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3章
45 小休憩①
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「アリシア!!」
「えっ?!」
勢いよく扉を開け放ち、飛び込んできたレイヴンに誰もが驚いた。
さっと立ち上がったジェーンとノティスを無視したレイヴンは、アリシアを腕の中に囲い込むとノティスを睨みつける。
「アリシアに何の用だ?ノティス」
「レイヴン様…?」
初めて聞くような底冷えする声と鋭い視線にアリシアは戸惑い、ノティスは頭を下げたまま硬直している。
レイヴンはノティスを嫌っているわけではない。
マルグリットの元へ来たばかりの頃は、それまでの態度に辟易していたこともあって極力近づかない様にしていたが、真面目に教育を受けるようになってからは他の弟妹たちと同じ様に扱っているし、思っている。
だけど以前側妃やノティスがアリシアに見せていた態度を忘れたわけではない。
今のノティスは、あの頃のノティスと違うとわかっているが、アリシアにどんな感情を持っているのかわからないのだ。
普段正殿から出ることのないノティスがここまで来たというだけで既に異常なことである。
レイヴンからしてみれば警戒して当然のことだった。
「あ、異母兄…」
レイヴンの怒気に当てられたノティスは挨拶をすることもできずに震えている。
ノティスがこんなに怒ったレイヴンを見るのは初めてだ。
「ノティス殿下は挨拶に来て下さっただけですわ」
2人の様子を見兼ねたアリシアが、ノティスに害意がないことを伝えようとするが、まだレイヴンの警戒は解けない。
「…挨拶?なぜ今更?」
「私ではありません。ジェーンですわ。婚約者候補であるジェーンへ挨拶に来て下さったのです」
「アリシア様の仰る通りですわ。ノティス殿下は噂を聞いて、私を心配して下さったのです」
ジェーンが口添える。
アリシアだけではなくジェーンまでそう言うのであれば本当のことなのだろう。
レイヴンは体の力を抜いてアリシアから腕を離した。
「すまない、ノティス。急にアリシアを訪ねてきたと聞いて取り乱した」
「いえ、わたしこそ先触れもなく訪ねてしまいました。先に異母兄の許可をいただくべきでしたのに、申し訳ありません」
ノティスはまだ震えているが、しっかりとレイヴンに向き合い挨拶をしている。
ジェーンも挨拶と同時に勝手に発言したことを詫びていた。
レイヴンはジェーンに私的な場所での自由な発言を許しているが、ノティスがいることで今は私的な場面ではないと判断したのだろう。
レイヴンがジェーンに自由な発言を許したのは、アリシアたち4人の中に入りたかったからだ。
レオナルドもジェーンも私的な場所では話をするのにアリシアの許可を取らない。
それはアリシアが自由な発言を許しているからだが、彼らはアリシアにとって親族である。
だけどレイヴンは違う。
これも変えないといけないことかな、とレイヴンが考えたのが分かったかのように、「必要ございませんわ」とアリシアが言った。
「疚しいことなどないのですから、態度を変える必要はありません。ジェーンは私の従姉であり、これからもその関係は変わらないのですから、態度を変えた方が要らぬ憶測を生むものです」
その通りだった。
結局何をしても、しなくても邪推する者はいる。
アリシアと並んで座りながらレイヴンは溜息をつく。
そんなレイヴンを慰めるようにアリシアが背中に触れた。
「えっ?!」
勢いよく扉を開け放ち、飛び込んできたレイヴンに誰もが驚いた。
さっと立ち上がったジェーンとノティスを無視したレイヴンは、アリシアを腕の中に囲い込むとノティスを睨みつける。
「アリシアに何の用だ?ノティス」
「レイヴン様…?」
初めて聞くような底冷えする声と鋭い視線にアリシアは戸惑い、ノティスは頭を下げたまま硬直している。
レイヴンはノティスを嫌っているわけではない。
マルグリットの元へ来たばかりの頃は、それまでの態度に辟易していたこともあって極力近づかない様にしていたが、真面目に教育を受けるようになってからは他の弟妹たちと同じ様に扱っているし、思っている。
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今のノティスは、あの頃のノティスと違うとわかっているが、アリシアにどんな感情を持っているのかわからないのだ。
普段正殿から出ることのないノティスがここまで来たというだけで既に異常なことである。
レイヴンからしてみれば警戒して当然のことだった。
「あ、異母兄…」
レイヴンの怒気に当てられたノティスは挨拶をすることもできずに震えている。
ノティスがこんなに怒ったレイヴンを見るのは初めてだ。
「ノティス殿下は挨拶に来て下さっただけですわ」
2人の様子を見兼ねたアリシアが、ノティスに害意がないことを伝えようとするが、まだレイヴンの警戒は解けない。
「…挨拶?なぜ今更?」
「私ではありません。ジェーンですわ。婚約者候補であるジェーンへ挨拶に来て下さったのです」
「アリシア様の仰る通りですわ。ノティス殿下は噂を聞いて、私を心配して下さったのです」
ジェーンが口添える。
アリシアだけではなくジェーンまでそう言うのであれば本当のことなのだろう。
レイヴンは体の力を抜いてアリシアから腕を離した。
「すまない、ノティス。急にアリシアを訪ねてきたと聞いて取り乱した」
「いえ、わたしこそ先触れもなく訪ねてしまいました。先に異母兄の許可をいただくべきでしたのに、申し訳ありません」
ノティスはまだ震えているが、しっかりとレイヴンに向き合い挨拶をしている。
ジェーンも挨拶と同時に勝手に発言したことを詫びていた。
レイヴンはジェーンに私的な場所での自由な発言を許しているが、ノティスがいることで今は私的な場面ではないと判断したのだろう。
レイヴンがジェーンに自由な発言を許したのは、アリシアたち4人の中に入りたかったからだ。
レオナルドもジェーンも私的な場所では話をするのにアリシアの許可を取らない。
それはアリシアが自由な発言を許しているからだが、彼らはアリシアにとって親族である。
だけどレイヴンは違う。
これも変えないといけないことかな、とレイヴンが考えたのが分かったかのように、「必要ございませんわ」とアリシアが言った。
「疚しいことなどないのですから、態度を変える必要はありません。ジェーンは私の従姉であり、これからもその関係は変わらないのですから、態度を変えた方が要らぬ憶測を生むものです」
その通りだった。
結局何をしても、しなくても邪推する者はいる。
アリシアと並んで座りながらレイヴンは溜息をつく。
そんなレイヴンを慰めるようにアリシアが背中に触れた。
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