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3章
147 晩餐会③
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晩餐に現れた国王は、レイヴンが言う通り威圧的なところが少しもなかった。
国王ではなく、父親の顔で子どもたちの話を聞いている。
それでもカナリーやジェイ、ノティスの背中は先程よりピンと伸びて見える。まだ幼いアイビスだけは父親と食事を摂れることを無邪気に喜んでいた。
お父様と一緒の時は私もこんな感じなのかしら。
カナリーの様子を見ていたアリシアはふと考える。
カナリーは、不在がちな父親と一緒に食事を摂れることを喜びながらも緊張している。
アリシアの父親であるアダムも宰相として忙しく、夕食時は不在がちだった。
それでもアダムは十分な愛情を掛けてくれていた。優しい父だと思う。
それでも家長として厳しいところはあり、アダムの前に立つ時はおかしな振る舞いはできないと身が引き締まる思いがした。
カナリーたちもきっと同じなのだ。
国王もここにいる時は「夫」で「父親」で、そして何より1人の人間として感情を持っている。
アリシアは改めてそれを突き付けられたような気がした。
国王は子どもたちの話を聞きながら、レオナルドやジェーンにもそれとなく話を振り主人としての役割をこなしている。
最初は受け答えから緊張が伝わってきていたジェーンも、会話を重ねることで緊張が解れてきたようだ。
隣に座っているアリシアから2人の表情を窺うことはできない。
ふと視線を感じてそちらを見ると、マルグリットがアリシアを見ていた。
いつから見ていたのか、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「何を考えていたのかしら?」
「――父の、ことを」
アリシアは咄嗟にそう答えていた。
嘘ではない。アダムのことを思い出していたのは本当のことだ。
「あら、公爵邸が恋しくなってしまったかしら」
マルグリットがふふっと笑った。マルグリットにとって楽しい答えだったようだ。
その隣ではレイヴンが不安そうな顔をしているが、恋しくなったからといって簡単に帰れるわけではない。
「そういうわけではありませんが、父と夕食を摂った時のことを思い出していました」
「公爵はあまり夕食の時間にいなかったのではないか?」
国王が興味深そうにアリシアを見る。
国王もその立場故に普通の家の様子がわからないのだ。
「はい、父の帰宅はいつも遅い時間でしたので、一緒に夕食を摂れることはあまりありませんでした。ですので一緒に夕食を摂れる日は特別のように感じて嬉しかったのです」
「ほう…。そんなものか」
アリシアの言葉に国王は目を細めて何かを考えているようだ。
これからは子どもたちと食事を…、と考えているのかもしれない。
だけど国王にはここにいる他にも、側妃に生ませた子がいるのだ。そちらの子どもたちの方がもっと父親と触れ合う機会は少ないだろう。
だけどそれはアリシアが口出しすることではない。
その後も国王は取り留めのない話を続けていた。
特別な話題は何もなく、何故アリシアやジェーンが呼ばれたのかわからなかった。
ただ最後に国王が呟くように言った、「離宮を離れる前に一度話をしたかったんだ」という言葉がいつまでも耳に残っていた。
国王ではなく、父親の顔で子どもたちの話を聞いている。
それでもカナリーやジェイ、ノティスの背中は先程よりピンと伸びて見える。まだ幼いアイビスだけは父親と食事を摂れることを無邪気に喜んでいた。
お父様と一緒の時は私もこんな感じなのかしら。
カナリーの様子を見ていたアリシアはふと考える。
カナリーは、不在がちな父親と一緒に食事を摂れることを喜びながらも緊張している。
アリシアの父親であるアダムも宰相として忙しく、夕食時は不在がちだった。
それでもアダムは十分な愛情を掛けてくれていた。優しい父だと思う。
それでも家長として厳しいところはあり、アダムの前に立つ時はおかしな振る舞いはできないと身が引き締まる思いがした。
カナリーたちもきっと同じなのだ。
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国王は子どもたちの話を聞きながら、レオナルドやジェーンにもそれとなく話を振り主人としての役割をこなしている。
最初は受け答えから緊張が伝わってきていたジェーンも、会話を重ねることで緊張が解れてきたようだ。
隣に座っているアリシアから2人の表情を窺うことはできない。
ふと視線を感じてそちらを見ると、マルグリットがアリシアを見ていた。
いつから見ていたのか、嬉しそうに顔を綻ばせる。
「何を考えていたのかしら?」
「――父の、ことを」
アリシアは咄嗟にそう答えていた。
嘘ではない。アダムのことを思い出していたのは本当のことだ。
「あら、公爵邸が恋しくなってしまったかしら」
マルグリットがふふっと笑った。マルグリットにとって楽しい答えだったようだ。
その隣ではレイヴンが不安そうな顔をしているが、恋しくなったからといって簡単に帰れるわけではない。
「そういうわけではありませんが、父と夕食を摂った時のことを思い出していました」
「公爵はあまり夕食の時間にいなかったのではないか?」
国王が興味深そうにアリシアを見る。
国王もその立場故に普通の家の様子がわからないのだ。
「はい、父の帰宅はいつも遅い時間でしたので、一緒に夕食を摂れることはあまりありませんでした。ですので一緒に夕食を摂れる日は特別のように感じて嬉しかったのです」
「ほう…。そんなものか」
アリシアの言葉に国王は目を細めて何かを考えているようだ。
これからは子どもたちと食事を…、と考えているのかもしれない。
だけど国王にはここにいる他にも、側妃に生ませた子がいるのだ。そちらの子どもたちの方がもっと父親と触れ合う機会は少ないだろう。
だけどそれはアリシアが口出しすることではない。
その後も国王は取り留めのない話を続けていた。
特別な話題は何もなく、何故アリシアやジェーンが呼ばれたのかわからなかった。
ただ最後に国王が呟くように言った、「離宮を離れる前に一度話をしたかったんだ」という言葉がいつまでも耳に残っていた。
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