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きるる

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リノで在るならば何でも 4

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「リグが来たらヤバいかな」
「リグの焦って不機嫌になる顔も見たいな」
「捻れたらあれだからそろそろお暇しようか?」


双子王子の会話にガブリアルノが「ウルスナさんの話を聞かせてくれてありがとう」と立ち上がったので、ウルスナもそれに倣いながらずっと聞きたかったことを尋ねる。


「あの…私のような者が―――」


ガブリアルノが人差し指を口に当てながら微笑む。


「リグリアーノとウルスナさんの想いが一番。諸々の枷はこのあと解消されると思うよ」


ガブリアルノはさらりと頭を撫で「じゃあ、またね」と出て行き、「私も」ダニエアルノがさらさらと頭を撫でてくれて、更にはクロエアルノも「じゃあ私もー」となでなでしてから出て行った。

ポカンとしながらもウルスナは折角淹れてもらった紅茶を温かいうちにとちょびちょびと飲み始める。

ある意味大物メンタルでリグリアーノを待った。




「そう言えば母のことを思い出しました」


リグリアーノが戻り、ウルスナのドレス姿を見て「着させられてるな」と言いながらも頬を撫でてくれる嬉しさで頬が引き攣れ「ブサイク」と言われもっと引き攣ってしまいながら、待っている間に思い出したことを伝えた。


「…亡くなった?」
「はい。母が私を庇って馬車に轢かれてしまった前後の記憶を忘れてしまっていたんですが、…この前のことで思い出しました」


リグリアーノはローブを脱いで椅子に放ると、ウルスナを片手で抱き上げ大きなソファに座り膝の上に乗せた。

ウルスナの髪を弄りながら少し憂う様子で「話せるの?」と聞かれたので頷き、腰に回ったリグリアーノの腕にちょっとだけ触れながら頬を少し引き攣らせた。


「私と同じでした」
「同じ?」
「母様は…父さ…父が贈った――髪飾りに付いていた鈴が落ちて、それを取りに戻ったんです」
「っ、同じ、…か」


もう父様と親しげな言い方が出来なくなったウルスナは頷く。


「私は母に向かってくる大きな箱…馬車が来るのが見えて後先考えず母に走り寄り…気付いた母は咄嗟に私を抱えて…」


馬車はウルスナを守った母にだけ衝撃を与えた。


「多分…当時は覚えていたかもしれませんが、…父にずっと言われ続け、記憶から消してしまっていたのではないかと…」


頬を撫でていたリグリアーノは何を言うでもなくウルスナの頬を包む。


「…父親や、…屋敷の者に、酷いことをしてきた奴らに仕返しをしてやりたいと思うか?」


リグリアーノの言葉にウルスナは首を捻る。


「仕返し…」
「ああ。憎んで恨んで同じ…それ以上の報復をしてやりたいか?」
「…二度と、関わりたくないです」


されたことを返す。
その選択はウルスナには全く無かった。


「憎しみと恨み。その感情を持つ前に私は母殺しだと言われて育って、それが当たり前でした。今もそのような気持ちはありません」
「…」


リグリアーノは納得いかないような顔をしながらも頬だけでなく頭にも温かい手が乗せられ頬が引き攣る。


「…ブサイク」
「はい。ブサイクです」
「今でものうのうと暮らしている奴ら。ムカつかないの?」
「…ムカつく」


そう感じる前に捻じ伏せられた幼い感情が憎悪に変わることはウルスナには無い。


「…今は嬉しい、かもしれません」
「は?」
「あの日攫われてしまったことで、リノさんに会えました」
「!」
「憎むとかムカつくは無いけど、戻ることは二度と嫌です。私は今ここでリノさんと居られてとても幸せな気持ちです。ずっと耐えてきて良かったと思いました」
「…」


眉を顰めたままウルスナを引き寄せたリグリアーノは頭に顎を乗せ、背中を優しく擦られた。


「俺は許し難い」
「リノさんがですか?」
「俺だけじゃない。ヘレンもジッロも…リューイも。幼く何も抵抗出来なかったウルスナに負の感情をぶつけた奴ら全員許し難い…一族根絶やしだ」
「大袈裟です」
「本気だ」


リグリアーノの恐ろしく冷淡な声。
だがそれはウルスナに向けられたものでなく、ウルスナを傷つけてきた者に対してだ。





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