【本編完結】幸福のかたち【R18】

朱里 麗華(reika2854)

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3章

141 誤解③※微?

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「初夜の時は、怖かったです。ですが、レイヴン様が優しくすると仰って下さいました。私は随分とそれで気持ちが楽になりました」

 あの時「愛している」と言われても、アリシアは信じられなかっただろう。「綺麗」や「可愛い」といった言葉も、雰囲気づくりには役立ったかもしれないが、社交辞令と受け取ったに違いない。あの時の2人は、そんなことを言い合うような仲ではなかったのだ。

 だけどレイヴンが言ってくれた、「できるだけ優しくする」という言葉はすんなり信じることができた。
 そしてその言葉の通り、閨の間中レイヴンが気遣ってくれていることは伝わって来ていた。

「私が震えているのに気がついて手を握って下さったでしょう?あれで、本当に安心することができたのです」

 レイヴンを受け入れ、跡継ぎを作ることが妃として最も重要な役目だとわかっている。
 それでも初めての時は未知の体験と教えらえた痛みに恐怖を感じずにはいられなかった。
 それをレイヴンに知られてはいけないのだと思っていた。
 だけどあの時レイヴンは、「優しくする」と言ってくれた。震える手を握ってくれた。
 未知のことに怯えるアリシアを許してくれるのだと思えた。

 そして実際にレイヴンの愛撫は優しくて無理強いされるようなことは何もなかった。

 それなのにアリシアはレイヴンの愛撫を拒否するようなことを言ってしまった。
 妃教育で閨について教えられた時、「初めての時は未知の快感に恐怖を覚えて相手を押しのけようとすることがある」と聞いていた。
 だけどそれでは「従順に、王太子殿下のなさることに従いなさい」という教えに反してしまう。
 レイヴンはアリシアを丁寧に扱ってくれている。無事役目を遂行する為に気遣ってくれている。
 それなのにアリシアは閨に非協力的だと思われたくなかった。妃の役目を放棄しようとしていると、思われたくなかったのだ。


「申し訳、ありませんでした…」

 アリシアが謝るとレイヴンは首を振った。
 もしあの時レイヴンが、「僕に抱かれるのは嫌?」と訊いたとしても結果は同じだった。
 アリシアの立場では本当に嫌だと思っていたとしても否定するしかない。それがわかっているレイヴンは、嘘だと思いながらも信じる振りをする。
 結局それまでに良好な関係を作れていなかったのが一番の問題だった。

 だけど今は違う。 

「アリシアは僕に抱かれるのが嫌なんじゃないんだよね」

 レイヴンの言葉にアリシアは頷いた。
 レイヴンは抱き締める手に力を込める。

「それじゃあこれからは声を聞かせて欲しい。嫌なら嫌って言って良いし、怖い時は怖いと言って良い。どんなことを言われても僕がアリシアを嫌いになることはない。役目を放棄しているなんて思わないよ」

「レイヴン様…」

 アリシアが体をねじってレイヴンへ振り向いた。
 腕を緩めたレイヴンがアリシアへ口づける。舌を絡ませながら体勢を変えたアリシアをレイヴンはゆっくりベッドへ横たえた。




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