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3章
56 夜の始まり
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夜の支度を終えたレイヴンは寝室でアリシアを待っていた。
ジェーンが議会で話をするというのはあの場で決められるようなことではなく、あのあとすぐに解散となった。
ただ、ノティスはジェーンと交流を持つことを望み、レイヴンがそれを認めたので、お茶会には次回から参加することになった。
解散して退室していく時、レオナルドはアリシアを抱き締めて何かを言っていた。
あれは退室の挨拶などではないだろう。レオナルドはアリシアに何かがあったことに気がついている。
アリシアを慰めていたのかもしれないが、表立っては何も言わなかった。
アリシアの部屋から続く扉が開らく音がして、レイヴンはバッとそちらへ顔を向けた。
いつもと違って俯き気味のアリシアが入ってきたばかりのところで躊躇っているように見える。
「アリシア!」
レイヴンは急いでアリシアの傍まで行って抱き締めた。
話し合いの間は気を張っていつも通りに振舞っていたけれど、レイヴンと顔を合わせ辛いのだとわかっている。
ただアリシアは気づいていないだろうが、これまでは例えそうであったとしてもそれを態度に出すことはなかった。少し前のアリシアなら、何事もなかったかのように顔を上げて入ってきたはずだ。
「レイヴン様、先程は見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした」
「言っただろう?僕はどんなアリシアでも愛している。見苦しくなんかない」
体を強張らせて謝るアリシアの髪を撫で、旋毛に口づける。
夜着になり、コルセットをつけていないアリシアはとても柔らかい。
抱き締めているだけで下半身に熱が溜まっていくけれど、今日は疲れているはずだ。
アリシアはレイヴンが閨を望めば絶対に断らない。
だから高まる熱に気づかせない様にレイヴンが堪えなければならない。
抱き締めていた腕を解いて体を離し、アリシアの背中へ手をまわす。
「今日は疲れただろうから、このままゆっくり休もう」
「…今日は致しませんの?」
アリシアのか細い声が震えている。
レイヴンはハッとしてアリシアの顔を見た。
上目づかいで見上げるアリシアの目を見たレイヴンは、気遣ったつもりで間違えたことに気がついた。
「ごめん、アリシア。やっぱり抱かせて欲しい!!」
レイヴンは言いながらアリシアを横抱きにして抱き上げた。
アリシアから悲鳴が漏れる。
「大丈夫だよ、絶対に落とさないから」
そう言ってそのままベッドへ向かう。
ベッドまでそれほど距離があるわけでもない。
アリシアをベッドへ降ろすと、不安げな目がレイヴンを見ていた。
その目には見覚えがある。
レイヴンがまだアリシアを馬鹿にして見下していた頃、マルグリットのお茶会でレイヴンへ向けていた目だ。
今日アリシアはこれまで隠し通していた弱いところをレイヴンに見せてしまった。
感情を晒して取り乱し、恐慌に陥った姿は王太子妃として相応しいとは思えない。
レイヴンは疲れているアリシアをゆっくり休ませたいと思っただけだ、
だけどアリシアは、「見苦しくなんかない」と言いながら閨を求めないレイヴンに、見捨てられるのではないかと恐れている。
「愛してるよ、アリシア」
そう言ってレイヴンはアリシアに口づけた。
角度を変えて何度も繰り返す。
繰り返す内に口づけは深くなっていった。
「んっ!ぅん…んっ」
舌を入れてアリシアの舌と絡ませると甘い声が漏れる。
唇を離した時、アリシアの息は弾んでいた。
「ごめんね、アリシア。疲れてると思うけど、1回だけ抱かせてくれるかな」
そう言ってレイヴンは首筋に唇を這わせながら夜着に手を掛けた。
ジェーンが議会で話をするというのはあの場で決められるようなことではなく、あのあとすぐに解散となった。
ただ、ノティスはジェーンと交流を持つことを望み、レイヴンがそれを認めたので、お茶会には次回から参加することになった。
解散して退室していく時、レオナルドはアリシアを抱き締めて何かを言っていた。
あれは退室の挨拶などではないだろう。レオナルドはアリシアに何かがあったことに気がついている。
アリシアを慰めていたのかもしれないが、表立っては何も言わなかった。
アリシアの部屋から続く扉が開らく音がして、レイヴンはバッとそちらへ顔を向けた。
いつもと違って俯き気味のアリシアが入ってきたばかりのところで躊躇っているように見える。
「アリシア!」
レイヴンは急いでアリシアの傍まで行って抱き締めた。
話し合いの間は気を張っていつも通りに振舞っていたけれど、レイヴンと顔を合わせ辛いのだとわかっている。
ただアリシアは気づいていないだろうが、これまでは例えそうであったとしてもそれを態度に出すことはなかった。少し前のアリシアなら、何事もなかったかのように顔を上げて入ってきたはずだ。
「レイヴン様、先程は見苦しいところをお見せして申し訳ありませんでした」
「言っただろう?僕はどんなアリシアでも愛している。見苦しくなんかない」
体を強張らせて謝るアリシアの髪を撫で、旋毛に口づける。
夜着になり、コルセットをつけていないアリシアはとても柔らかい。
抱き締めているだけで下半身に熱が溜まっていくけれど、今日は疲れているはずだ。
アリシアはレイヴンが閨を望めば絶対に断らない。
だから高まる熱に気づかせない様にレイヴンが堪えなければならない。
抱き締めていた腕を解いて体を離し、アリシアの背中へ手をまわす。
「今日は疲れただろうから、このままゆっくり休もう」
「…今日は致しませんの?」
アリシアのか細い声が震えている。
レイヴンはハッとしてアリシアの顔を見た。
上目づかいで見上げるアリシアの目を見たレイヴンは、気遣ったつもりで間違えたことに気がついた。
「ごめん、アリシア。やっぱり抱かせて欲しい!!」
レイヴンは言いながらアリシアを横抱きにして抱き上げた。
アリシアから悲鳴が漏れる。
「大丈夫だよ、絶対に落とさないから」
そう言ってそのままベッドへ向かう。
ベッドまでそれほど距離があるわけでもない。
アリシアをベッドへ降ろすと、不安げな目がレイヴンを見ていた。
その目には見覚えがある。
レイヴンがまだアリシアを馬鹿にして見下していた頃、マルグリットのお茶会でレイヴンへ向けていた目だ。
今日アリシアはこれまで隠し通していた弱いところをレイヴンに見せてしまった。
感情を晒して取り乱し、恐慌に陥った姿は王太子妃として相応しいとは思えない。
レイヴンは疲れているアリシアをゆっくり休ませたいと思っただけだ、
だけどアリシアは、「見苦しくなんかない」と言いながら閨を求めないレイヴンに、見捨てられるのではないかと恐れている。
「愛してるよ、アリシア」
そう言ってレイヴンはアリシアに口づけた。
角度を変えて何度も繰り返す。
繰り返す内に口づけは深くなっていった。
「んっ!ぅん…んっ」
舌を入れてアリシアの舌と絡ませると甘い声が漏れる。
唇を離した時、アリシアの息は弾んでいた。
「ごめんね、アリシア。疲れてると思うけど、1回だけ抱かせてくれるかな」
そう言ってレイヴンは首筋に唇を這わせながら夜着に手を掛けた。
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