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3章
156 レオナルドの婚約は③ 1/14 後半大幅に改訂しました。
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「当日は私もディアナ嬢にご挨拶させていただきます。まだ決まったわけではありませんが、出立前にレオ兄様のお相手に会えて良かった」
ジェーンはアルスタに行くと1年間帰ってくることができない。
そして帰ってきた後も王都に留まることなくすぐに領地へ戻るつもりだ。
ジェーンがアルスタにいる間にレオナルドの婚約者が決まったとしても、会えるのは随分と先になる。
「それは僕の婚約者について、ジェーンに心配を掛けていたということかな?」
「…レオ兄様が婚約者を持たないのは、私の為だとわかっていました。これまでの私はその優しさに頼るしかなく、気づかないふりをしていましたが、レオ兄様にも幸せになって欲しいと思っているのです」
レオナルドが婚約者を持たなかったのはジョッシュに蔑ろにされ、お茶会や舞踏会でエスコートしてもらえないジェーンをエスコートする為だ。その他にもジェーンに勉強を教えるなど、ジェーンが困っている時はレオナルドが助けていた。
常に従妹を優先する婚約者に良い気のする者はいない。
もしレオナルドに婚約者がいたら、ジェーンは遠慮して断るしかなかった。
その時レオナルドがどちらを選んでいたとしても、3人とも不幸になっていただろう。
「ジェーンの為じゃない。自分の為だよ」
レオナルドが苦々しく笑う。
レオナルドはジェーンが大変な時にアリシアを優先していて暴力を受けていることに気付かなかった。
あの時の後悔を繰り返したくなかっただけだ。
「ディアナ嬢が良い方ならいいわね」
「アリシア、嫌なら無理をしなくていい。それはわかっているね?」
アリシアは頷いた。
レオナルドはアリシアが無理をするのではないかと案じているが、レオナルドの幸せを願う気持ちはアリシアも変わらない。
相手が誰であっても兄を取られたような気持ちにはなるのだ。
ディアナが仲良くなれるような人なら良い。
レオナルドの為にもアリシアはそう思った。
レオナルド殿の婚約が上手く整えば良いのだけれど。
カナリーは心の中で呟いた。
以前はアリシアを傷つけたくなくて、レオナルドとディアナのことを案じていた。
だけど今はまた違う理由がある。
厳密に言えばディアナでなくても構わないのだが、レオナルドに婚約者ができるよう願っている。
晩餐の日から、アイビスがレオナルドのことばかり話すのだ。
カナリーはそっとお溜息を吐いた。
「レオナルド殿はお兄様の側近なの?」
「次はいついらっしゃるの?」
「お兄様のところへ行けばお会いできるの?」
アイビスは最近そんなことばかり言っている。
今日もアリシアのところでレオナルドに会うと知られて、「お姉様ばかりずるい」と泣かれてしまった。
アイビスにとってはこれが初恋である。
姉としては応援してやりたい。
だけどレオナルドがアイビスの相手になることはない。
まだ8歳のアイビスが嫁げるようになるまで10年は掛かる。それまで嫡男のレオナルドが結婚せずに待つことはできないし、レオナルドはアリシアの兄だ。
王太子妃の兄へ王太子と同母の妹を嫁がせたりすれば、ルトビア公爵家の権力が強くなりすぎる。そんな縁組を国王が許すはずがない。
それがわかっているカナリーは、アイビスが諦められるようにレオナルドの婚約者が決まることを望んでいるのだ。
ジェーンはアルスタに行くと1年間帰ってくることができない。
そして帰ってきた後も王都に留まることなくすぐに領地へ戻るつもりだ。
ジェーンがアルスタにいる間にレオナルドの婚約者が決まったとしても、会えるのは随分と先になる。
「それは僕の婚約者について、ジェーンに心配を掛けていたということかな?」
「…レオ兄様が婚約者を持たないのは、私の為だとわかっていました。これまでの私はその優しさに頼るしかなく、気づかないふりをしていましたが、レオ兄様にも幸せになって欲しいと思っているのです」
レオナルドが婚約者を持たなかったのはジョッシュに蔑ろにされ、お茶会や舞踏会でエスコートしてもらえないジェーンをエスコートする為だ。その他にもジェーンに勉強を教えるなど、ジェーンが困っている時はレオナルドが助けていた。
常に従妹を優先する婚約者に良い気のする者はいない。
もしレオナルドに婚約者がいたら、ジェーンは遠慮して断るしかなかった。
その時レオナルドがどちらを選んでいたとしても、3人とも不幸になっていただろう。
「ジェーンの為じゃない。自分の為だよ」
レオナルドが苦々しく笑う。
レオナルドはジェーンが大変な時にアリシアを優先していて暴力を受けていることに気付かなかった。
あの時の後悔を繰り返したくなかっただけだ。
「ディアナ嬢が良い方ならいいわね」
「アリシア、嫌なら無理をしなくていい。それはわかっているね?」
アリシアは頷いた。
レオナルドはアリシアが無理をするのではないかと案じているが、レオナルドの幸せを願う気持ちはアリシアも変わらない。
相手が誰であっても兄を取られたような気持ちにはなるのだ。
ディアナが仲良くなれるような人なら良い。
レオナルドの為にもアリシアはそう思った。
レオナルド殿の婚約が上手く整えば良いのだけれど。
カナリーは心の中で呟いた。
以前はアリシアを傷つけたくなくて、レオナルドとディアナのことを案じていた。
だけど今はまた違う理由がある。
厳密に言えばディアナでなくても構わないのだが、レオナルドに婚約者ができるよう願っている。
晩餐の日から、アイビスがレオナルドのことばかり話すのだ。
カナリーはそっとお溜息を吐いた。
「レオナルド殿はお兄様の側近なの?」
「次はいついらっしゃるの?」
「お兄様のところへ行けばお会いできるの?」
アイビスは最近そんなことばかり言っている。
今日もアリシアのところでレオナルドに会うと知られて、「お姉様ばかりずるい」と泣かれてしまった。
アイビスにとってはこれが初恋である。
姉としては応援してやりたい。
だけどレオナルドがアイビスの相手になることはない。
まだ8歳のアイビスが嫁げるようになるまで10年は掛かる。それまで嫡男のレオナルドが結婚せずに待つことはできないし、レオナルドはアリシアの兄だ。
王太子妃の兄へ王太子と同母の妹を嫁がせたりすれば、ルトビア公爵家の権力が強くなりすぎる。そんな縁組を国王が許すはずがない。
それがわかっているカナリーは、アイビスが諦められるようにレオナルドの婚約者が決まることを望んでいるのだ。
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