魔界建築家 井原 ”はじまお外伝”

どたぬき

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第17章 ドランの領地視察旅

第693話 法の信頼は寄り添ってこそ

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「…それは本気か?」
「だわさ。」
「帝国から、魔王国に使節団を派遣するだわさ。できれば通商条約を結びたいだわさ。できれば、その先・・・商業連合との”ゴールドライン形成”を
提案するだわさ。これに伴う山脈街道整備・・・許可をお願いするだわさ。」
 それは、年次方向を決める基礎会議の事だった。鳥海の立場はいまだ”軍事大臣”である、実質このダンジョン”マルワール帝国”のダンジョンマスターでもあるがそれでいを振るう真似をしなかった。一つはトップを担うという事は”死ぬ事”であるというのが鳥海の持論にあった。いくつもの組織において、それまでがいかに良い人間だろうが、その”立場”に入ればいずれ腐り、そいつは”王”というの名の人形になる、そうなると周りが見えずどんな人間でも…それはいろんな政治家もおごり高ぶり、そうなっていった。そこで腐らない人間だけが”その上”に歩くことができる。自分が腐ればどうなるか、ダンジョン含め…どうにもならない予感がある、それに機動力を確保するために王という立場は嫌った。そして、何より”人間の国は人間が治めるべき”というのが彼女の持論にあった。人間は機械でも動物でもない。人間の施政は人間が行うからこそ。人間に寄り添う物になる、部族というか、民族が関わるならその民族が治めて初めて、その施政と法はその国民の為にになるものになる、これは各国の法を学び、苦労した鳥海だからこそ出た考えでもある、その国では”口噛み酒(くちかみしゅ、口で酒成分を含み唾液で発行させる不衛生な酒)の禁止”や生贄の鶏の取引に交換貨幣という独自の物を使うのを禁じていた。こういう法律はこっちに来た日本人では思いつかないし、こういう細かい法が法への絶対なる信頼を与えていた。ついでにその代わり”蒸留酒”が国営で安く取引されることとなり、代替品が安く販売されることになっていた。これがある意味企業が難しくさせたのだが、分かるまでに10年かかったとNGOの書類に書かれていた。
「そこまでやっての利益はあるかの?」
 現在レフティたちに改めて国内の村々の食糧事情の再点検をさせ、
「あると思っているだわさ。ま、正確には、こちらからは”イーハ商会ネットワーク”を出し、向こうの穀倉地帯として輸出も考えているだわさ。向こうは当然国土が広いだわさ、かの王国への陸路の開通等も含め、
「…今までの戦績からして、戦争で勝ち取ることも考えては?私たちは国境を守り通し、勝ち続けて来たではないか?」
 隣に控える宰相ではなく、貴族たちの一つ外交大臣の言だ。
「これにはみんな軍力があればとればいいというだわさ。ただ国内が落ち着きつつある魔王国との戦いは余り得策ではないだわさ。向こうではこちらからの侵攻を考え訓練場としていくつもの魔境と呼ばれる地域を開放しているだわさ。それに、今国民に信がある魔王国を潰しに行けば、その統治は100年の損失となる可能性が高いだわさ。相手はこっちが攻めるのを想定し、構えているうえに狩っても民が氾濫する可能性を抱えるなら…戦争に勝っても得る者はほぼ0と見ていいだわさ。むしろそこに整備して金をこっちが出しただけ損を見るだわさ。後で取り返されて、これは俺達の物だー…ってやられれば、誰がこれの責任を取るだわさ?」
「取られなければ!」
「…アチシ達は背中から刺されたことがないからそう言えるだわさ。飯を渡しに来た飯炊きに刺されると考えた事は?それが起きうるのが、戦争統治下だわさ。最低でも向こうの国民からの圧政の報告なしには国土の拡張は危ないだわさ。」
 実際ダンジョン化の影響でそこまでダンジョンの大きさに余裕がなく、DP利益の事を考えれば無理な拡張は危ないのだ。
「ぐ、だとして、通称?」
「そう、商人とか軍人以外の通行及び関税の通行税の撤廃だわさ。そうすることでお互いの商人…及び今いる難民たちも帰りたい者がいるのなら、帰らせるという手だわさ。」
「帰していいのか?兵士として…。」
「ここでポイントなのは。”いつでも帰れる”という事だわさ。そうさせることで逆に”今すぐ帰る”という気を無くさせるだわさ。それに向こうから更なる流入による開拓民の確保も考えられるだわさ。まだ東部のムーア村と産業都市ルーティの方には人口を受け入れる余裕があると聞いているだわさ。そこで彼らの商品を国外に売りつけ、高品質低価格の商品で依存関係を作ることで相手の富をこちらの手に入れさせるだわさ。」
 これもある意味日本式”外交防衛術”でもある。相手を甘い蜜で浸し、依存させて絶てなくするのだ。戦争をしようとすれば当然商品が少しでも手に入らない国民が反対し、それが停戦に有利になる”厭戦機運“を生み出す、停戦合意を有利に進められる可能性が高くなる、そうして戦争リスクが上がり、隣国との戦争は不可能となる、但しこれには歴史上”当主の代替わり”により無効化されてきたが、相手は”魔王国”すなわちダンジョンでもある、当然代替わりはしにくいとみている、そしてもう一つはもう一個の転生勇者のいる”商業連合首都”との交易路の開拓による”異世界チート開発商品”の購入にある、今はなくともいずれ起きる。その時に導入しやすい環境を作っておきたい。
「私としては確かに国内需要はそろそろ満たしつつある。我が国の発展にそれが欲しいなら…先ぶれはどうする?」
「アチシが先ぶれ込みで少数人数で乗り込むだわさ。その後に通商大臣として、外務大臣が王の署名を持ち有効性を証明す筒、こればいいだわさ。」
「皇帝名において、これを承認する。鳥海軍務大臣っ早速街道を整備し、もう一つ、防衛も可能なように整備いたせ。念のためだ。:
 一瞬近衛隊長の目線があったのか、少し軌道修正がなされたな…。
「それは当然。承知しただわさ。」
「また、各貴族に置いて、外相を行うために専属の貴族数名を選定せよ、その者は村の支配を説き貴族から商品を全商品の二割までに限り購入する権利を与える。納税は当然同等である。」
 当然、会議の前に鳥海派”根回し”をしておいた。報連相こそ議会を回すコツなのだ。
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