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3章
103 モルガン伯爵家②
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レイヴンがレオナルドへ、王女にも王位継承権が認められるよう制度を変えたいという話をした翌日、レオナルドはアダムと共にレイヴンの執務室を訪れた。
この時レイヴンは、レオナルドと共にアダムから盛大な叱責を受けた。
王とは国民の生活を左右する重要な存在だ。王となる者の資質によって民の生活は格段に変わる。
その王位の継承に関わる問題を、「側妃を持ちたくない」、「妹に心労を掛けたくない」、そんな私的な理由でどうこうして良いものではないという、アダムの最も過ぎる言葉にレイヴンは返す言葉がなかった。
だがアダムは、項垂れて俯くレイヴンに一通り説教を終えた後、「もっとまともな理由で改革をなさるべきです」と言ったのだ。
思わずぽかんとするレイヴンを尻目に、アダムが話を続ける。
元々貴族の女性に継承権が認められていなかったのは、「男性より能力で劣る女性に、領地経営をして領民の生活を守ることなど出来るはずがない」といった考えがあるからだ。
だけど実際には婿を迎える家の娘が領地経営を学びたいと望むことは少なくない。
それは当主となった夫がデミオンのような男だった場合に、夫の代わりに妻が領民を守らなければならないからだ。
「女に領地を治めるだけの能力は無い。多くの貴族が思っていることですが、女に能力が無いのはその為の教育を受けていないからです。サンドラ殿もジェーンも自ら望んで学び、その為の知識を習得しました。女性であっても正しい教育を受ければ知識は身に着くのです。それは王女であっても同じことでしょう」
王女に王位継承権が無いのは、女に国を治めるだけの能力が無いと思われているからだ。
王位継承権が認められ、帝王学を学べば女であっても国を治めることは出来る。
それなのに王女に王位継承権が認められないのはおかしい。
そう訴えるべきだ、とアダムは言っているのだ。
一緒に怒られていたはずのレオナルドを窺えば、レオナルドは平然としてアダムの話を聞いている。
レオナルドは邸で一度この話を聞いていたようだ。一緒に怒られていたのはパフォーマンスだったらしい。
そしてその後言われたのは、この件に関する動きには一切関わらないように、ということだった。
レイヴンが表に出てしまえば、少し前に流れていた噂と同じことになるというのだ。
以前は「王太子は情婦の機嫌を取る為に女性の継承権を認めさせようとしている」と言われていた。
今度は「王太子は王太子妃の言い成りになり、王女の王位継承権を認めさせようとしている」と言ったところだろうか。
アリシアへ批判の目が向かないよう、貴族への働きかけは慎重に行わなければならない。
それは、レオナルドが主体となって動くことになった。
レオナルドはルトビア公爵派の中でも信用できる一部の貴族に、まずは協力を約束させた。
そしてモルガン伯爵である。
ライアンにとってアリシアは姪にあたる。
そのアリシアが生んだ子が王位につけば、モルガン伯爵家も中央で権力を握ることが出来る。
その可能性が高まるのは歓迎されるはずだった。
だがライアンはその話に難色を示したという。
この時レイヴンは、レオナルドと共にアダムから盛大な叱責を受けた。
王とは国民の生活を左右する重要な存在だ。王となる者の資質によって民の生活は格段に変わる。
その王位の継承に関わる問題を、「側妃を持ちたくない」、「妹に心労を掛けたくない」、そんな私的な理由でどうこうして良いものではないという、アダムの最も過ぎる言葉にレイヴンは返す言葉がなかった。
だがアダムは、項垂れて俯くレイヴンに一通り説教を終えた後、「もっとまともな理由で改革をなさるべきです」と言ったのだ。
思わずぽかんとするレイヴンを尻目に、アダムが話を続ける。
元々貴族の女性に継承権が認められていなかったのは、「男性より能力で劣る女性に、領地経営をして領民の生活を守ることなど出来るはずがない」といった考えがあるからだ。
だけど実際には婿を迎える家の娘が領地経営を学びたいと望むことは少なくない。
それは当主となった夫がデミオンのような男だった場合に、夫の代わりに妻が領民を守らなければならないからだ。
「女に領地を治めるだけの能力は無い。多くの貴族が思っていることですが、女に能力が無いのはその為の教育を受けていないからです。サンドラ殿もジェーンも自ら望んで学び、その為の知識を習得しました。女性であっても正しい教育を受ければ知識は身に着くのです。それは王女であっても同じことでしょう」
王女に王位継承権が無いのは、女に国を治めるだけの能力が無いと思われているからだ。
王位継承権が認められ、帝王学を学べば女であっても国を治めることは出来る。
それなのに王女に王位継承権が認められないのはおかしい。
そう訴えるべきだ、とアダムは言っているのだ。
一緒に怒られていたはずのレオナルドを窺えば、レオナルドは平然としてアダムの話を聞いている。
レオナルドは邸で一度この話を聞いていたようだ。一緒に怒られていたのはパフォーマンスだったらしい。
そしてその後言われたのは、この件に関する動きには一切関わらないように、ということだった。
レイヴンが表に出てしまえば、少し前に流れていた噂と同じことになるというのだ。
以前は「王太子は情婦の機嫌を取る為に女性の継承権を認めさせようとしている」と言われていた。
今度は「王太子は王太子妃の言い成りになり、王女の王位継承権を認めさせようとしている」と言ったところだろうか。
アリシアへ批判の目が向かないよう、貴族への働きかけは慎重に行わなければならない。
それは、レオナルドが主体となって動くことになった。
レオナルドはルトビア公爵派の中でも信用できる一部の貴族に、まずは協力を約束させた。
そしてモルガン伯爵である。
ライアンにとってアリシアは姪にあたる。
そのアリシアが生んだ子が王位につけば、モルガン伯爵家も中央で権力を握ることが出来る。
その可能性が高まるのは歓迎されるはずだった。
だがライアンはその話に難色を示したという。
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