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3章
5 閉じていた世界①
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「ねえ、アリシア。僕はこの数日、これまでのことを思い返して反省したんだ」
「お兄様?」
それまでの笑顔を消して真剣な顔つきになったレオナルドに、アリシアも自然と姿勢を正す。
「これまで僕たち4人は、お互いを強く信頼していたけれど、僕たち以外の人間を信用していなかった。僕たちはもっと他の人たちを受け入れて、信頼するべきだと思う」
「それは…っ!」
「ジョッシュ殿とエミリーのことがわかった時、2人を引き離すにはどうすればいいのかレイヴン殿下が一緒に考えてくれたよね。ジェーンのことを考えると悪い方に転がってしまったけれど、レイヴン殿下は真剣に考えてくれていた。ジェーンのことをもっと早い段階で相談していたら、もっと違う結果になっていたのかもしれない。レイヴン殿下は信頼して良い方だと僕は思う」
「私も…、今はそう思います」
アリシアが頷くと、レオナルドは少し寂しそうに笑った。
「もっと早く気がつくべきだった。これからはアリシアが困った時、最初に頼るのは僕じゃない。レイヴン殿下だ。本当はもうずっと前からそうしないといけなかった」
レオナルドの淋しそうな顔にアリシアは戸惑ってしまう。
アリシアが一番に信頼しているのはレオナルドだ。
困った時はレオナルドが助けてくれる。
辛い時に慰めてくれたのもレオナルドだ。
レオナルドはいつだって傍で話を聞いてくれる。
アリシアはこれまでレイヴンに相談をしたことがない。
レイヴンの前で弱音を吐いたこともない。
婚約者として、王太子妃として、何かあれば報告をした。指示があれば従った。
2人の関係はそれだけのものでしかなかったのだ。
最近は普通の会話も交わすようになったけれど、そこまで踏み込んだ話はしていない。
「これからは僕に聞いて欲しいと思ったことを、まずはレイヴン殿下に話すんだ。レイヴン殿下なら絶対にアリシアの力になってくれる」
レオナルドの言うことは理解できる。
それにアリシアも、レイヴンとの関係を変えていこうと思っている。
だけど。
「お兄様はもう会いに来てくださらないの?」
アリシアの目が潤むのを見て、レオナルドが苦笑する。
昔からアリシアの涙にレオナルドは弱い。
「そんなことはないよ。だけどアリシアの一番近くにいるのはレイヴン殿下だろう?それに僕もそろそろ結婚しないとね」
「――お兄様、結婚するの?」
「公爵家の跡取りとしてはこれ以上引き延ばせないだろう。父上や母上はやきもきしているはずだよ」
確かにそれはその通りだ。
レオナルドは公爵家の跡取りなのにまだ結婚していない。それどころか婚約者もいないのだ。
レオナルドはこれまで、結婚することも婚約者を作ることも拒んでいた。
アダムやオレリアが度々苦言を呈していたのを知っている。
アリシアは無言で立ち上がると、向かいのソファに座っているレオナルドの隣に移って抱き着いた。
涙が零れない様に堪えている。
「――なんだかお兄様が遠くへ行ってしまうみたい」
「結婚しているのはアリシアなのに、おかしなことを言うね」
レオナルドは笑ってアリシアの髪を撫でてくれるけれど、寂しさが込み上げてくる。
アリシアがこれまで一番信頼し、頼っていたのはレオナルドだ。
レオナルドもそれに答えてくれていた。
だけどこれからは違う。
アリシアはレイヴンを一番に頼り、レオナルドが一番に思うのは婚約者であり、妻となる。
アリシアがレイヴンとの関係を変えていくように、レオナルドとの関係も変えていかなければならないのだ。
「お兄様?」
それまでの笑顔を消して真剣な顔つきになったレオナルドに、アリシアも自然と姿勢を正す。
「これまで僕たち4人は、お互いを強く信頼していたけれど、僕たち以外の人間を信用していなかった。僕たちはもっと他の人たちを受け入れて、信頼するべきだと思う」
「それは…っ!」
「ジョッシュ殿とエミリーのことがわかった時、2人を引き離すにはどうすればいいのかレイヴン殿下が一緒に考えてくれたよね。ジェーンのことを考えると悪い方に転がってしまったけれど、レイヴン殿下は真剣に考えてくれていた。ジェーンのことをもっと早い段階で相談していたら、もっと違う結果になっていたのかもしれない。レイヴン殿下は信頼して良い方だと僕は思う」
「私も…、今はそう思います」
アリシアが頷くと、レオナルドは少し寂しそうに笑った。
「もっと早く気がつくべきだった。これからはアリシアが困った時、最初に頼るのは僕じゃない。レイヴン殿下だ。本当はもうずっと前からそうしないといけなかった」
レオナルドの淋しそうな顔にアリシアは戸惑ってしまう。
アリシアが一番に信頼しているのはレオナルドだ。
困った時はレオナルドが助けてくれる。
辛い時に慰めてくれたのもレオナルドだ。
レオナルドはいつだって傍で話を聞いてくれる。
アリシアはこれまでレイヴンに相談をしたことがない。
レイヴンの前で弱音を吐いたこともない。
婚約者として、王太子妃として、何かあれば報告をした。指示があれば従った。
2人の関係はそれだけのものでしかなかったのだ。
最近は普通の会話も交わすようになったけれど、そこまで踏み込んだ話はしていない。
「これからは僕に聞いて欲しいと思ったことを、まずはレイヴン殿下に話すんだ。レイヴン殿下なら絶対にアリシアの力になってくれる」
レオナルドの言うことは理解できる。
それにアリシアも、レイヴンとの関係を変えていこうと思っている。
だけど。
「お兄様はもう会いに来てくださらないの?」
アリシアの目が潤むのを見て、レオナルドが苦笑する。
昔からアリシアの涙にレオナルドは弱い。
「そんなことはないよ。だけどアリシアの一番近くにいるのはレイヴン殿下だろう?それに僕もそろそろ結婚しないとね」
「――お兄様、結婚するの?」
「公爵家の跡取りとしてはこれ以上引き延ばせないだろう。父上や母上はやきもきしているはずだよ」
確かにそれはその通りだ。
レオナルドは公爵家の跡取りなのにまだ結婚していない。それどころか婚約者もいないのだ。
レオナルドはこれまで、結婚することも婚約者を作ることも拒んでいた。
アダムやオレリアが度々苦言を呈していたのを知っている。
アリシアは無言で立ち上がると、向かいのソファに座っているレオナルドの隣に移って抱き着いた。
涙が零れない様に堪えている。
「――なんだかお兄様が遠くへ行ってしまうみたい」
「結婚しているのはアリシアなのに、おかしなことを言うね」
レオナルドは笑ってアリシアの髪を撫でてくれるけれど、寂しさが込み上げてくる。
アリシアがこれまで一番信頼し、頼っていたのはレオナルドだ。
レオナルドもそれに答えてくれていた。
だけどこれからは違う。
アリシアはレイヴンを一番に頼り、レオナルドが一番に思うのは婚約者であり、妻となる。
アリシアがレイヴンとの関係を変えていくように、レオナルドとの関係も変えていかなければならないのだ。
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