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3章
2 庭園①
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翌日の朝、アリシアは久しぶりに起きることができなかった。
昼食の時間になる少し前にエレノアが申し訳なさそうに起こしに来る。
レイヴンには目が覚めるまで寝かせておくようにと言われているが、流石に昼食まで抜かせるわけにはいかないと考えたようだ。
昼食を摂るならレイヴンが迎えに来るまでに支度を整えなければならない。
起き上がったアリシアは体が重い。そしてだるい。
だけどそんなことは感じさせないように支度部屋へ歩いていった。
ドレスを着付けてもらっていると、「アリシア!」という声と共にバンッ!と扉が開かれた。
「殿下…」
エレノアが呆れた声を出す。
支度はまだ終わっていない。
アリシアの支度が遅かったのではなく、迎えに来るのが早すぎるのだ。
「アリシア!会いたかった…」
レイヴンにはエレノアの声が聞こえていないようで、着付け途中のアリシアを抱き締める。
「レイヴン様、まだ支度が終わっておりません」
アリシアは困ったように押し留めようとするが、心の中には喜びが広がっていた。
レイヴンの態度から、昨日まで見せていた恐れや遠慮が消えているのだ。
「綺麗だ、アリシア」
レイヴンが躊躇いなくアリシアの唇に口づけた。
アリシアが慌ててレイヴンを押し返す。
「レイヴン様!紅が移ってしまいます!」
それは昨日初めて気がついたことだ。
だけどレイヴンは嬉しそうに笑っている。
「皆、僕がアリシアのものだってすぐにわかるね」
「愚かなことを仰らないで下さいませ」
呆れた顔のエレノアが、レイヴンをアリシアから引き剥がした。
乱れてしまったアリシアの口元を直してくれる。
レイヴンはそれを見ながら残念そうに自分の唇を拭っていた。
「殿下はもう少しお待ちくださいませ」
そう言って目線でレイヴンを下がらせると、エレノアはまだ着付け途中だったアリシアのドレスを整えてくれる。
レイヴンが抱き着いたことで乱れたところも綺麗に直してくれた。
支度が終わるとレイヴンに腰を抱かれて部屋へ移る。
「まあ…美しいわ」
窓から庭園が見えると自然に感嘆の声が漏れた。
庭園の半面の花が見事に入れ替えられている。
これまでは全面に赤やピンク、オレンジなどの明るい色の花が植えられていた。
それが入れ替えられた半面は、青や紫など落ち着いた色が中心になっている。そこに混ざる白や黄色の花も良いアクセントになっている。
明るい左側と落ち着いた右側が対照的で美しい。
「気に入ってくれた?」
レイヴンがアリシアの顔を見てホッとしたように笑う。
その笑顔を見たアリシアの胸に、また喜びが広がっていく。
レイヴンがしてくれたこれらのことはご機嫌取りなどではない。
その気持ちにはアリシアにも思えがある。
アリシアにもレイヴンに喜んで欲しいと思って贈り物を選んでいた時期があったのだ。
もうずっとそんな気持ちは忘れていた。
レイヴンが身動きする度にシャラと小さな音がする。
耳に馴染み過ぎて最近は気にならなかったその音がひどく胸に響く。
アリシアが音を立てる鎖に目をやると、レイヴンがその視線を追って同じように鎖を見た。
「懐中時計、使ってくださっているのですね」
こそばゆいような気持ちになる。
「勿論だよ。アリシアが贈ってくれたものなんだから、毎日身に着けているよ」
レイヴンの笑顔が眩しい。
アリシアはそっとレイヴンの胸に頬を寄せた。
レイヴンは驚いた顔をした後、嬉しそうに抱き締めてくれた。
昼食の時間になる少し前にエレノアが申し訳なさそうに起こしに来る。
レイヴンには目が覚めるまで寝かせておくようにと言われているが、流石に昼食まで抜かせるわけにはいかないと考えたようだ。
昼食を摂るならレイヴンが迎えに来るまでに支度を整えなければならない。
起き上がったアリシアは体が重い。そしてだるい。
だけどそんなことは感じさせないように支度部屋へ歩いていった。
ドレスを着付けてもらっていると、「アリシア!」という声と共にバンッ!と扉が開かれた。
「殿下…」
エレノアが呆れた声を出す。
支度はまだ終わっていない。
アリシアの支度が遅かったのではなく、迎えに来るのが早すぎるのだ。
「アリシア!会いたかった…」
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「レイヴン様、まだ支度が終わっておりません」
アリシアは困ったように押し留めようとするが、心の中には喜びが広がっていた。
レイヴンの態度から、昨日まで見せていた恐れや遠慮が消えているのだ。
「綺麗だ、アリシア」
レイヴンが躊躇いなくアリシアの唇に口づけた。
アリシアが慌ててレイヴンを押し返す。
「レイヴン様!紅が移ってしまいます!」
それは昨日初めて気がついたことだ。
だけどレイヴンは嬉しそうに笑っている。
「皆、僕がアリシアのものだってすぐにわかるね」
「愚かなことを仰らないで下さいませ」
呆れた顔のエレノアが、レイヴンをアリシアから引き剥がした。
乱れてしまったアリシアの口元を直してくれる。
レイヴンはそれを見ながら残念そうに自分の唇を拭っていた。
「殿下はもう少しお待ちくださいませ」
そう言って目線でレイヴンを下がらせると、エレノアはまだ着付け途中だったアリシアのドレスを整えてくれる。
レイヴンが抱き着いたことで乱れたところも綺麗に直してくれた。
支度が終わるとレイヴンに腰を抱かれて部屋へ移る。
「まあ…美しいわ」
窓から庭園が見えると自然に感嘆の声が漏れた。
庭園の半面の花が見事に入れ替えられている。
これまでは全面に赤やピンク、オレンジなどの明るい色の花が植えられていた。
それが入れ替えられた半面は、青や紫など落ち着いた色が中心になっている。そこに混ざる白や黄色の花も良いアクセントになっている。
明るい左側と落ち着いた右側が対照的で美しい。
「気に入ってくれた?」
レイヴンがアリシアの顔を見てホッとしたように笑う。
その笑顔を見たアリシアの胸に、また喜びが広がっていく。
レイヴンがしてくれたこれらのことはご機嫌取りなどではない。
その気持ちにはアリシアにも思えがある。
アリシアにもレイヴンに喜んで欲しいと思って贈り物を選んでいた時期があったのだ。
もうずっとそんな気持ちは忘れていた。
レイヴンが身動きする度にシャラと小さな音がする。
耳に馴染み過ぎて最近は気にならなかったその音がひどく胸に響く。
アリシアが音を立てる鎖に目をやると、レイヴンがその視線を追って同じように鎖を見た。
「懐中時計、使ってくださっているのですね」
こそばゆいような気持ちになる。
「勿論だよ。アリシアが贈ってくれたものなんだから、毎日身に着けているよ」
レイヴンの笑顔が眩しい。
アリシアはそっとレイヴンの胸に頬を寄せた。
レイヴンは驚いた顔をした後、嬉しそうに抱き締めてくれた。
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