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番外編2
穏やかな日常
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アリシアの2度目の妊娠生活は、1度目の時と比べ物にならない程うまくいっていた。
確かに体が重怠く感じる時もあるし、悪阻でもどしてしまう時もある。
だけど原因がわかっているので落ち着いて対処できる。
マリアンが近くにいることも大きかった。
マリアンはアリシアの好みをよく知っている。それにアリシアがアシェントで食べていたものを知っているので、悪阻が酷い時でもアリシアが食べられそうな味付けを指示することができるのだ。
アリシアも前回のことがあるので食べたいもの、食べられそうな味付けを遠慮せずに伝えるようにしていた。
おかげで今回は以前のように痩せ細るようなこともなく、寝付いてもその時だけで長く寝込むことはなかった。
だけど落ち着いていられないのがレイヴンだ。
レイヴンはアリシアが少しでも具合が悪い素振りを見せると青くなって騒ぎ出す。
その度に侍医が呼ばれ、アリシアは寝室で横になることになった。
通常の執務は減らされ、王宮の外に出る慰問活動は禁止になり、定例のお茶会はレイヴンが必ず同席をする。
「そんなに心配されなくても大丈夫ですわ」とアリシアが言っても駄目だった。
ただアリシアもレイヴンの気持ちはわかる。
前回のアリシアはそれほど酷い状態だったのだ。
あの時と比べれば精神的な負荷がなくなり、気持ちが安定しているとはいっても傍で見ている方は気が気でないのだろう。
それがわかっているからアリシアは強く反発することなく大人しく受け入れた。
「それじゃあ、アリシア。具合が悪くなったらすぐに言うんだよ」
「はい。そう致します」
アリシアの返事を聞いたレイヴンは安心したように机へ向かう。
今回、レイヴンは執務机をアリシアの部屋へ入れていた。本当は以前のように寝室に入れて、アリシアも寝室から出さないつもりだったようだが、今はマルセルも側近になっている。
もし寝室に机を入れればレオナルドだけではなくマルセルにもアリシアの夜着姿を見せることになるだろう。
それは許せない。
レイヴンは悩んだ。
何日も何日も悩み続けた。
そしてマルセルを寝室に入れたくない気持ちとアリシアが寝たきりになるのを拒む気持ちを汲み入れ、アリシアの部屋で一緒に執務を行うことにしたのだ。
「それならご自身の部屋で執務を行われたら如何です?」
呆れたように言ったのはレオナルドである。
レイヴンの部屋は寝室を挟んだ隣なのだから、アリシアに異変があればいつでも飛んでこられるだろう。
だけどレイヴンは首を振る。
「絶対に嫌だ!アリシアの傍にいる!!」
そう言ってアリシアを抱き締めるレイヴンを見てレオナルドは諦めたようだ。
最もレオナルドがあっさり諦めたのは、レイヴンがアリシアの部屋にいればアリシアに会いに来やすくなるからだ。以前と同じようにレイヴンへの用件を口実にしてアリシアに会いに来る。
レオナルドもアリシアを案じているのは同じなのだ。
クロウは1歳の誕生日が過ぎた頃からよく喋るようになった。
何を言っているのかわからないこともあるが、「とぉちゃ」「かぁちゃ」と呼んでくれる。
アリシアの元へ訪れたレオナルドは、帰りに必ずクロウの部屋へ顔を出しては「レオ叔父様ですよ」と教え込んでいるようだ。クロウがレオナルドを呼ぶ日もすぐ来るだろう。
「かぁちゃあ!」
アリシアが子ども部屋を訪れると、クロウが顔を上げでにぱっと笑う。
両手を床について踏ん張って立ち上がると、とてとてと歩いてきてアリシアに抱き着いた。
「駄目だよ、クロウ。母様は抱っこできないんだ」
後ろからレイヴンの声が聞こえる。
遅れて子ども部屋にやってきたレイヴンが、アリシアのドレスにしがみつくクロウを抱き上げた。
「母様はお腹に赤ちゃんがいるんだ。だから父様で我慢してくれ」
座っている時はクロウを膝に抱くアリシアも、万一のことを考えて抱き上げるのは止めていた。
クロウが可哀想な気もするけれど、その分レイヴンが抱いてくれている。クロウは父様も大好きなので、レイヴンに抱かれて満足そうだ。
「一緒に絵本を読みましょうか」
アリシアは本棚から絵本を取り出した。『花の王国』である。
レイヴンがアリシアに贈ってくれたものではなく、子ども用に買ったものだ。
女の子の話なので、大きくなるとクロウは読んでくれなくなるかもしれない。だけど今は喜んで聞いてくれている。
アリシアはレイヴンと並んで座った。
クロウがアリシアの膝へ上ってくる。お腹が大きくなってきているので座りにくそうだが、クロウはアリシアのお腹に抱き着くのも大好きだ。
この子の存在に最初に気がついたクロウだから、生まれたら良い兄になってくれるだろう。
アリシアはゆっくりと絵本を読みだした。
その優しい声にクロウもレイヴンも耳を傾けていた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
番外編って難しいですね(^o^;)
