのペンダントを手元に瞬間移動させる
「っ!? それは……」
「面白そうな物持ってるね?」
「か! 返して!?」
「返すわけないだろ。これがあるせいでお前の心の中見れないんだから」
マキナ? これって次元の狭間に入れて大丈夫か?
≪はい。問題ありません。隔離しましょうか≫
ああ、効果範囲の外に保管したい
≪わかりました。隔離スペースにしまっておきます≫
ああ、頼む
マキナが次元の狭間にペンダントを収納する
さって、これで「妨害」の仕掛けがどうやってたのかわかったな
これは大きな収穫だ
≪そうですね。マスター? あのペンダントを私のほうで調べておいても?≫
ああ、ぜひ頼むよ。アレがどこからきて、どういったもので……誰が作ったのか、までわかれば最高だな…………
≪頑張って調べます≫
頼りにしてるよ、マキナ
≪はいっ≫
さて、それはさておき、今はこいつの頭の中を見させてもらおうか
≪はいっ。すでに全てのデータをコピー完了してますっ≫
おっ、さすがマキナちゃん、仕事が速いね! ……まずは、こいつがなぜ俺らを狙ってきたのかを見れるか
≪……やはり、ランデル王子が傍仕えに命令して、この人にマスターの暗殺を依頼したようですね≫
その映像見れるか?
≪映像出します。モニターの方がいいですか?≫
……レイザーさんもさっきからだんまり決めこまれて困ってるし、出そうか
「レイザーさん。アルテミスが誰に依頼され俺を襲ってきたのかわかりました」
「っ!!?」
アルテミスの顔色が変わる
「何!? そりゃあホントか!?」
「はい。今マキナが証拠の映像を出してくれます。ご覧になられますよね?」
「見るに決まってるじゃねえか! 嬢ちゃんやっぱすげぇな!」
≪ふふ。それでは、ランデル王子の記憶と一緒にご覧ください。……どうぞ≫
モニターに映し出されるランデル王子が傍仕えに話しているシーンの再生が始まる
────
どこかの宿の一室と思われる部屋が映し出される
「おい。あのインチキ野郎をあの人に始末してもらえ。金はいくらかかってもかまわん」
「ハッ……。しかし、あの方は救世主様では…………」
「あんな奴が救世主なわけあるか! いいからやれ! お前殺されたいのか……?」
「ヒィッ……!? めっ! 滅相もございません! すぐに! 手配いたします!」
「……チッ! グズが…………。あんな奴にソフィアを渡してたまるか……! あのエロい胸も尻も僕のもの……だ……!」
「あんな奴死んでしまえばいいんだ……!」
────
「これはこれは、三年ぶりです。アルテミスさん……」
「その名で呼ぶなと言っただろう? 殺すぞ」
「これは大変失礼致しました。どうかご容赦を」
傍仕えが頭を下げながら謝罪する
「フン……。今日は何の用だ? また暗殺か?」
「はい。一人消していただきたい人物がおります」
「そいつはなんという名前だ」
「東条司、という男です。報酬はいかようにも……」
「……白金貨八千枚。それで受けてやろう」
「かしこまりました。ご用意させていただきます」
「そいつはどこにいる?」
「おそらくローランの街に住んでいると思われます。詳しい情報などはありませんが……」
「フン。ならやはり一万枚もらおう。身元を割り出す所から始めなければいけない手間賃だ」
「ええ。もちろんご用意いたします。どうか、よろしくお願いいたします」
────
「こりゃまた決定的な証拠が出てきたな。ええ? おい。アルテミスちゃんよ?」
「……クソっ…………クソッ!」
アルテミスがモゾモゾと動いて悔しがる
「ああ、言っておくけど、自殺しようとしても無駄だぜ?
