【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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3章

116 お茶会①

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 時間はあっという間に過ぎ、使節団がアルスタへ出立するまで残り半月程となった。最近のジェーンは一段と忙しそうだ。

 使節団がアルスタへ出立する前には、盛大な壮行会が開かれる。
 壮行会は昼の部と夜の部に別れており、昼の部は王都の広場で演説会が行われ、夜の部は王宮で華やかな舞踏会とだ。

 この昼の部は貴族よりも民衆へ向けたもので、王都の広場に特設の舞台が設けられるので、王宮に入れない平民でも見ることができる。
 民衆からすれば、国王の姿を直接見ることが出来る貴重な機会なので、当日は王都中の人々が集まると言われる程の大変な人出になる。
 広場の周囲には集まった民衆を狙っての屋台が複数立ち並び、毎回お祭りの様な騒ぎになるのだ。

 広場に設けられた舞台では、両国の友好と平和を担う使節団へ国王から言葉が贈られる。
 そしてそれに応える形で使節団の代表がスピーチをするのだ。

 スピーチをする団員だが、これに選ばれるのはエリート揃いの外交官の中でも特に優秀な者とされていて、非常に名誉なことである。帰国後の出世にも繋がっている為、団員たちはこの代表を目指して必死に研修を受けていたのだ。

 ジェーンが忙しくしているのは、その代表にジェーンが選ばれたからである。
 これまでの使節団で代表に選ばれたのは、大抵が団長だった。
 元々他の団員に比べて優秀と認められているから、団長に任命されているのである。
 対してジェーンは正式な外交官でさえない。
 それなのにジェーンが選ばれたのは、他の団員からの強い推薦があったからだ。

 ジェーンが研修に参加したばかりの頃は上手くいっていなかった両者だが、痣を見せたことで団員たちのジェーンを見る目が変っていた。
 その後のジェーンが何か特別なことをしたわけではない。
 ただ与えられた課題に真剣に取り組み、苦手なことでも諦めない姿勢を見せている内に少しずつ認められていったのだ。

 ジェーンが議会で体の痣を見せた時は、酷く心配してくれていたし、レイヴンとの酷い噂には憤ってくれていた。
 ジェーンをレイヴンの情婦と言ったラウル・ファグラからは、議会の後で改めて謝罪があり、ジェーンはそれを受け入れている。
 すっかり反省したラウルは、団員の中でも人一倍ジェーンを気遣うようになった。
 初めに「ジェーンを代表に」と言い出したのも、このラウルである。

 ダンスや礼儀作法の補講を受けるようになったジェーンの所作は、このひと月ですっかり洗練されて見違えるほど美しくなった。
 あの酷い怪我や足りない時間に負けることなく、最大限の努力をしてここまで成長したジェーンを、ラウルは心から尊敬している。
 ジェーンも異国のアルスタへ行けば頼れるのは同じ使節団の仲間だけなので、ラウルと蟠りなく和解できたことを嬉しく思っていた。


 アリシアとジェーンのお茶会も出来るのはあと数回だけだ。
 勉強会としての役割は既に必要なくなっている。


 そして今日はアリシアが王太子妃として毎月主催しているお茶会である。
 美しい所作を身につけたジェーンのお披露目の日だ。


 
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