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3章
123 自覚①
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「…アリシア様が人を愛すること、そして愛情で成り立つ関係を恐れるのはわかります。その主な原因が私の両親であることを思うと、心から申し訳なく思いますわ。ですが、デミオン殿はアンジュ殿を愛してなどいませんでした。デミオン殿の偽りの愛を見抜かれたのはアリシア様です。私はあの時アリシア様の話を聞いて、その通りだと思いましたわ。デミオン殿はただ自分の欲望の為に母を不幸にし、アンジュ殿まで不幸に陥れたのです。アリシア様はレイヴン殿下がデミオン殿と同じような、そんな方だと思われますか?」
「……思わないわ。レイヴン様はご自分の気持ちを抑えることが出来る方よ。ご自身の立場を良く知っておられるわ」
アリシアの答えは愛情に関するものではない。
ただレイヴンは自身の立場をよく理解している。そしてアリシアを粗雑に扱うことがどういうことかもわかっている。
アリシアを不幸にするようなことがあれば、ルトビア公爵家が黙っていない。
現公爵のアダムも、次期公爵のレオナルドもアリシアを愛している。
レイヴンが国王になった時にアリシアが王妃として敬われる立場にいなければ、ルトビア公爵家はきっと国王の側から離れるだろう。
ルトビア公爵家の協力なしに円滑に国政を行う為には、ルトビア公爵家と同等の力を持つ家を味方につけ、その派閥と闘わなければならない。
だが今のところ、旗頭になれそうな家はない。
「そう、それも確かなことですわね。ですが、それだけではありません。レイヴン殿下は真実アリシア様を愛しておられます。アリシア様が恐れられる側妃のこともレイヴン殿下の立場であれば、ご自身の気持ちよりも臣下の要請や状況を優先せざるを得ないこともあるかもしれません。ですが殿下の、アリシア様への気持ちが変わることはないと、私は確信しています」
アリシアには内密に、と言われているので話すことはできないが、ジェーンはレイヴンとレオナルドが王女の王位継承を認めさせようと動いていることを知っていた。
それはジェーンがキャンベル侯爵家の当主となることを見越してのことで、この話が出た時に侯爵家として支持をして欲しいと話があったのだ。
ジェーンに伝えられているのは、「貴族の女性には継承権が認められているのに、王家の女性には継承権が認められていないのはおかしい」という表向きの理由ではない。
レイヴンが側妃を娶りたくないというその一心で動いているのを、ジェーンは知っているのだ。
ただレイヴンの気持ちがそうであっても、絶対に側妃を娶らないと言うことはできない。
アリシアにはまだ子どもがいない。
アリシアがこのまま身籠らなければ、レイヴンの気持ちとは関係なく側妃を迎えることになる。
だからジェーンが口にできることは、もしそうなったとしてもレイヴンの気持ちが変わることは無い、ということだけだ。
レイヴンはアリシアを想ってこれだけのことをしている。
その気持ちをアリシアにも信じて欲しい。
「レイヴン様が側妃を…」
ジェーンが言ったことは、アリシアもわかっていることだった。
側妃を迎えるかどうかはレイヴンの気持ちだけで決められることではない。
わかっていることなのに、側妃と言う言葉にアリシアの心は凍り付いたようになった。
それで気がついてしまった。
以前はレイヴンが側妃を迎えることを何とも思っていなかった。
自分の立場を弁え、その立場に相応しい振る舞いが出来る者ならレイヴンが誰を選び、迎えようとも構わなかった。
だからアリシアからレイヴンへ、側妃候補を選ぶように言うことができたのだ。
今はとても言えそうにない。
「私は、レイヴン様を愛しているのね…」
零れ落ちたその言葉に、ジェーンはにっこり笑った。
「……思わないわ。レイヴン様はご自分の気持ちを抑えることが出来る方よ。ご自身の立場を良く知っておられるわ」
アリシアの答えは愛情に関するものではない。
ただレイヴンは自身の立場をよく理解している。そしてアリシアを粗雑に扱うことがどういうことかもわかっている。
アリシアを不幸にするようなことがあれば、ルトビア公爵家が黙っていない。
現公爵のアダムも、次期公爵のレオナルドもアリシアを愛している。
レイヴンが国王になった時にアリシアが王妃として敬われる立場にいなければ、ルトビア公爵家はきっと国王の側から離れるだろう。
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「そう、それも確かなことですわね。ですが、それだけではありません。レイヴン殿下は真実アリシア様を愛しておられます。アリシア様が恐れられる側妃のこともレイヴン殿下の立場であれば、ご自身の気持ちよりも臣下の要請や状況を優先せざるを得ないこともあるかもしれません。ですが殿下の、アリシア様への気持ちが変わることはないと、私は確信しています」
アリシアには内密に、と言われているので話すことはできないが、ジェーンはレイヴンとレオナルドが王女の王位継承を認めさせようと動いていることを知っていた。
それはジェーンがキャンベル侯爵家の当主となることを見越してのことで、この話が出た時に侯爵家として支持をして欲しいと話があったのだ。
ジェーンに伝えられているのは、「貴族の女性には継承権が認められているのに、王家の女性には継承権が認められていないのはおかしい」という表向きの理由ではない。
レイヴンが側妃を娶りたくないというその一心で動いているのを、ジェーンは知っているのだ。
ただレイヴンの気持ちがそうであっても、絶対に側妃を娶らないと言うことはできない。
アリシアにはまだ子どもがいない。
アリシアがこのまま身籠らなければ、レイヴンの気持ちとは関係なく側妃を迎えることになる。
だからジェーンが口にできることは、もしそうなったとしてもレイヴンの気持ちが変わることは無い、ということだけだ。
レイヴンはアリシアを想ってこれだけのことをしている。
その気持ちをアリシアにも信じて欲しい。
「レイヴン様が側妃を…」
ジェーンが言ったことは、アリシアもわかっていることだった。
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わかっていることなのに、側妃と言う言葉にアリシアの心は凍り付いたようになった。
それで気がついてしまった。
以前はレイヴンが側妃を迎えることを何とも思っていなかった。
自分の立場を弁え、その立場に相応しい振る舞いが出来る者ならレイヴンが誰を選び、迎えようとも構わなかった。
だからアリシアからレイヴンへ、側妃候補を選ぶように言うことができたのだ。
今はとても言えそうにない。
「私は、レイヴン様を愛しているのね…」
零れ落ちたその言葉に、ジェーンはにっこり笑った。
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