マキナがお前を治すからな、お前が痛い思いするだけだからやるだけ損だぞ。
後お前の考えてる事常時見張ってるから絶対死なせないし、暴れるなら殺すからな? 変な気は起こさないほうがいいぞ」
……自分の都合で人を殺そうとしたっていう点だけで言えば俺も同じだけど、今は棚上げにさせてもらうぜ
≪マスターはこんな人と同じじゃないですよ≫
立場と思想が違うだけな。内容は同じさ
俺も世界救うって自分の都合で動いてるわけだし。根本的には何も変わらないよ
≪マスターは変わってます……≫
よく言われるよ
けど、「救世主」やるならこれは自覚してないとダメだと思うぜ
破滅の王の軍団が、魔物だけじゃなくて、こいつらみたいな「人」も含まれるのなら
そいつらを倒して回る俺は「救世主」であると同時に「大量殺人犯」だ。
俺が元いた世界なら確実に処刑されるレベルのな
救世主や英雄なんて見る人の立場が少し違うだけで極悪人だからな
≪……そこまで覚悟なさってたんですか≫
……したさ。でなきゃ「救世主」なんてやってらんねーよ
まだどうやったら世界を救うなんて大それた事が出来るのかわからないけど、
俺が「救世主」ってやつで、何とかできる力があるんなら、なんとかしたいって思ったんだ────
「レイザー……さん…………」
≪レイザーさんっ!≫
「貴様、何者だ……!? 私のファイアウォールを吹き飛ばすとは…………」
「あん? 見てなかったのか? ええ!? 仮面のねーちゃんよう!?」
レイザーさんが言いながら黒マント二人に突進する
「っ! くっ!」
女の方の黒マントが後ろに跳躍し距離を取りながら弓を速射する
「レイザーさんっ!? 危ないっ! その矢は神経毒が……!」
「こんなおもちゃが俺に効くかよおおおお!」
黒マントが放った矢がレイザーさんの筋肉にはじかれて落ちる
……ハハハ…………なんだそりゃ……
凄すぎて変な笑いが出る……
「なっ!? 何……!? 矢が…………!」
「ぶっ飛べ!? 黒マント野郎ぉ!」
レイザーさんが大剣で横薙ぎを放ち、かわし切れなかった女の方の黒マントが巻き込まれ吹き飛ぶ
ダンッ……!
吹っ飛ばされ地面に叩きつけられるアルテミス
「カハッ……!?」
ガッ……!
その次の瞬間、男の黒マントがレイザーさんに仕掛けてくるが、
レイザーさんはすぐに反応し大剣で剣を受け止める
鍔迫り合いになりながら、レイザーさんが話かけてくる
「おい! 嬢ちゃん! 俺が時間稼いでる内に東条の怪我治してやってくれ!」
≪そ、それが私の機能を制限する妨害装置がこの周辺で働いてて……今は使えないんです!≫
「……っ!? …………そりゃあこの辺りに嬢ちゃんの魔法封じの罠が仕掛けられてるって事か!?」
≪は、はい! 恐らくこの周辺を囲うように装置があるはずです……!≫
「……なら! 話は簡単だ! オラァッ!?」
鍔迫り合いをいとも簡単に押し返し……黒マントが後方へ跳躍し着地する
「くっ……!?」
……? 簡単…………?
「ぬうんっ!!!!」
レイザーさんが地面に大剣を突き立てると─────
!!!!!!!
大気が震え、ビリビリと体の芯に響く程の剣圧が伝わってくる
「……っ!? これはなんだ!?」
大気の振動にアーレスが驚愕の表情になり周囲を見渡す
ゴッ!!! ……ゴッ…………ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ………………!!!!!
地面から土塊が浮き上がり、吹き飛んでいく
凄まじい剣気の波がレイザーさんを中心に地面を抉り巨大なクレーターを広げていく!
草、木、土塊、先ほど俺が倒した魔物の死骸、倒れていた黒マント……広場のあらゆるものを吹き飛ばしながら地面に叩きつける
ダンッ……!
「ぐあっ……!」
「くっ……!?」
アーレスが地面に剣を突き立て吹き飛ばされえないように何とか踏ん張る
俺とマキナが這いつくばりながら凄まじい剣気に吹き飛ばされないよう何とか踏ん張る
「くっ!?」
≪っ!?≫
「……!? あ…………」
≪……っ!? これは…………!≫
マキナと二人であまりの出来事に絶句する……
見える範囲の全ての森の木々が吹き飛ばされなくなっていた
地面はレイザーさんを中心に放射線状に深さ二Mほど抉れていた
この人……無茶苦茶だ!?
今の何!? どういう事!? ねえ!? 神器でしょ!? そのどこの武器屋でも売ってそうな大剣って神器でしょ!?
≪……この人も私のCPUの処理演算能力を上回る人のようです…………≫
マキナが他人の能力に呆れた顔するの初めてみたよ!
