【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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2章

69 王宮への帰還②

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 しばらくしてアダムがオレリアと共に現れた。
 この時間ならアダムはまだ執務室にいたはずだ。
 レオナルドが公爵邸へ使いを出したのは、オレリアを共に呼ぶためだった。

 レオナルドは文に『大事な話がある為、父上と共に王太子宮へ来てください』と書いただけである。
 オレリアは、「大事な話」「王太子宮」という単語に驚いて駆けつけてきたのだろう。

「お父様、お母様」

 アリシアが小さな声で呼びかけた。
 王太子の膝の上から娘が不安げな目で2人を見上げている。
 一体何があったのか、2人の不安は増すばかりだが、それを表すことはない。

「王太子殿下、お呼びと伺い参上致しました」

「堅苦しくしなくていい。楽にしてくれ」

 レイヴンの許しを得て2人は頭を上げる。
 だけど気を緩めることはできない。

「殿下、何があったのでしょうか?」

「すぐに父上と母上が来る。話はそれからだ」

 国王や王妃が出てくるような事態なのかと2人の不安は更に増した。
 だけどレイヴンはそんな2人の様子を気にすることなく、愛おしそうにアリシアの髪を撫でるとちゅっと音をさせて額に唇を落とす。

「大丈夫だよ、アリシア」

 そう囁くとアリシアをそっと膝から降ろした。
 アリシアがゆっくりとレイヴンの隣に座りなおしたところで国王夫妻の来訪が告げられる。

「何があった?」

 国王は立ち上がり礼を取ろうとするレイヴンたちを手で制して単刀直入に問い掛ける。

「まずは報告致します。キャンベル侯爵家のジェーン嬢が使節団の加入に応じてくれました。それに伴いジョッシュ・カルヴィエ殿との婚約を解消します。2人の婚約と婚姻後、ジョッシュ殿が侯爵家の後継となる許可を即取り消してください」

「そうか、ではすぐに取り消そう」

「お待ちください、陛下!それはどういうことでしょうか」

 アダムが慌てて声を上げた。
 何も教えられていないアダムとオレリアが、この急な決定を受け入れられるはずがない。
 ジェーンが結婚しなければ、デミオンを当主の座から降ろすことができないのだから。

「公爵よ。社交界で話題となっている不名誉な噂を知っているか」

「…義妹のことですか」

 アダムが忌々し気に口元を歪める。
 エミリーとジョッシュの噂は当然アダムの耳にも入っていた。

「そうだ。余にはこの縁組がいいものだとは思えんのだ。レイヴンたちは今日侯爵邸を訪れて、そのことを確信したのだろう。それにジェーン嬢を王宮に連れ帰ったようだな。レイヴンよ、侯爵邸で何を見た?」

「父上、その前に公爵に知っていてもらいたいことがあります」

 レイヴンが視線を向けると国王が頷いた。

「では公爵。僕たちはひと月ほど前から2人のことを知っていた。ジョッシュ殿は婚約者を差し置いて、その義妹と王宮の舞踏会に参加していたからね。そこで僕たちの中にある疑惑が生まれた。それはジョッシュ殿が婚姻後もジェーン嬢と関係を持たずに白い結婚を続け、エミリー嬢との間に生まれた子どもを侯爵家の跡取りとするのではないか、ということだ。僕たちはエミリー嬢の…いや、デミオン殿とアンジュ殿による、侯爵家簒奪を何としても防ぎたいと思っていた」

 アダムとオレリアの顔色がさっと変わった。


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