【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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3章

71 後始末

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「ジェーン嬢の様子はどうだ?」

 翌日の執務室。
 レイヴンはレオナルドと向かい合っていた。

「昨日はやはり疲れていたようで早々に休んでいましたが、今日はいつも通りに朝食を摂っていましたので心配いりません。議会でのことも、想定していたことだから問題ないと笑っていました。…半分は強がりですが、半分は本心でしょうね」

「そうか。ジェーン嬢には辛い役目をさせてしまい、申し訳ないと思っている」

「まあ、本人が望んでしたことですからね。後悔はしていないと思いますよ。これまでは自分が望んだことを何も出来ずにいましたから、望んだことが出来るのが嬉しいのでしょう。…こんなことは望まないで欲しいのですけどね。アリシアの様子は如何ですか?」

「同じだよ。想定していたことだから大丈夫だと笑っていた。…半分は強がりで、半分は本心だろうな」

「自分の気持ちを殺すことに慣れている2人ですからね。…嫌味ではないですよ?」

「…わかってるよ」

 感情を完全に切り捨てようとしていたアリシアは極端だが、妃教育とはそういったものだ。
 辛いことがあっても強がっている内にそれが本心になる。
 置かれた状況は違っているが、2人ともそんな育ち方をしている。

「レオの顔を見たら安心するだろうから、会いに行ってやって欲しい」

「そうですね。夕方ジェーンが王宮へ着きましたら離宮まで送りますので、その後に寄らせていただきます」

 以前であれば言われなくても会いに行っていた。だけど最近は少し距離を置いている。
 アリシアには夫を頼れるようになって欲しい。
 そう思ってはいても、アリシアを案じる気持ちに変わりはない。

「それで…わかりましたか?」

「ああ。ちゃんと顔を確認した」

 レイヴンは1枚の紙をすっとレオナルドへ渡した。
 レオナルドが目を通して頷く。

「わたしが確認した者たちとすべて一致しています」

 アリシアには言っていないが、レイヴンは昨日議会でジェーンがレイヴンの情婦だと言い立てた者たちの顔を覚えていた。
 全員が年頃で未婚の娘を持つ貴族だった。

「ジェーンの話でいくつかの噂が自然と否定されましたから、彼らも焦っていたのでしょうね」

 娘をレイヴンの側妃にしたい者たちは、レイヴンとジェーンが愛人関係だと思わせることで、レイヴンとアリシアの仲を壊そうとしている。
 その噂の大元となった話が大勢の前で否定され、今後は継承権に絡めた噂を立てることができなくなる。
 焦った彼らは、2人の噂を言い立てることでジェーンが話したことの信憑性を損なわせようとし、更には議場にいる者たちに2人が愛人関係にあると思わせようとした。

「こんな家の令嬢なんて、何があっても絶対に娶らないからな」

 どんな相手であっても側妃を迎えるつもりはないが、こんな家の令嬢など論外である。

「当然です。今、各家について調査させていますから、何か見つかればすぐに側妃などと呑気なことを言ってられなくしてやりますよ」

 昔、アリシアの扇を踏みつけ、傷つけたケンドラやルーシーは社交界にもういない。
 あの夜会の数か月後、レオナルドがガルシア侯爵家とエルナンデス伯爵家がこれまで行ってきた不正を細かいものまで全て洗い出した。
 その結果、二家の者は社交界から姿を消した。二度と表に出てくることはないだろう。

 ジェーンとの噂に関してレイヴンが何かをすることはできない。
 だがジェーンの後見人はルトビア公爵である。
 ルトビア公爵家がジェーンを不当に貶めた者たちに報復するのは何らおかしなことではないのだ。




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