「ハッハー! どうだ!? 嬢ちゃん! この辺りの物全部吹き飛ばしてやったぜ!」
≪……っ!? はっ! はいっ! 使えるようになりましたっ! ありがとうございますっ≫
「よしっ! 東条の怪我頼んだぜぇっ!」
≪はいっ≫
レイザーさんが喜々とした表情で黒マント男に再び突進していく
「ハハハハハ! どうしたどうしたぁ!? さっきまでの余裕なツラどこ行ったぁ!? お前らぁ!」
≪マスター! 治療しますっ≫
ああ。ありがとうマキナ……
マキナが俺の元へ駆けつけてくる
レイザーさんが二人を相手に大剣で圧倒していた
黒マント二人は大剣捌きを避けきるだけで精いっぱいのようだ
……よしっ! 治った! ありがとう、マキナ!
≪はいっ!≫
反撃開始と行くか! あいつらに隙があったら捕縛頼む!
≪はいっ!≫
「レイザーさん! 加勢します!」
「おぉ! じゃあそっちのねーちゃんを任せるぜ! 俺はこの仮面の野郎に相手してもらうぜ!」
「わかりました!」
俺とアルテミスと呼ばれた女が向かい合う
「っ……! もう一度炎の檻に捕らわれろ! ファイアウォール!」
「遅ぇっ! 同じ手が効くかよ!」
ボッ……ゴオオオオオオオオ!
炎の壁が立ち上るより速く回避行動を行い回避していく
「くっ!?」
弓の狙いなんてつけさせるか! 動きまくってかく乱してやる!
俺はジグザグに移動しながらアルテミスに接近し距離を詰める
≪マスター! これをっ!≫
マキナが俺の短剣に電気の力を宿らせる
≪ショックトラップエンチャントです! その状態の武器で攻撃すれば、相手を一時的に行動不能にさせることができます!≫
さっすが最強の機神様! 応用力も半端ねえな!
瞬時にアルテミスに詰め寄り斬りつける
殺さないように斬葬はあえて使わない。こいつにはまだ聞きたいことが山ほどある……!
「がっ……!?」
俺に切りつけられ電気ショックで動けなくなり倒れこむアルテミス
考えられる全ての可能性を見逃すな……! わかっていない情報があるのならなおさら「もしも」を想定しろ…………!
考えが足りてなかったからさっきの状況に陥ったんだ、楽観的な判断は愚策だ……! 考える事をやめるな!
……よし! 今だ! 捕縛してくれ!
≪はいっ!≫
「っ!? しまっ……!」
マキナが鋼鉄製ワイヤーでアルテミスを縛り上げる
そいつをすぐに檻に収監してくれ! あの黒マントに連れ去られたら面倒だ!
≪はいっ! マスター!≫
マキナが次元の扉を開きアルテミスの周囲に漆黒の檻を出現させ、瞬時にアルテミスを檻に閉じ込める
「っ!? アルテミス……!? チッ…………馬鹿が!」
アーレスと呼ばれた男が突然後ろに跳躍する
「……やむを得ん、か!」
その言葉と同時にアーレスが天へ腕を掲げ掌が輝きだす
バシュッ……
「来い! ゲイボルグ……!」
アーレスがそう言った瞬間、アーレスの手には深紅に染まった槍が握られていた
っ!?
その様子を見ていた俺は驚愕する
それはまごうことなく、神器の呼び出し方だったからだ……!
「ハッハー! おもしれえ! やはり神器持ちか!」
黒マント仮面が何故、救世主の力の象徴の「神器」を……!?
救世主はみんなレティシアに殺されてるはずじゃ!?
……一つ謎が解けた気がする
この誰もが強者と認めるレイザーさんをボコボコにできる人物……、確かに神器持ちならあり得る…………!
あの神器がどのような能力なのかわからないが、被害が出る前に叩き潰す必要がある……!
神器は普通の武器よりもはるかに高い能力を持ったいわば殺戮兵器のようなものだ
それはマキナを見ていれば十分に想像はつく! やられる前にやるしかない!
槍を構え戦闘準備を整えるアーレス
「この槍に貫けぬものは存在せん……!」
「レイザーさん! 広場の端に跳んでください!」
「おう!」
レイザーさんを巻き込まないように退避してもらい、アーレスと向かい合う
マキナ! あのサイズだ!
