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3章
27 ドレス作り①
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ジェーンを新しい部屋へ招く機会は思いの外早く訪れた。
使節団はアルスタで舞踏会や晩餐会に参加する。
ジェーンが今持っているドレスはほとんどがアリシアから譲られたものだ。
その他にルトビア公爵一族の集まりに参加する際に作られたものや、卒業パーティーで着たものがルトビア公爵邸で保管されているのだが、アルスタの王宮で着るものとして相応しいとはとても言えない。
その為アダムがアルスタで着る為のドレスを数着作ると言い出したのだ。
ジェーンは初め、既製品を買うだけで構わないと言っていたのだが、既製品を買うにしても今はルトビア公爵家が支払いをすることになる。それならば作った方が良い。
そう言わるとジェーンに断ることはできなかった。
そこでアリシアは、デザインや生地を一緒に選びたいからと言ってデザイナーをアリシアの部屋へ呼ぶことにしたのだ。
ドレスを1着作るにも決めることはたくさんある。
ジェーンの研修が休みの日に合わせて王都で人気のある服飾店のデザイナーが数人呼ばれていた。
ジェーンはいつも訪れているアリシアの部屋を使うものだと思っていた。
だけどその部屋にはアリシアしかおらず、出迎えたアリシアが向かい側の部屋を使うのだと言う。
不思議に思いながらもアリシアについて移動したジェーンは、扉が開いた時ただ驚いた。
「まあ…」
そう言ったままぽかんとして立っているジェーンの様子をアリシアが窺う。
「とても素敵なお部屋ですわ。流石、殿下はアリシア様を深く愛しておられますね」
しばらくして気を取り直したジェーンが微笑む。
ジェーンはこの部屋がレイヴンからの贈り物だとすぐにわかったようだ。
部屋の中ではデザイナーとアシスタントが所在無さげに待っていた。
扉が開いてアリシアたちが姿を見せると一斉に立ち上がる。
彼女たちは仕事柄頻繁に高位貴族の邸に出入りしているので調度品の価値を理解している。
リトマインの調度品を使っている貴族はたくさんいるが、一部屋すべてがリトマインという家などない。リトマインは超高級ブランドなのだ。
粗相をして傷でもつけたら大変なことになると、彼女たちは内心竦み上がっていた。
「こうして見ると、まるでカタログを見ているようですわね」
部屋の中を一望したジェーンが感心したように笑う。
その笑顔は自然なもので無理をしているような様子は見えない。
アリシアはほっとして息を吐いた。
部屋の奥にはまだ使用したことがない天蓋付きのベッドがある。
アリシアはあのベッドを初めて見た時、部屋を移されるのだと思った。
冷静になって考えてみればわかることだが、あのベッドが使用する為のものならば入室した者からすぐに見えるような場所には置かない。せめて周りに仕切りを置くだろう。
これでは寝室に客人を招いているようなものだ。
そうではなく、レイヴンはあのベッドを部屋の装飾の1つにしか考えていなかった。
ジェーンが言ったようにカタログを再現したようなもので、ドールハウスを大きくしたようでもある。
それがわかるからジェーンやデザイナーたちでさえあのベッドの存在を不審とは思わない。
過剰な反応をしたのはアリシアだけと言うことだ。
恥ずかしくなったアリシアは、そんな思いを振り切るように部屋の中へと進む。
デザイナーたちから挨拶を受けた後、向かいのソファへジェーンと並んで座った。
使節団はアルスタで舞踏会や晩餐会に参加する。
ジェーンが今持っているドレスはほとんどがアリシアから譲られたものだ。
その他にルトビア公爵一族の集まりに参加する際に作られたものや、卒業パーティーで着たものがルトビア公爵邸で保管されているのだが、アルスタの王宮で着るものとして相応しいとはとても言えない。
その為アダムがアルスタで着る為のドレスを数着作ると言い出したのだ。
ジェーンは初め、既製品を買うだけで構わないと言っていたのだが、既製品を買うにしても今はルトビア公爵家が支払いをすることになる。それならば作った方が良い。
そう言わるとジェーンに断ることはできなかった。
そこでアリシアは、デザインや生地を一緒に選びたいからと言ってデザイナーをアリシアの部屋へ呼ぶことにしたのだ。
ドレスを1着作るにも決めることはたくさんある。
ジェーンの研修が休みの日に合わせて王都で人気のある服飾店のデザイナーが数人呼ばれていた。
ジェーンはいつも訪れているアリシアの部屋を使うものだと思っていた。
だけどその部屋にはアリシアしかおらず、出迎えたアリシアが向かい側の部屋を使うのだと言う。
不思議に思いながらもアリシアについて移動したジェーンは、扉が開いた時ただ驚いた。
「まあ…」
そう言ったままぽかんとして立っているジェーンの様子をアリシアが窺う。
「とても素敵なお部屋ですわ。流石、殿下はアリシア様を深く愛しておられますね」
しばらくして気を取り直したジェーンが微笑む。
ジェーンはこの部屋がレイヴンからの贈り物だとすぐにわかったようだ。
部屋の中ではデザイナーとアシスタントが所在無さげに待っていた。
扉が開いてアリシアたちが姿を見せると一斉に立ち上がる。
彼女たちは仕事柄頻繁に高位貴族の邸に出入りしているので調度品の価値を理解している。
リトマインの調度品を使っている貴族はたくさんいるが、一部屋すべてがリトマインという家などない。リトマインは超高級ブランドなのだ。
粗相をして傷でもつけたら大変なことになると、彼女たちは内心竦み上がっていた。
「こうして見ると、まるでカタログを見ているようですわね」
部屋の中を一望したジェーンが感心したように笑う。
その笑顔は自然なもので無理をしているような様子は見えない。
アリシアはほっとして息を吐いた。
部屋の奥にはまだ使用したことがない天蓋付きのベッドがある。
アリシアはあのベッドを初めて見た時、部屋を移されるのだと思った。
冷静になって考えてみればわかることだが、あのベッドが使用する為のものならば入室した者からすぐに見えるような場所には置かない。せめて周りに仕切りを置くだろう。
これでは寝室に客人を招いているようなものだ。
そうではなく、レイヴンはあのベッドを部屋の装飾の1つにしか考えていなかった。
ジェーンが言ったようにカタログを再現したようなもので、ドールハウスを大きくしたようでもある。
それがわかるからジェーンやデザイナーたちでさえあのベッドの存在を不審とは思わない。
過剰な反応をしたのはアリシアだけと言うことだ。
恥ずかしくなったアリシアは、そんな思いを振り切るように部屋の中へと進む。
デザイナーたちから挨拶を受けた後、向かいのソファへジェーンと並んで座った。
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