【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

文字の大きさ
249 / 697
3章

103 モルガン伯爵家②

しおりを挟む
 レイヴンがレオナルドへ、王女にも王位継承権が認められるよう制度を変えたいという話をした翌日、レオナルドはアダムと共にレイヴンの執務室を訪れた。
 この時レイヴンは、レオナルドと共にアダムから盛大な叱責を受けた。
 
 王とは国民の生活を左右する重要な存在だ。王となる者の資質によって民の生活は格段に変わる。
 その王位の継承に関わる問題を、「側妃を持ちたくない」、「妹に心労を掛けたくない」、そんな私的な理由でどうこうして良いものではないという、アダムの最も過ぎる言葉にレイヴンは返す言葉がなかった。
 だがアダムは、項垂れて俯くレイヴンに一通り説教を終えた後、「もっとまともな理由で改革をなさるべきです」と言ったのだ。

 思わずぽかんとするレイヴンを尻目に、アダムが話を続ける。

 元々貴族の女性に継承権が認められていなかったのは、「男性より能力で劣る女性に、領地経営をして領民の生活を守ることなど出来るはずがない」といった考えがあるからだ。
 だけど実際には婿を迎える家の娘が領地経営を学びたいと望むことは少なくない。
 それは当主となった夫がデミオンのような男だった場合に、夫の代わりに妻が領民を守らなければならないからだ。

「女に領地を治めるだけの能力は無い。多くの貴族が思っていることですが、女に能力が無いのはその為の教育を受けていないからです。サンドラ殿もジェーンも自ら望んで学び、その為の知識を習得しました。女性であっても正しい教育を受ければ知識は身に着くのです。それは王女であっても同じことでしょう」

 王女に王位継承権が無いのは、女に国を治めるだけの能力が無いと思われているからだ。
 王位継承権が認められ、帝王学を学べば女であっても国を治めることは出来る。
 それなのに王女に王位継承権が認められないのはおかしい。
 そう訴えるべきだ、とアダムは言っているのだ。

 一緒に怒られていたはずのレオナルドを窺えば、レオナルドは平然としてアダムの話を聞いている。
 レオナルドは邸で一度この話を聞いていたようだ。一緒に怒られていたのはパフォーマンスだったらしい。

 そしてその後言われたのは、この件に関する動きには一切関わらないように、ということだった。
 レイヴンが表に出てしまえば、少し前に流れていた噂と同じことになるというのだ。

 以前は「王太子は情婦の機嫌を取る為に女性の継承権を認めさせようとしている」と言われていた。
 今度は「王太子は王太子妃の言い成りになり、王女の王位継承権を認めさせようとしている」と言ったところだろうか。

 アリシアへ批判の目が向かないよう、貴族への働きかけは慎重に行わなければならない。
 それは、レオナルドが主体となって動くことになった。

 レオナルドはルトビア公爵派の中でも信用できる一部の貴族に、まずは協力を約束させた。
 そしてモルガン伯爵である。

 ライアンにとってアリシアは姪にあたる。
 そのアリシアが生んだ子が王位につけば、モルガン伯爵家も中央で権力を握ることが出来る。
 その可能性が高まるのは歓迎されるはずだった。

 だがライアンはその話に難色を示したという。




しおりを挟む
感想 441

あなたにおすすめの小説

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...