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十四話 ローランの傷
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ローランは控えめに笑った。
「……知られたからには、しょうがない。陛下、真実を話してもいいでしょうか?」
「っ、ローラン!」
咄嗟に僕は彼の手を掴んだ。
恐らく、ローランの過去は重いものだ。
それを皆の、彼のことを知りもしない人間に知られる。
それが僕には耐えられなかった。
もし、ローランが過去のことで傷つけられたら……
「大丈夫だ、イライ」
「でも、言わなくていいよ。そんなこと」
「今ここで本当のことを言わないと、誤解されたままになる。そうしたらまた、今日みたいなことが起こるかも知れねえ」
そう言って彼は僕の腕をそっと話した。
ヴァシリはローランの気持ちを汲んだのか、感情をこめずに、淡々と許しを与えた。
「言え。お前の言える範囲でいい」
「ありがとうございます。では、皆さまにも聞いていただきたい……」
そう言って、ローランは口を開いた。
彼の過去は、想像を絶するものだった。
ローランの母は小さな島国で暮らしていたが、さる王国の貴族に見つかり、拉致された。
何度も逃げようとして貴族から不興を買い、馬小屋に繋がれた。
そうして手籠めにされて生まれたのが、ローランだった。
肌の色が母親譲りであったために王国では人として使われず、親子共々馬小屋に押し込まれた。
気まぐれに来ては、鞭を振るわれた。
今でも貴族と、その妻子の笑い声が耳に張り付いている。
母はローランを抱きしめ、ただ必死に耐え続けていた。
そしてある日。
横暴な貴族に反感を持っている領民が、反乱を起こした。
館だけでなく、彼らが持っていたもの全てに火を放った。
その中に馬小屋もあった。
まさかその中に貴族に手籠めにされた母親とその子供がいるとは知らなかったのだろう。
命からがら炎の中から逃げられたのは、ローランだけだった。
それからスラムに流れ着いた後は、ただ強さを求めた。
もう傷つけられぬように、奪われぬように。
そうして地に這いながら、仲間を集めて、力を身に着けていった。
それがジェスター傭兵団の始まりだった。
スラムの寄せ集めだった彼らはその暴力と情報収集を活かし、時を経て一国の軍隊に並ぶ力を手に入れた。
「……だから俺は、誓って父を殺してはいない」
そして彼はその場で服を脱ぎだす。
ローランは自身の上半身を露わにした。
「――っ」
それを見た瞬間、声を失った。
まるで無数の虫が皮膚の下で這っているかのような傷跡が、褐色の肌に刻まれていた。
あまりに悍ましいその傷跡こそが、ローランの言葉が真実だと皆に物語っていた。
「……知られたからには、しょうがない。陛下、真実を話してもいいでしょうか?」
「っ、ローラン!」
咄嗟に僕は彼の手を掴んだ。
恐らく、ローランの過去は重いものだ。
それを皆の、彼のことを知りもしない人間に知られる。
それが僕には耐えられなかった。
もし、ローランが過去のことで傷つけられたら……
「大丈夫だ、イライ」
「でも、言わなくていいよ。そんなこと」
「今ここで本当のことを言わないと、誤解されたままになる。そうしたらまた、今日みたいなことが起こるかも知れねえ」
そう言って彼は僕の腕をそっと話した。
ヴァシリはローランの気持ちを汲んだのか、感情をこめずに、淡々と許しを与えた。
「言え。お前の言える範囲でいい」
「ありがとうございます。では、皆さまにも聞いていただきたい……」
そう言って、ローランは口を開いた。
彼の過去は、想像を絶するものだった。
ローランの母は小さな島国で暮らしていたが、さる王国の貴族に見つかり、拉致された。
何度も逃げようとして貴族から不興を買い、馬小屋に繋がれた。
そうして手籠めにされて生まれたのが、ローランだった。
肌の色が母親譲りであったために王国では人として使われず、親子共々馬小屋に押し込まれた。
気まぐれに来ては、鞭を振るわれた。
今でも貴族と、その妻子の笑い声が耳に張り付いている。
母はローランを抱きしめ、ただ必死に耐え続けていた。
そしてある日。
横暴な貴族に反感を持っている領民が、反乱を起こした。
館だけでなく、彼らが持っていたもの全てに火を放った。
その中に馬小屋もあった。
まさかその中に貴族に手籠めにされた母親とその子供がいるとは知らなかったのだろう。
命からがら炎の中から逃げられたのは、ローランだけだった。
それからスラムに流れ着いた後は、ただ強さを求めた。
もう傷つけられぬように、奪われぬように。
そうして地に這いながら、仲間を集めて、力を身に着けていった。
それがジェスター傭兵団の始まりだった。
スラムの寄せ集めだった彼らはその暴力と情報収集を活かし、時を経て一国の軍隊に並ぶ力を手に入れた。
「……だから俺は、誓って父を殺してはいない」
そして彼はその場で服を脱ぎだす。
ローランは自身の上半身を露わにした。
「――っ」
それを見た瞬間、声を失った。
まるで無数の虫が皮膚の下で這っているかのような傷跡が、褐色の肌に刻まれていた。
あまりに悍ましいその傷跡こそが、ローランの言葉が真実だと皆に物語っていた。
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