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3章
46 小休憩②
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「今もノティス殿下とその話をしていたのですわ。殿下はレイヴン様とジェーンのことをとても心配して下さっていましたのよ」
レイヴンがノティスへ視線を向けると、ノティスは何故か赤くなって俯いた。
「それで、レイヴン様のお許しをいただきたいのですが、ノティス殿下とジェーンが婚約者候補として交流を持つ場を提供したいのです。ジェーンが私を訪ねて来る時にノティス殿下もいらっしゃるようお話したのですが、よろしいでしょうか」
先程勝手に決めてしまったアリシアだったが、レイヴンの反応を見て許可を得ておいた方が良いと思い直していた。
「それは…」
レイヴンが口ごもる。
何かを疑っているわけではないが、異母弟といえども他の男がアリシアの部屋へ通うのは認めたくない。
そもそもノティスは婚約の話に乗り気だったのか。
アリシアは思案するレイヴンの様子を窺っていたが、ハッとしてジェーンを振り返った。
「申し訳ありません、レイヴン様。詳しいお話は後程でもよろしいでしょうか。ジェーンが戻らないといけない時間なので」
申し訳なさそうなアリシアの声にレイヴンもハッとする。
そういえばもう休憩が終わる時間だ。
ジェーンの立場上、レイヴンのいる部屋から先に退室したいとは言い出せない。
レイヴンが考えておくべきことだった。
「退室して構わない。気がつかなくて申し訳なかった」
「いいえ、とんでもございません。あの、殿下。私も殿下にお話したいことがあるのですが、後程また伺ってもよろしいでしょうか」
「ああ。では夕食の後で、アリシアの話と一緒に聞かせてもらおうかな。ノティスは来なくても構わないよ」
他意はなくてもジェーンと2人になるのは避けた方が良い。
だからアリシアの部屋で一緒に話を聞くことにした。
来なくて構わないと言われたノティスは少し躊躇った後、「わたしにも関係があることなのでお伺いしたいです」と答えた。
その答えにレイヴンが目を丸くする。
そんなレイヴンにアリシアが、「ノティス殿下も変わろうとされているのですわ」と囁いた。
許可を得て退室したジェーンの急いだ足音が遠ざかっていく。
ノティスも礼をして退室していった。
「レイヴン様はまだ戻らなくてもよろしいのですか?」
レイヴンの休憩も本来なら終わっている時間だ。
アリシアは気にしているが、今はまだキャロルが執務室の前にいるかもしれない。
戻りたくないレイヴンは、アリシアを抱き寄せた。
レイヴンの執務時間は一応決まっているけれど、きっちり守らなくてはいけないものではない。
「折角会えたんだから、暫くこうしていたいな。レオナルドにもこれまで通りアリシアを寵愛するよう言われたしね」
「…少しだけですよ」
仕方ないですね、と困った様に応えたアリシアが、力を抜いてそっとレイヴンに凭れかかる。
レイヴンの我儘に応えたかたちだが、アリシアの顔には柔らかい笑みが浮かんでいた。
それが嬉しくて、レイヴンはアリシアの目尻や耳元に何度も口づけを落とす。
アリシアの気持ちは自覚しているよりもずっとレイヴンに傾いてきている。
ジェーンが見ていたら微笑ましく思ったことだろう。
レイヴンがノティスへ視線を向けると、ノティスは何故か赤くなって俯いた。
「それで、レイヴン様のお許しをいただきたいのですが、ノティス殿下とジェーンが婚約者候補として交流を持つ場を提供したいのです。ジェーンが私を訪ねて来る時にノティス殿下もいらっしゃるようお話したのですが、よろしいでしょうか」
先程勝手に決めてしまったアリシアだったが、レイヴンの反応を見て許可を得ておいた方が良いと思い直していた。
「それは…」
レイヴンが口ごもる。
何かを疑っているわけではないが、異母弟といえども他の男がアリシアの部屋へ通うのは認めたくない。
そもそもノティスは婚約の話に乗り気だったのか。
アリシアは思案するレイヴンの様子を窺っていたが、ハッとしてジェーンを振り返った。
「申し訳ありません、レイヴン様。詳しいお話は後程でもよろしいでしょうか。ジェーンが戻らないといけない時間なので」
申し訳なさそうなアリシアの声にレイヴンもハッとする。
そういえばもう休憩が終わる時間だ。
ジェーンの立場上、レイヴンのいる部屋から先に退室したいとは言い出せない。
レイヴンが考えておくべきことだった。
「退室して構わない。気がつかなくて申し訳なかった」
「いいえ、とんでもございません。あの、殿下。私も殿下にお話したいことがあるのですが、後程また伺ってもよろしいでしょうか」
「ああ。では夕食の後で、アリシアの話と一緒に聞かせてもらおうかな。ノティスは来なくても構わないよ」
他意はなくてもジェーンと2人になるのは避けた方が良い。
だからアリシアの部屋で一緒に話を聞くことにした。
来なくて構わないと言われたノティスは少し躊躇った後、「わたしにも関係があることなのでお伺いしたいです」と答えた。
その答えにレイヴンが目を丸くする。
そんなレイヴンにアリシアが、「ノティス殿下も変わろうとされているのですわ」と囁いた。
許可を得て退室したジェーンの急いだ足音が遠ざかっていく。
ノティスも礼をして退室していった。
「レイヴン様はまだ戻らなくてもよろしいのですか?」
レイヴンの休憩も本来なら終わっている時間だ。
アリシアは気にしているが、今はまだキャロルが執務室の前にいるかもしれない。
戻りたくないレイヴンは、アリシアを抱き寄せた。
レイヴンの執務時間は一応決まっているけれど、きっちり守らなくてはいけないものではない。
「折角会えたんだから、暫くこうしていたいな。レオナルドにもこれまで通りアリシアを寵愛するよう言われたしね」
「…少しだけですよ」
仕方ないですね、と困った様に応えたアリシアが、力を抜いてそっとレイヴンに凭れかかる。
レイヴンの我儘に応えたかたちだが、アリシアの顔には柔らかい笑みが浮かんでいた。
それが嬉しくて、レイヴンはアリシアの目尻や耳元に何度も口づけを落とす。
アリシアの気持ちは自覚しているよりもずっとレイヴンに傾いてきている。
ジェーンが見ていたら微笑ましく思ったことだろう。
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