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3章
100 現状確認①
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「バルコニーから見ていた時も美しいと思っていましたけれど、こうして見ると本当に素晴らしい庭園ですわ。お兄様もお義姉様の為なら中々やりますわね」
カナリーの言葉にアリシアは苦笑する。
ここはアリシアやレイヴンの部屋に面した庭園である。
カナリーは王女なので王宮のほとんどの場所へ好きに出入りすることができるが、王太子宮だけはそうはいかない。レイヴンかアリシアの許可が無ければ、ここへ立ち入ることはできないのだ。
レイヴンはクラーク伯爵家の夜会へ行った頃から連日国王の執務室へ詰めることは無くなった。
その代わりに今度は週に数回の頻度で夜会や紳士クラブへ顔を出すようになっている。
アリシアと同行できる夜会はともかく、紳士クラブへ行くのは不本意なようだがそれも社交として必要なのだから仕方がない。
それでもアリシアが起きている内に必ず帰ってくるので親しい者からは「恐妻家」やら「尻に敷かれている」やら言われているらしい。
レイヴンはアリシアに嫌われるのを何より恐れているのは間違いないし、アリシアの尻に敷かれるのなら大歓迎である。だから席を立った後に何を言われていても気にしていない。
レイヴンが夜の時間も帰ってこれる様になったので、ジェーンとのお茶会をすべて夜の時間にする必要もなくなった。
今日は明るい時間に庭園で実践形式のお茶会である。
王太子妃が主催するお茶会に招待を受け、会場に着いたところから帰るところまで、実際に必要な礼儀作法が身に着いているのか確認するのだ。
とはいえ、ジェーンは以前から必要な礼儀作法は身につけていた。問題は美しい所作を保ったまま、それが行えるのかということである。
少なくとも今のジェーンは足が上がらずに何もないところで躓いたり、手の痛みでティーカップを落とすことはない。
実践形式のお茶会で練習を積んだ後は、実際にアリシアが毎月開いているお茶会へ招待し、アルスタへ行く前に経験を積んでもらうつもりでいる。
ただ、昼間のお茶会はカナリーが学園へ通っている為参加出来ない。
ガーデンパーティーに倣ったこのお茶会にはどうしても参加したいというので、初回だけは休日にすることにした。
それはレイヴンのお気に召さず、バルコニーから恨みがましい目でこちらを見ている…。
「お兄様がグーリッド伯爵家に?」
「ええ。最近何度か訪問されたそうですわ。キャロル嬢の醜聞はあまり知られていませんが、レオナルド殿の婚約者候補から外れたことは知られていますから、その目的に皆関心を寄せているようです」
カナリーは今年学園の3年生である。
グーリッド伯爵家のディアナは1年生で学年が違う為、詳しい様子を知っているわけではないが、噂が全く耳に入ってこないわけでもない。
カナリーが聞いた話では、レオナルドが伯爵家を度々訪れていると聞きつけた級友に、どういうことかと教室で詰め寄られていたらしい。ただディアナもレオナルドの意図を理解しておらず、詰め寄ってくる級友に困るばかりだという。
伯爵家としては爵位が上の、しかも以前のことで不興を買っている公爵子息の訪問を断ることはできないのだ。
「そうなのですね。レイヴン様なら何かご存知でしょうから、後程訊いてみますわ」
アリシアは聞いたばかりの話に戸惑いながら、バルコニーのレイヴンへ視線を向ける。
アリシアと視線が合ったレイヴンは、嬉しそうに手を振っていた。
カナリーの言葉にアリシアは苦笑する。
ここはアリシアやレイヴンの部屋に面した庭園である。
カナリーは王女なので王宮のほとんどの場所へ好きに出入りすることができるが、王太子宮だけはそうはいかない。レイヴンかアリシアの許可が無ければ、ここへ立ち入ることはできないのだ。
レイヴンはクラーク伯爵家の夜会へ行った頃から連日国王の執務室へ詰めることは無くなった。
その代わりに今度は週に数回の頻度で夜会や紳士クラブへ顔を出すようになっている。
アリシアと同行できる夜会はともかく、紳士クラブへ行くのは不本意なようだがそれも社交として必要なのだから仕方がない。
それでもアリシアが起きている内に必ず帰ってくるので親しい者からは「恐妻家」やら「尻に敷かれている」やら言われているらしい。
レイヴンはアリシアに嫌われるのを何より恐れているのは間違いないし、アリシアの尻に敷かれるのなら大歓迎である。だから席を立った後に何を言われていても気にしていない。
レイヴンが夜の時間も帰ってこれる様になったので、ジェーンとのお茶会をすべて夜の時間にする必要もなくなった。
今日は明るい時間に庭園で実践形式のお茶会である。
王太子妃が主催するお茶会に招待を受け、会場に着いたところから帰るところまで、実際に必要な礼儀作法が身に着いているのか確認するのだ。
とはいえ、ジェーンは以前から必要な礼儀作法は身につけていた。問題は美しい所作を保ったまま、それが行えるのかということである。
少なくとも今のジェーンは足が上がらずに何もないところで躓いたり、手の痛みでティーカップを落とすことはない。
実践形式のお茶会で練習を積んだ後は、実際にアリシアが毎月開いているお茶会へ招待し、アルスタへ行く前に経験を積んでもらうつもりでいる。
ただ、昼間のお茶会はカナリーが学園へ通っている為参加出来ない。
ガーデンパーティーに倣ったこのお茶会にはどうしても参加したいというので、初回だけは休日にすることにした。
それはレイヴンのお気に召さず、バルコニーから恨みがましい目でこちらを見ている…。
「お兄様がグーリッド伯爵家に?」
「ええ。最近何度か訪問されたそうですわ。キャロル嬢の醜聞はあまり知られていませんが、レオナルド殿の婚約者候補から外れたことは知られていますから、その目的に皆関心を寄せているようです」
カナリーは今年学園の3年生である。
グーリッド伯爵家のディアナは1年生で学年が違う為、詳しい様子を知っているわけではないが、噂が全く耳に入ってこないわけでもない。
カナリーが聞いた話では、レオナルドが伯爵家を度々訪れていると聞きつけた級友に、どういうことかと教室で詰め寄られていたらしい。ただディアナもレオナルドの意図を理解しておらず、詰め寄ってくる級友に困るばかりだという。
伯爵家としては爵位が上の、しかも以前のことで不興を買っている公爵子息の訪問を断ることはできないのだ。
「そうなのですね。レイヴン様なら何かご存知でしょうから、後程訊いてみますわ」
アリシアは聞いたばかりの話に戸惑いながら、バルコニーのレイヴンへ視線を向ける。
アリシアと視線が合ったレイヴンは、嬉しそうに手を振っていた。
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