≪はいっ≫
キィィィィィン……!
バッシャアアアアアン!
「距離を取ろうと無駄だ! 穿て! ゲイボ…………え…………?」
マキナが巨大化し俺たちはアーレスに向き合う
アーレスが呆けたようなリアクションで俺とマキナを見上げる
「さあ!? 正々堂々勝負しようぜ!」
アーレスと俺たちが向かい合い、足を上げる
「え……? あ…………あああああああああ!?」
マキナの足がアーレスを踏みつぶす
ブチッ……!
よし! 手ごたえあった! 二~三回踏んどくぞ! マキナ!
≪はいっ≫
ズンズンズン……! グリグリグリ…………!
足を丁寧に踏み手ごたえを感じなくなるまで踏む
グチャッ……! ニチャッ…………
そっと足をどけるとアーレスは赤い染みになっていた
……漫画とかだと地面にめり込んでボコボコになってるんだけど、リアルでやるとエグいな…………
≪リアルでドラグ・ソボールのヤムー現象は起きないですよ、マスター≫
マキナを解除しレイザーさんに駆け寄り話しかける
「……すみません。神器だしてきたんで倒しちゃいました」
「いいって事よ、一人は捕まえたんだ。気にするな」
「あっ……レイザーさん! さっきは助けていただいてありがとうございました。お蔭様で命拾いしました…………」
≪ありがとうございました。レイザーさん≫
俺とマキナが頭を下げる
「なあに、間に合ってよかったぜ。それよりよくやった! 大手柄だぜ! 東条! 嬢ちゃん! 黒マント仮面を捕まえるとはな!」
「ええ、聞きたい事が山ほどありますからね、生かしておきました」
「ああ! お前ら最高だぜ……! やっぱお前と組んで正解だったぜ! ハハハハハ!」
レイザーさんがバンバンと背中を叩いてくる。正直痛い
「と、ところでレイザーさん? さっきの……この周辺を吹っ飛ばしたアレは…………何かの技ですか」
「……技? 何言ってんだ? アレはただの気合だろ」
「……はい?」
「だから、気合だ。気合を入れて剣を地面に突き刺したらああなるだろ? 普通」
「……いや「ああなるだろ?」と仰られても…………やったことないんで……」
「お前だってやってるじゃねえか? 気合を入れて剣を振れば斬撃が出るだろ?」
「……え? じゃあ。あの…………レイザーさんの出してる斬撃って要は気合ですか」
「気合だろ。……今更何言ってんだお前…………。変な事言う奴だな……」
いや「常識だろ?」みたいな顔で俺を見ないでください! 変な事言ってるのレイザーさんですからね!?
俺この斬撃を出す「斬空剣」を修得するのに四十年かかりましたけど!?
俺の四十年てこの人にとって「気合だ」の一言で済んじゃうものなの!?
やっぱりこの人無茶苦茶だ!? もうわけがわからないくらい強いんですけど!?
この人をボコボコにするってどんな奴だよ……、…………もっと修行がんばらねえとなぁ。
「……と、とりあえず撤収しましょうか…………」
「おう! 早く帰ろうぜ」
……マキナ? 一応こいつの亡骸回収しておいてくれるか。
何か手がかりになるような物を持ってるかもしれない
≪はいっ≫
マキナがアーレスの亡骸を次元の狭間の隔離する
その後、俺たちは街にアルテミスを連れ帰り警備隊本部の尋問室に向かった
マキナのワイヤーに捕縛された状態のアルテミスを椅子に座らせる、尋問を始める
「じゃあ、尋問を始めるか。じゃあ……手始めに…………」
「ああ、レイザーさん? 尋問を始める前に、この女に釘を刺させてもらってもいいですか」
「お? おお、別に構わないぜ」
「ありがとうございます」
マキナ? こいつはレティシアみたいに洗脳状態にあるのか
≪いえ、洗脳状態ではないですね≫
てことは、こいつは自分の意志でやってたって事だな
≪はい≫
マキナ? この部屋の遮音頼む
≪はいっ。……遮音化完了しました≫
ありがとうマキナ