連載中はエピとエピを繋ぐ合間の話として普通にありかな?って思っていた話も、番外編として独立させるには…。
このエピいるかな?って何度も思いながら、でもせっかく書いたので読んで下さい~。
確かに体が重怠く感じる時もあるし、悪阻でもどしてしまう時もある。
だけど原因がわかっているので落ち着いて対処できる。
マリアンが近くにいることも大きかった。
マリアンはアリシアの好みをよく知っている。それにアリシアがアシェントで食べていたものを知っているので、悪阻が酷い時でもアリシアが食べられそうな味付けを指示することができるのだ。
アリシアも前回のことがあるので食べたいもの、食べられそうな味付けを遠慮せずに伝えるようにしていた。
おかげで今回は以前のように痩せ細るようなこともなく、寝付いてもその時だけで長く寝込むことはなかった。
だけど落ち着いていられないのがレイヴンだ。
レイヴンはアリシアが少しでも具合が悪い素振りを見せると青くなって騒ぎ出す。
その度に侍医が呼ばれ、アリシアは寝室で横になることになった。
通常の執務は減らされ、王宮の外に出る慰問活動は禁止になり、定例のお茶会はレイヴンが必ず同席をする。
「そんなに心配されなくても大丈夫ですわ」とアリシアが言っても駄目だった。
ただアリシアもレイヴンの気持ちはわかる。
前回のアリシアはそれほど酷い状態だったのだ。
あの時と比べれば精神的な負荷がなくなり、気持ちが安定しているとはいっても傍で見ている方は気が気でないのだろう。
それがわかっているからアリシアは強く反発することなく大人しく受け入れた。
「それじゃあ、アリシア。具合が悪くなったらすぐに言うんだよ」
「はい。そう致します」
アリシアの返事を聞いたレイヴンは安心したように机へ向かう。
今回、レイヴンは執務机をアリシアの部屋へ入れていた。本当は以前のように寝室に入れて、アリシアも寝室から出さないつもりだったようだが、今はマルセルも側近になっている。
もし寝室に机を入れればレオナルドだけではなくマルセルにもアリシアの夜着姿を見せることになるだろう。
それは許せない。
レイヴンは悩んだ。
何日も何日も悩み続けた。
そしてマルセルを寝室に入れたくない気持ちとアリシアが寝たきりになるのを拒む気持ちを汲み入れ、アリシアの部屋で一緒に執務を行うことにしたのだ。
「それならご自身の部屋で執務を行われたら如何です?」
呆れたように言ったのはレオナルドである。
レイヴンの部屋は寝室を挟んだ隣なのだから、アリシアに異変があればいつでも飛んでこられるだろう。
だけどレイヴンは首を振る。
「絶対に嫌だ!アリシアの傍にいる!!」
そう言ってアリシアを抱き締めるレイヴンを見てレオナルドは諦めたようだ。
最もレオナルドがあっさり諦めたのは、レイヴンがアリシアの部屋にいればアリシアに会いに来やすくなるからだ。以前と同じようにレイヴンへの用件を口実にしてアリシアに会いに来る。
レオナルドもアリシアを案じているのは同じなのだ。
クロウは1歳の誕生日が過ぎた頃からよく喋るようになった。
何を言っているのかわからないこともあるが、「とぉちゃ」「かぁちゃ」と呼んでくれる。
アリシアの元へ訪れたレオナルドは、帰りに必ずクロウの部屋へ顔を出しては「レオ叔父様ですよ」と教え込んでいるようだ。クロウがレオナルドを呼ぶ日もすぐ来るだろう。
「かぁちゃあ!」
アリシアが子ども部屋を訪れると、クロウが顔を上げでにぱっと笑う。
両手を床について踏ん張って立ち上がると、とてとてと歩いてきてアリシアに抱き着いた。
「駄目だよ、クロウ。母様は抱っこできないんだ」
後ろからレイヴンの声が聞こえる。
遅れて子ども部屋にやってきたレイヴンが、アリシアのドレスにしがみつくクロウを抱き上げた。
「母様はお腹に赤ちゃんがいるんだ。だから父様で我慢してくれ」
座っている時はクロウを膝に抱くアリシアも、万一のことを考えて抱き上げるのは止めていた。
クロウが可哀想な気もするけれど、その分レイヴンが抱いてくれている。クロウは父様も大好きなので、レイヴンに抱かれて満足そうだ。
「一緒に絵本を読みましょうか」
アリシアは本棚から絵本を取り出した。『花の王国』である。
レイヴンがアリシアに贈ってくれたものではなく、子ども用に買ったものだ。
女の子の話なので、大きくなるとクロウは読んでくれなくなるかもしれない。だけど今は喜んで聞いてくれている。
アリシアはレイヴンと並んで座った。
クロウがアリシアの膝へ上ってくる。お腹が大きくなってきているので座りにくそうだが、クロウはアリシアのお腹に抱き着くのも大好きだ。
この子の存在に最初に気がついたクロウだから、生まれたら良い兄になってくれるだろう。
アリシアはゆっくりと絵本を読みだした。
その優しい声にクロウもレイヴンも耳を傾けていた。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
番外編って難しいですね(^o^;)
連載中はエピとエピを繋ぐ合間の話として普通にありかな?って思っていた話も、番外編として独立させるには…。
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