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賢者、仲間を侮られる。

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Sランク剣士の依頼で騎竜隊が薬師を迎えに行く──ある意味シュールだ。
「アタシも退屈しながらも村で薬作りまくってて……あ、その時はたまたま里帰りしてて、ミウはベッカ公爵のところにいたんだよね。アタシの薬師レベルはもうAだったし、冒険者としての経験だけが足りなかっただけだったから、ミウがAランクに上がってくれたらまた冒険に出るつもりだったから、在庫を作っておきたかったっていうのもあるんだけど。それが終わってからアタシがミウを迎えに行ってから昇格試験を受けて…のつもりだったんだけど」
「え?それが何で?」
「ベッカ公爵なんだよ、それが。ミウがCランクからBランクに昇格するための試験の時も似たような嫌がらせされて、試験受けるまで何だかんだで『落ちるに決まってるから受けさせるだけ無駄』って言われたって聞いて乗り込んだの。期間が短すぎたっていうのもあるっちゃーあるけど……まあ、あんた、じゃなくて賢者様なら実際見てわかるでしょ?」
私はその言葉に同意の頷きを返す。
確かに冒険者登録して、貴族特権で最低FランクからではなくDランクからスタートしたとしても、登録から半年でBランク昇格は異常な速さだ。
しかしビッグラビットをあり得ない連射で正確に射抜いたその腕もそうだが、それがすべて間違わず同じ首への一撃で絶命させる技──それが1年前からすでにやっていたとすれば、討伐した数も早さも強さも尋常ではないだろう。
「だから公爵がミウが骨休めに遊びに行った時、ついでに王都に戻ったら試験を受けるってことを話したら『また妨害されて試験を受けさせてもらえなかったらたまらん!』って王都に使いを出して……で、ケヴィンがもう待てない、ミウがAランクになったらSランクに上がる前に自分たちのパーティーに入れてもらえるように王様を説得するから戻って来いって呼ばれたってわけ」
「で、ゴネにゴネて、自分は審査にも加わらなかったから、いまだにミウがAランク試験に合格し、勇者パーティーに参加できたのはベッカ公爵のごり押しがあったからと思っている?」
「だって16…違うか、あの時はまだ15歳だったからね。早い子なら8歳ぐらいから冒険者パーティーに荷物持ちとして参加して、見習いになって10歳以上からだっけ?試験受けられるのは……たいていは13歳でFランクだもんね。20歳までにAどころかBランクに上がれたらいいって感じだし。まあケヴィンは10歳で冒険者として旅立って16歳でAランクだったけど、それは『男だから』って言われてさ」
フンッとラダがいきり立つが、デューンはその間一切口を利かずに苦笑だけ浮かべていた。
ひょっとすると冒険者ギルドの『ランク付け』というのがバカバカしくなるのほどの『天才』なのかもしれない、ミウという少女は。

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