アルテミスの首をガっと掴み見据える
「……尋問を始める前に言っておく事がある。お前は神器所有者の可能性が高い。神器は高い殺傷能力をもつ武器だ。だから、こちらも慎重に対応する。
神器を出現させる等の妙な行動を起こせば、その瞬間に俺がお前の首を飛ばすか、バラバラにするか、マキナが粉々にするかどれかだって事を理解しておけよ?」
「お、おい、東条? 相手は女だぞ……」
「……レイザーさん。女や子供でも剣を持てば人を殺せます。神器は…………大量殺戮兵器と言っても過言ではない代物です。
街中で神器を持つ奴が暴れたら無関係な人に多大な被害が出ます。……考えたくもないような大惨事が起こる可能性があります。
そうなる可能性が一%でもあるのなら最大限の警戒をすべきだと考えます。それがこの女を街の中に連行して来た我々の負うべき最低限の責任ではないでしょうか」
「……そりゃ、そうだな」
力を緩めるとアルテミスが椅子に落ちながら座る
ドサッ……
「くっ! 野蛮人が!」
「……人の体に八本も矢突き刺す奴に言われたかねーよ」
「マキナ? こいつがちょっとでもおかしな真似したら即殺してくれ」
≪はいっ≫
「お前、俺より警備隊に向いてると思うぞ……」
「ハハハ……。ご冗談を。…………おまたせしました。尋問お先にどうぞ」
「ふぅ……そうだな。とりあえず、その仮面の下の顔拝ませてもらおうか」
レイザーさんが仮面をはぎ取ると、半分が酷い火傷で焼けただれステロイド状の顔が現れる
「……っ」
顔を伏せ顔の火傷が髪に隠れる
「さて、ねーちゃん? 名前を聞かせてもらえるか?」
「……貴様らに話す事等何もない」
「おいおい、そりゃつれねえな。名前くらい教えてくれてもいいだろ」
「……」
「ちっ……だんまりか」
「アルテミス……。さっき逃したアーレスという仮面の男がそう呼んでました」
「っ……!」
ハッとした顔になり俺の方を向くアルテミス
「アルテミス、か。いい名前じゃねえか。おぉ、顔あげたな? さあ、俺と楽しくおしゃべりしようぜ?」
「っ……誰が!」
フイッと顔を逸らすアルテミス
……ずっと気になっていることがある
≪どうかされました? マスター≫
妨害ってのはさ。
さっきの戦闘でマキナが言っていたようにそのエリアに設置された何らかのアイテムで発動するんだな?
≪そうですね。レティシアさんのは脳の記憶にロックがかかっているタイプですが、
主に妨害用の電波発生装置がどこかにあってそれが邪魔してその効果範囲は読み取りができないんです≫
って事は、近くにいるレイザーさんの脳も今はみれない? この警備隊は妨害の電波ないよないつも
≪……あれ。見られませんね…………≫
てことは、情報読み取り妨害の効果がある何らかのアイテムを所持していている可能性が高いな
こいつの脳じゃなく、体のスキャンはできるか? 金属探知機みたいな物で何か不審な物をもってないか調べる事はできるか?
≪はい、それは可能です≫
「レイザーさん、すみません。少しだけ尋問を中断してこの女の身体検査させてください。
マキナが心を読むのに邪魔になる物を所持している可能性があります」
「おう。やってくれ。このねーちゃんさっきからずっとだんまりだしよ。話が進まねえんだ」
「ありがとうございます。じゃあ、マキナ、頼む」
≪はいっ≫
マキナが掌をアルテミスに掲げ、頭から体にかけて手を下げていく
ピピピピピ……!
マキナの手が赤く光り鳴る
≪ありました、ペンダントのようなものに隠していますね≫
とりあえず、それ取り上げてくれ
≪はい≫
マキナがアルテミスのペンダントを手元に瞬間移動させる
「っ!? それは……」
「面白そうな物持ってるね?」
「か! 返して!?」
「返すわけないだろ。これがあるせいでお前の心の中見れないんだから」
マキナ? これって次元の狭間に入れて大丈夫か?
