219 / 697
3章
74 1人の夜の過ごし方
しおりを挟む
アリシアはレイヴンからしばらくの間、夕食の後国王の執務室に詰めることになったと聞いた時、継承権についての状況が大きく動き出したことを嬉しく思っただけで、他には何も感じなかった。
それなのに久しぶりに1人で夜の時間を過ごした後、寝室へ入った時になぜか寂しいような気持ちになっていた。
理由のわからないそんな気持ちを紛らわせようと、アリシアは途中になっていた本の続きを読むことにする。
レイヴンと一緒に過ごすようになってから1人で過ごす時間がなくなっていたので、読書をするのは本当に久しぶりだった。
そうしてどれくらいの時間本を読んでいたのか、寝室の扉が開く音がしてそちらを振り返ると、驚いた顔でアリシアを見ているレイヴンがいた。
視線が合うとその顔がパッと喜びの色に変わる。
「寝ないで待っててくれたの?」
「本を読んでいただけですわ」
満面の笑みを浮かべてベッドへとやってくるレイヴンに、アリシアは気まずくなって視線を逸らす。
そうしながらも、アリシアは読書に集中しているはずの間も消えなかった寂寥感が、レイヴンの姿を見た途端に消えてしまったことに気がついていた。
「会いたかったよ、アリシア。寂しかった」
ぎゅっと抱き締められる。
レイヴンは少しでも離れているとすぐに「寂しかった」という。
いつも大袈裟だと思っていたのに、自分も同じ気持ちだったのだと気がついたアリシアは驚きを感じていた。
レイヴンは嬉しそうに額や目尻に口づけを落としていく。
唇に口づけられたアリシアは、その後のことを悟って手探りのままサイドテーブルへと本を置いた。
そのまま重なるようにしてベッドへ横になる。
長い1日で疲れているはずのレイヴンは驚くほど元気だった。
アリシアは知らないが、レイヴンは夜の時間を会合に当てることになった時に、しばらく夜のことは無理だと諦めていた。それどころかアリシアと話をすることもできず、寝顔を見ることしかできないと思っていたのだ。
それなのにアリシアが寝ないで待っていてくれた。
それだけでレイヴンが浮かれるには十分である。
こうして浮かれ切ったレイヴンに、アリシアは散々揺さぶられることになるのだった。
そして次の日の夜、アリシアはまた本を読んでいた。
寂しいからではない。
夜の会合が行われている内に読み切ってしまわなければ、また読めなくなってしまう。それにアリシアが起きているだけでレイヴンがあんなに喜ぶのなら、起きているのも悪くないと思ったのだ。
それが自分に対する言い訳なのだと、アリシアは思ってもいない。
それでも待ちきれずに眠ってしまう時がある。
そんな時は翌日目が覚めるとレイヴンに抱き締められていて、手に持っていたはずの本はサイドテーブルの上に戻されている。
いつもに比べて体が軽くすっきりと起きられるのは、夜のことが行われずに長く眠れたからだろう。
反対にレイヴンは疲れているようで、いつもはアリシアよりも先に起きているのに、ぎりぎりの時間まで眠っている。
レイヴンの寝顔を見つめたアリシアは、疲れが溜まっているのだと可哀想に思っていた。
眠っているアリシアを抱き締めたレイヴンが、下半身に集まる熱の為に寝付けずにいることなど考えつきもしないのだった。
それなのに久しぶりに1人で夜の時間を過ごした後、寝室へ入った時になぜか寂しいような気持ちになっていた。
理由のわからないそんな気持ちを紛らわせようと、アリシアは途中になっていた本の続きを読むことにする。
レイヴンと一緒に過ごすようになってから1人で過ごす時間がなくなっていたので、読書をするのは本当に久しぶりだった。
そうしてどれくらいの時間本を読んでいたのか、寝室の扉が開く音がしてそちらを振り返ると、驚いた顔でアリシアを見ているレイヴンがいた。
視線が合うとその顔がパッと喜びの色に変わる。
「寝ないで待っててくれたの?」
「本を読んでいただけですわ」
満面の笑みを浮かべてベッドへとやってくるレイヴンに、アリシアは気まずくなって視線を逸らす。
そうしながらも、アリシアは読書に集中しているはずの間も消えなかった寂寥感が、レイヴンの姿を見た途端に消えてしまったことに気がついていた。
「会いたかったよ、アリシア。寂しかった」
ぎゅっと抱き締められる。
レイヴンは少しでも離れているとすぐに「寂しかった」という。
いつも大袈裟だと思っていたのに、自分も同じ気持ちだったのだと気がついたアリシアは驚きを感じていた。
レイヴンは嬉しそうに額や目尻に口づけを落としていく。
唇に口づけられたアリシアは、その後のことを悟って手探りのままサイドテーブルへと本を置いた。
そのまま重なるようにしてベッドへ横になる。
長い1日で疲れているはずのレイヴンは驚くほど元気だった。
アリシアは知らないが、レイヴンは夜の時間を会合に当てることになった時に、しばらく夜のことは無理だと諦めていた。それどころかアリシアと話をすることもできず、寝顔を見ることしかできないと思っていたのだ。
それなのにアリシアが寝ないで待っていてくれた。
それだけでレイヴンが浮かれるには十分である。
こうして浮かれ切ったレイヴンに、アリシアは散々揺さぶられることになるのだった。
そして次の日の夜、アリシアはまた本を読んでいた。
寂しいからではない。
夜の会合が行われている内に読み切ってしまわなければ、また読めなくなってしまう。それにアリシアが起きているだけでレイヴンがあんなに喜ぶのなら、起きているのも悪くないと思ったのだ。
それが自分に対する言い訳なのだと、アリシアは思ってもいない。
それでも待ちきれずに眠ってしまう時がある。
そんな時は翌日目が覚めるとレイヴンに抱き締められていて、手に持っていたはずの本はサイドテーブルの上に戻されている。
いつもに比べて体が軽くすっきりと起きられるのは、夜のことが行われずに長く眠れたからだろう。
反対にレイヴンは疲れているようで、いつもはアリシアよりも先に起きているのに、ぎりぎりの時間まで眠っている。
レイヴンの寝顔を見つめたアリシアは、疲れが溜まっているのだと可哀想に思っていた。
眠っているアリシアを抱き締めたレイヴンが、下半身に集まる熱の為に寝付けずにいることなど考えつきもしないのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,708
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる