貴方の道具として頑張ります

きるる

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リノで在るならば何でも 3

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「うん、何かな?」
「お話したいことがあります」
「勿論。どうぞ」
「リノ…りぐり、あーの様が―――」
「リノって呼ばせているんだよね?そのままで呼んであげて」
「…リノさんは、可哀想ではないと思います」
「…うん?」


否定するような言葉で始まることだが、これだけは言っておきたいと思った。


「今聞いたことだけで、思ったので、お門違いかもしれませんが、リノさんは、可哀想ではない、です。可哀想だったらきっとお、母様のことが悲しくて、辛くて、部屋に閉じこもって、家族にも誰にも会わずに、…私ならそうしたと思います」


ウルスナは上手くまとまらない言葉を何とか繋いでいく。


「リノさんは、それを全部研究とかを、成し遂げるために、頑張ってきたと、思います。それは目を逸らしたとかでなくて、自分の気持ち…誰かに対する気持ちを、そちらに使っただけで、リノさんは…リノさんのままで、頑張っただけだと思います」


リグリアーノより暗めの赤紫色の瞳が丸くなる。


「私はリノさんの、不機嫌そうな顔も、意地悪な顔も、言葉も、態度も、…何でもとても好き、です。とても人らしくて好きです…リノさんは、私のような者を…どんな形でも認めてくれました。リノさんは、可哀想でなく格好良い―――」


必死に言葉を紡いでいるウルスナに悪意の無い手が伸びてふわりと頭に乗った。

ガブリアルノがまるで泣きそうな笑顔でウルスナの頭を撫でてくれていたのだ。


「ありがとう。リグリアーノを沢山知ってくれて」
「え…」
「ウルスナさんの真っ直ぐな瞳と言葉がリグリアーノを解したんだね。…ああ、本当に嬉しいな」


ガブリアルノが本当に嬉しそうにウルスナの頭を撫でてくれる。ちょっと照れ臭くなった時に扉から聞き覚えのある声。


「あ、いた」
「だろう?ヘレンからワゴン奪って正解だな」


そこにはこれまた麗しい容姿の二人。

一人は以前部屋に訪れたダニー。もう一人は顔も色合いもそっくりだが、胸元下までの緩やかな髪。


(…双子?)


ウルスナは首を傾げる。


「あれ、二人が揃ってるの久しぶりだなぁ…ウルスナさん、二人はリグリアーノの兄で髪の短い方がダニエアルノ、長い方がクロエアルノだ」
「兄…」


兄の一人は確か王太子ではなかっただろうか。短めのさらりとした白金色の髪を揺らしながらくすくすと笑うのはダニエアルノだ。


「久しぶりだね、ダニーだよ」
「あ、…はい。ご無沙汰…してます?」


そう言いながらダニーことダニエアルノからクロエアルノを見てしまう。

クロエアルノは緩やかな髪を掻き上げながら、「初めまして、だね?」と少し掠れた声で言われウルスナは「初めまして」と返しておく。

何だか良く分からないが、分からないままにしておこうと考えながらも、本当に一角獣族の容貌は絶世の美貌なのだなと思い知る。


「父上。私も頭をもう一度撫でたいな」


ダニエアルノがウルスナの側で少し屈み、頭を優しく撫でながら「顔色が良くなって少しふっくらして可愛くなったね」と麗しい顔を微笑ませる。

その間クロエアルノは手慣れた動作で紅茶を入れ、「召し上がれ」と差し出され、ウルスナは綺麗な所作に驚きながらもお礼を返した。


「ダニエアルノとクロエアルノは双子だから、見分けがつくように髪の長さを変えているんだって」


ガブリアルノの話を頷きながら聞くも、逆にそれを逆手に取って変われてしまうのではと思ってしまうが、髪の伸縮が自在に出来るわけないと思い直す。

紅茶を入れ終わったクロエアルノも「私も撫でたい」とウルスナに近づきぽんぽんと頭を撫でてきた。


「小さいな。しかも見上げられるのが可愛い」
「妹が居たらこんな感じかな」
「近い将来有り得るかもね」


目の前に国の絶世の美貌を誇る王族が集結していることに驚くばかりだが、ぶっきらぼうで不機嫌そうな顔をするリグリアーノが一番良いなとウルスナは身勝手に考えながらも淹れてくれた紅茶をいただく。





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