≪はい。問題ありません。隔離しましょうか≫
ああ、効果範囲の外に保管したい
≪わかりました。隔離スペースにしまっておきます≫
ああ、頼む
マキナが次元の狭間にペンダントを収納する
さって、これで「妨害」の仕掛けがどうやってたのかわかったな
これは大きな収穫だ
≪そうですね。マスター? あのペンダントを私のほうで調べておいても?≫
ああ、ぜひ頼むよ。アレがどこからきて、どういったもので……誰が作ったのか、までわかれば最高だな…………
≪頑張って調べます≫
頼りにしてるよ、マキナ
≪はいっ≫
さて、それはさておき、今はこいつの頭の中を見させてもらおうか
≪はいっ。すでに全てのデータをコピー完了してますっ≫
おっ、さすがマキナちゃん、仕事が速いね! ……まずは、こいつがなぜ俺らを狙ってきたのかを見れるか
≪……やはり、ランデル王子が傍仕えに命令して、この人にマスターの暗殺を依頼したようですね≫
その映像見れるか?
≪映像出します。モニターの方がいいですか?≫
……レイザーさんもさっきからだんまり決めこまれて困ってるし、出そうか
「レイザーさん。アルテミスが誰に依頼され俺を襲ってきたのかわかりました」
「っ!!?」
アルテミスの顔色が変わる
「何!? そりゃあホントか!?」
「はい。今マキナが証拠の映像を出してくれます。ご覧になられますよね?」
「見るに決まってるじゃねえか! 嬢ちゃんやっぱすげぇな!」
≪ふふ。それでは、ランデル王子の記憶と一緒にご覧ください。……どうぞ≫
モニターに映し出されるランデル王子が傍仕えに話しているシーンの再生が始まる
────
どこかの宿の一室と思われる部屋が映し出される
「おい。あのインチキ野郎をあの人に始末してもらえ。金はいくらかかってもかまわん」
「ハッ……。しかし、あの方は救世主様では…………」
「あんな奴が救世主なわけあるか! いいからやれ! お前殺されたいのか……?」
「ヒィッ……!? めっ! 滅相もございません! すぐに! 手配いたします!」
「……チッ! グズが…………。あんな奴にソフィアを渡してたまるか……! あのエロい胸も尻も僕のもの……だ……!」
「あんな奴死んでしまえばいいんだ……!」
────
「これはこれは、三年ぶりです。アルテミスさん……」
「その名で呼ぶなと言っただろう? 殺すぞ」
「これは大変失礼致しました。どうかご容赦を」
傍仕えが頭を下げながら謝罪する
「フン……。今日は何の用だ? また暗殺か?」
「はい。一人消していただきたい人物がおります」
「そいつはなんという名前だ」
「東条司、という男です。報酬はいかようにも……」
「……白金貨八千枚。それで受けてやろう」
「かしこまりました。ご用意させていただきます」
「そいつはどこにいる?」
「おそらくローランの街に住んでいると思われます。詳しい情報などはありませんが……」
「フン。ならやはり一万枚もらおう。身元を割り出す所から始めなければいけない手間賃だ」
「ええ。もちろんご用意いたします。どうか、よろしくお願いいたします」
────
「こりゃまた決定的な証拠が出てきたな。ええ? おい。アルテミスちゃんよ?」
「……クソっ…………クソッ!」
アルテミスがモゾモゾと動いて悔しがる
「ああ、言っておくけど、自殺しようとしても無駄だぜ?
マキナがお前を治すからな、お前が痛い思いするだけだからやるだけ損だぞ。
後お前の考えてる事常時見張ってるから絶対死なせないし、暴れるなら殺すからな? 変な気は起こさないほうがいいぞ」
……自分の都合で人を殺そうとしたっていう点だけで言えば俺も同じだけど、今は棚上げにさせてもらうぜ
≪マスターはこんな人と同じじゃないですよ≫
立場と思想が違うだけな。内容は同じさ
俺も世界救うって自分の都合で動いてるわけだし。根本的には何も変わらないよ
≪マスターは変わってます……≫
よく言われるよ
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破滅の王の軍団が、魔物だけじゃなくて、こいつらみたいな「人」も含まれるのなら
そいつらを倒して回る俺は「救世主」であると同時に「大量殺人犯」だ。
俺が元いた世界なら確実に処刑されるレベルのな
救世主や英雄なんて見る人の立場が少し違うだけで極悪人だからな
≪……そこまで覚悟なさってたんですか≫
……したさ。でなきゃ「救世主」なんてやってらんねーよ
まだどうやったら世界を救うなんて大それた事が出来るのかわからないけど、
俺が「救世主」ってやつで、何とかできる力があるんなら、なんとかしたいって思ったんだ────
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